2021年05月11日

第105回 VIDEO ACT! 上映会 〜原発事故と有機農家〜

=============================
■ 第105回 VIDEO ACT! 上映会 〜原発事故と有機農家〜
上映2作品『それでも種をまく』『それでも種をまく 2019』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
==============================

■2021年5月11日(火)19時より

有機農業は、生命のつながりの中にある。
2011年3月11日。
福島第一原発事故とそれによる放射能汚染は、
その「つながり」を暴力的に断ち切り、福島や周辺の有機農家を苦境に追い込んだ。
痛みの中でも「つながり」を取り戻すための
種をまこうとしている人びとの姿を追う2作品を上映する。

6_『それでも種をまく 2019』_猫の手縁農隊(提供平島芳香).JPG

■上映2作品
『それでも種をまく』(2011 年/日本/24 分)
構成:小池菜採
撮影:笠原眞弓 堀 純司 中村易世
音楽:松島美毅子
制作:国際有機農業映画祭



有機農業は、生命のつながりの中にある。
生産者と消費者のつながり、生産者と地域のつながり、
そして、循環する生態系とのつながり。
しかし、福島第一原発事故とそれによる放射能汚染は、
こうしたつながりを暴力的に断ち切った。
その痛みの中で、なお「つながり」を取り戻すための
種をまこうとしている人びとの姿を追う。

【推薦文】秩父の小高い山の上に住んでいる。近所に97歳のばあちゃんがいて、
腰は90度に曲がっているが、足腰も耳も目も口も達者で、毎日畑にでて、
結構広い土地で見事な野菜を作る。おすそ分けでよくもらうので、4月のある日、
世間話をしながら一緒に草を取った。福島の話になり、あそこでは今、百姓はみんな
田にも畑にも出られなくて、といった。しばらく黙ったばあちゃんは、
ぽつりと「そんなことになったらおらあ死んじゃうな」とひとこと。
百姓はたとえ地球が壊れても畑に出る。
そんな想いを伝えたいと、映画祭運営委員みんなで、この映画をつくった。(大野和興)

5_『それでも種をまく 2019』_大内 督(2019年10月).png

『それでも種をまく 2019』(2019年/日本/22分)
ナレーション:古田朋子
撮影:笠原眞弓
編集:堀 純司
制作:国際有機農業映画祭



2011年3月11日。
福島第一原発事故は福島や周辺の有機農家を苦境に追い込んだ。
その地に留まり農業を続けた農民。新しい地へ移住し、
その知識と技術を若い人たちに伝える農民。
共同で測定器を購入し放射能を測る農民。
それから8年余り経ち、放射能汚染の残る高線量地域への帰還も
始まっている今、農民たちのその後を追う。

■日時
2021年5月11日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、制作者を交えたトーク&ディスカッションを予定。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の5月10日(月)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

posted by VIDEO ACT! スタッフ at 22:59| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月09日

報告文:第104回 VIDEO ACT! 上映会 〜追悼 映画批評家・木下昌明さん〜

3月30日(火)開催したビデオアクト上映会は、2020年12月6日未明に亡くなった映画批評家の木下昌明さんを追悼するかたちで行いました。木下さんは、直腸がんと前立腺がんを抱えながらも映画批評を続け、生前7冊の著書を発表。2003年より3分間ビデオ『娘の時間』『息子の場合』『三分間の履歴書』『育てる』など、15本の3分間ビデオを制作されてきました。木下さんはビデオアクトの上映会に何度も足を運んでいただきました。筆者をはじめ、何人もの映像制作者を励ましてくれました。

kinoshita_san.jpg

当日の参加者は30名。コロナ禍のため、会場入場者数の上限が30名とされているため満席で、予約の申し出をいただきながらも、参加のお断りさせていただいた方が多数おられました。この場をお借りし、お詫び申し上げます。

「3分間以内であることが条件。プロやアマチュアに関わらず、誰でも何でも表現してよい」というのが3分間ビデオのコンセプト。この企画は1999年の山形国際ドキュメンタリー映画祭へ、ビデオアクトとして参加する際に「誰もが応募できるオムニバス企画をやろうよ」と、ビデオプレスの松原明さんが発案しました。その後、ビデオアクトでは不定期ながら、10回の3分間ビデオ・オムニバス企画を実施。2002年よりスタートしたレイバーフェスタ(レイバーネット日本主催)でも、3分間ビデオのコーナーは欠かせないものとして定着しています。

「働きすぎの娘の身が心配で、証拠映像として撮りためた映像素材がある。これを3分間ビデオにまとめたい」
長年の友人である松原さんに相談したことから、木下さんの3分間ビデオ制作が始まったといいます。
「アドバイスはしたが、構成については木下さん自身が綿密な構成表を用意するので、いつもそれを元に編集していた」と上映後のトークで松原さんは制作の状況を明らかにしました。

20210330_195714.jpg

「人生とは時間だ」が口ぐせだった木下さん。膨大な映画鑑賞と批評、知識を通し、生活者や労働者の視点を頑なに守り、社会や医療を捉えた映像群。プライベートな映像が軸だからこそ、木下さんの人生哲学が滲んだ映像は、まるで走馬灯のように広がります。さらにユーモアとロマンも上品に添えられ、実に濃密で味わい深いものです。ついに、木下昌明監督作品の映画が誕生したのです。今回の上映会用に一本化し『映画批評家の冒険』と名付け構成したのは筆者です。タイトルは木下さんの最初の著書『映画批評の冒険』より引用しました。

20210330_195708.jpg

最後に。木下昌明さん、私はあなたを父親のように慕わせていただきました。あなたの勇気と知恵を習って、私も生きていきます。ありがとうございました。(土屋トカチ)

DVD『映画批評家の冒険』は、ビデオアクトのSHOPページにて頒布中です。
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 21:19| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月02日

ウェブショップ新規登録作品のご案内

2020年12月に惜しくも亡くなった映画批評家の木下昌明さん(享年82歳)。
ペンとカメラを手に世の中と向き合い続けた木下さんが遺した3分間ビデオ全作品がDVD化されました。

『映画批評家の冒険 木下昌明 3分間ビデオ全作品 2003〜2018』
監督:木下昌明/52分/2021年制作

ビデオアクトWebSHOPで、購入できます。
http://www.videoact-shop.com/2021/841
kinoshita_san.jpg
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 14:51| Web Shop 作品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月30日

第104回 VIDEO ACT! 上映会 〜追悼 映画批評家・木下昌明さん〜

=============================
■ 第104回 VIDEO ACT! 上映会 〜追悼 映画批評家・木下昌明さん〜
上映作品『映画批評家の冒険 木下昌明 3分間ビデオ全作品 2003〜2018』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
==============================
■2021年3月30日(火)19時より  
席数が予約上限となりましたので締切ました。ありがとうございました(3/24付)。

2020年12月6日未明、惜しくも亡くなった
映画批評家の木下昌明さん。享年82歳。
木下さんは、直腸がんと前立腺がんを抱えながらも
映画批評を続け、7冊の著書を発表。
そして、2003年より3分間ビデオ『娘の時間』『息子の場合』
『三分間の履歴書』『育てる』など、数々の名作を発表してきた。

ペンとカメラを手に、世の中と向き合い続けた木下さん。
木下さんを追悼し、彼が遺した3分間ビデオ全作品群を
『映画批評家の冒険』と題して一本化し、上映する。

木下昌明カメラ.jpg

■上映作品
『映画批評家の冒険 木下昌明 3分間ビデオ全作品 2003〜2018』
2021年/日本語/カラー/52分(ブルーレイ上映)
監督・撮影・構成:木下昌明 編集:松原 明

■作品タイトル及び制作年度
「娘の時間」(2003)
「続・娘の時間」(2004)
「息子の場合」(2005)
「三分間の履歴書」(2006)
「木下家その後」(2007)
「自転車通勤」(2008)
「沖縄観光」(2009)
「映画批評」(2010)
「赤き狼」(2012)
「育てる」(2013)
「がん わたしの選択」(2014)
「それからの息子」(2015)
「2年前のこと」(2017)
「おしどりマコ出馬宣言」(2018)
+
「追悼 木下昌明さん」(2020) 制作:松原 明

0804自転車04.jpg

■日時
2021年3月30日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、編集の松原明さんを交えたトーク&ディスカッションを予定。
なお、会場にて
DVD『映画批評家の冒険 木下昌明 3分間ビデオ全作品 2003〜2018』を販売予定。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
席数が予約上限となりましたので締切ました。ありがとうございました(3/24付)。
参加希望の方は、上映会前日の3月29日(月)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

■参考音源
木下昌明さんの人柄が伝わってくる、ラジオ番組出演時の音源です。
あるくラジオ第11回「時代に挑み 時代と生きる」−映画批評家・木下昌明さんに聞く


■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

posted by VIDEO ACT! スタッフ at 23:59| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月18日

ウェブショップ新規登録作品のご案内

【VIDEO ACT WebSHOP】に新しい作品が登録されました!
是非、チェックしてみて下さい。


『東京干潟』
監督:村上浩康/83分/2019年制作

東京と神奈川の間を流れる多摩川の河口に広がる干潟で、シジミを採りながら捨て猫たちと暮らすホームレスの老人。彼の干潟での生活と歩んで来た人生を追いながら、現代社会が抱える様々な問題(環境破壊、高齢化、格差、貧困、ペット遺棄など)と昭和から現在までの日本の戦後史を重ねて描いた作品。新藤兼人賞金賞、門真国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞、山形国際ドキュメンタリー映画祭日本プログラム選出など、多数受賞。

http://www.videoact-shop.com/2021/826
higata.jpg


『蟹の惑星』
監督:村上浩康/68分/2019年制作

東京と神奈川の間を流れる多摩川の河口に広がる干潟で、15年に渡りカニの観察・調査を続けている吉田唯義さんと共に、驚くべきカニたちの営みを見つめていくフィールドワーク・ドキュメンタリー。都会の片隅の小さな干潟に様々な個性を持ったカニたちが暮らしており、その姿を驚異の接写映像で捉えた全編カニづくしのワンダームービー。 新藤兼人賞金賞、文化庁優秀映画賞、座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル大賞など、多数受賞。

http://www.videoact-shop.com/2021/834
kani.jpg
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 15:05| Web Shop 作品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月15日

【報告文】第103回 VIDEO ACT! 上映会 〜都市の中にある別世界〜

上映会直前に、新型コロナの感染者急増を受け、東京には緊急事態宣言が出された。昨年は一度、緊急事態宣言によって上映会が中止になっているので心配になったが、今回はなんとか上映会を開催することが出来た。
1月12日に上映したのは『蟹の惑星』(製作・撮影・編集・監督:村上浩康)。緊急事態宣言下にも関わらず、20名の参加者がありました。
『蟹の惑星』は多摩川の河口に400m×200mの広さで広がる干潟に住む蟹の生態を描いた作品だ。導き手は、15年蟹の生態を研究している吉田唯義(ただよし)さん。
yoshida.jpg_large

吉田さんは専門家ではなく、仕事をリタイアした後に多摩川の干潟を観察し始めたとのこと。本作が面白いのは、こうした吉田さんのスタンスもあって、生物ドキュメンタリーにありがちな、啓蒙臭さがないことだ。吉田さんは、蟹の巣穴の石膏型を作ったり、蟹を目隠しして爪の機能を考えてみたり、蟹の求愛行動を観察したりしている。監督の村上さんも、吉田さんの好奇心と同調するかのように、蟹の姿を映像に収めていく。

0d-YpW4L.jpg_large

上映後、村上さんは、「根気さえあれば撮れます」と言ってましたが、その根気たるや大変なものだ。例えば、本作には蟹が脱皮する印象的なシーンがあるが、このシーンは何十個体の脱皮をつなぎ合わせたもので、撮影には3年かかったそうだ。

I8vjufmP.jpg_large

こうして、蟹の生態を見ていると不思議な感じがしてくる。この地球の主役は、蟹ではないのか、と。タイトルが『蟹の惑星』となっていることに納得した。

第103回 VIDEO ACT!上映会.jpg

上映後、蟹の被り物姿で村上監督のトーク。蟹の足は4本、ということを知ってもらうための被り物でもあるそうだ。(ちなみに向かって右側、サルの被り物をしているのはVIDEO ACT!スタッフ、土屋トカチ。)村上さんの話では、2年前、台風19号が来た時に、上流から大量に物が流れてきて、この干潟はほぼ無くなってしまったそうだ。吉田さんも胸を痛めている、とのこと。それでも吉田さんは多摩川の観察を続けているそうです。村上監督は、本作と同時に同じ干潟で『東京干潟』という作品も撮っていて、そちらも俄然、見たくなりました。
『蟹の惑星』のDVD、ブルーレイ、上映情報などは、下記をご参照ください。
https://higata.tokyo/
(本田孝義)
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 12:01| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月12日

第103回 VIDEO ACT! 上映会 〜都市の中にある別世界〜

=============================
■ 第103回 VIDEO ACT! 上映会 〜都市の中にある別世界〜
上映作品『蟹の惑星』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
==============================

■2021年1月12日(火)19時より

0d-YpW4L.jpg_large

令和2年度文化庁映画賞 文化記録映画 優秀賞
座・高円寺ドキュメンタリ―フェスティバル 大賞
新藤兼人賞2019 金賞
グリーンイメージ国際映画祭 グリーンイメージ賞
キネマ旬報文化映画ベスト10 第5位


数々の映画賞を受賞し、話題をさらったドキュメンタリー映画『蟹の惑星』。

身近な自然に目を向けることの大切さと、
都市の中にある別世界を描く全編“カニづくし”のワンダームービーを上映する。

I8vjufmP.jpg_large

■上映作品
『蟹の惑星』
2019年/日本語/カラー/68分(ブルーレイ上映)

製作・撮影・編集・監督:村上浩康
題字:岩渕俊彦
音楽:田中館靖子



■解説
多摩川河口の干潟は狭い範囲に、
多くの種類のカニが生息する貴重な自然の宝庫である。

大都会の中で、これほどのカニが見られる場所はかなり珍しい。
吉田唯義(ただよし)さんは、ここで15年に渡って独自にカニの観察を続けている。
毎日のように干潟を訪れては、カニたちの生態を調べ記録しているのだ。
吉田さんは誰よりも多摩川のカニに詳しいが、その視点はとてもユニークで、
他の人が考えつかないような方法でカニたちの生態を調べている。
映画は吉田さんと干潟をフィールドワークしながら、
カニたちの驚くべき営みを見つめていく。
カメラはカニたちに限りなく接近し、肉眼では決して捉えられない世界を映し、
迫力あるフォルムと美しい色彩が画面いっぱいに拡がる。

そして小さなカニたちの営みが地球や月など、
宇宙とも結びついていることを解き明かし、
さらには戦争や震災が与えた現実の問題までを描き出す。

yoshida.jpg_large

■日時
2021年1月12日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、村上浩康監督を交えたトーク&ディスカッションを予定。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の1月11日(月)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

cLloVx2u.jpg_large
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 22:54| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月06日

【報告文】第102回ビデオアクト上映会 〜フツーの運転手として/追悼・皆倉信和さん〜

ドキュメンター映像を撮っていると、その後、その被写体の人が亡くなってしまうという時もあります。

この『フツーの仕事がしたい』の主人公、皆倉信和さんは、2019年10月19日に亡くなり、今回の上映会は約1年たって追悼の意味をこめて企画されました。

d0134233_18024172.jpg

車が大好きな皆倉さん(撮影当時36歳)は、セメント輸送の運転手でしたが、一ヶ月に522時間(30日で割ると1日17.4時間!)という度を越した長時間労働をさせられていました。
家に帰る時間も無いぐらい働かされていたうえに「会社が赤字だから」と一方的に賃金を下げられました。

生活に限界を感じた皆倉さんは、藁にもすがるような思いで労働組合に相談しましたが、会社はヤクザのような男をつかって暴力によって組合から脱退させようとします。

労働組合との関係があった土屋トカチ監督は、組合の人に「暴力で組合をやめさせようとしている」という証拠になるような映像を撮ってほしいと依頼されます。
そして、皆倉さんが組合の脱退を強要されている映像を撮ろうとした監督も、会社側からの暴行を受けてしまいます。

d0134233_1231545.jpg

組合としては、期せずして証拠映像が撮れたので「もう撮らなくてもいい」との事でしたが、暴行を受けて魂に灯が付いた土屋監督は、この問題についての映像をこっそり撮り続けました。
発注元である組合の人に、撮影し続けている事を感づかれ「一度、見せてくれ」と言われて見せたところ「映像の権利は譲るから勝手に撮り続けていいよ」と言ってもらい、この作品が生まれることになりました。

d0134233_15134850.jpg

セメント業界は過積載(積みすぎ)が慢性化していて、それによる事故も続いていました。
下請けの会社に文句を言っても、構造的に変わらなければ改善しません。
そこで、労働組合が中心になって、もともとの発注をしている会社の前に巨大なスクリーンを貼って、実態を告発する映像を上映をしました。
社員は、驚きの実態の映像を食い入るように観ました。まさしく「ビデオ・アクティビズム」です。
その後、セメント業界は改善し、慢性化していた過積載は無くなりました。

皆倉信和さんは亡くなってしまいましたが、彼が一ヶ月に522時間という長時間労働をさせられていたのも、亡くなってしまった原因のひとつだったのかもしれません。

---
話はさかのぼりますが、実は、私は土屋トカチ監督とは旧知の仲で、元はと言えば1997年に新宿駅西口の地下に「ダンボール村」があった頃、その人達の「新宿夏まつり」というのがあり、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットや朴保バンドなどが出演し、面白そうなのでスタッフとして参加して知り合いました。

その時、私は記録としてビデオを撮っていて、土屋トカチさんにもちょっと手伝ってもらいました。
その時の動画を勝手にYouTubeにアップしている人がいて、いまでも観られます。
https://youtu.be/prF92acFZIY

それがきっかけになって、土屋トカチさんが、私に「自分もビデオの仕事がしたい」と言い出しました。その時は「ビデオの仕事は、時間はかかるし、たいへんだからやめておいたほうがいいよ」と言った気がします。それでもやりたいというので「まずは仕事をやり方を覚えたほうがいいので、どこかの映像制作会社に入ったほうがいいよ」と偉そうに(笑)アドバイスしました。
ところが、映像制作会社で仕事をするのは、やはりなかなか大変で、彼は会社の車をぶつけて怒られたりしてその会社を辞め、次に入ったブライダル映像の会社の社長からは「お前みたいな奴は死ね!」とか言われたらしく、彼に相談を受けた私は、知り合いの関係で労働組合を紹介した事があります。

こうした体験が、土屋トカチ監督をたくましくしたのか、彼は労働問題をはじめ社会のさまざまな問題を告発するドキュメンタリーの映画監督としての才能を開花させました。
そして、なにより、皆倉信和さんを主人公とするこの『フツーの仕事がしたい』によって、ドキュメンタリーの映画監督として認められるようになりました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E5%B1%8B%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%81

私は、土屋トカチ監督の10歳上で、知り合った当時は先輩風を吹かせておりましたが、いつのまにか、どんどん差を付けられてしまいました(苦笑)。
その理由は、いくつかあると思いますが、彼は「逆境に強い」という事と、皆倉信和さんと出会った、というのが結構、大きかったんじゃないかと思っています。
images.jpg
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 15:35| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月05日

第102回 VIDEO ACT! 上映会 〜フツーの運転手として/追悼・皆倉信和さん〜

=============================
■ 第102回 VIDEO ACT! 上映会 〜フツーの運転手として/追悼・皆倉信和さん〜
上映作品『フツーの仕事がしたい』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
==============================

■2020年11月5日(木)19時より

21世紀に甦る、リアル「蟹工船」。

d0134233_15134850.jpg

「フツーの仕事がしたい」 ・・・状況の差こそあれ、心のなかで
そうつぶやいたことのある人は多いだろう。
本作は、数値的にみれば明らかに「フツー」ではない
労働環境に身をおく主人公が、労働組合の力を借りて、
「フツーの仕事」を獲得する過程を描くドキュメンタリーである。
この主人公の労働状況は特別ひどいケースでありながらも、
どこを切っても、いまこの社会を生きる自分につながっていると思わせる。

彼の口から「この業界では、フツーだと思っていた。」
「(運転は)好きなことだから仕方がない・・。」というような
言葉が飛び出すとき、観る者は彼の問題をぐっと身近に感じるはずである。
もし、あなたが毎日の暮らしに追われ、自分の労働環境について
立ち止まり考えたこともなかったとしたら・・・。

12年前に制作された記録映画『フツーの仕事がしたい』。
この映画体験は、おそらく自分がより良い状態で働き、
生きるための大きなヒントになるかもしれない。

<追悼>
本作主人公の皆倉信和さんは、2019年10月19日に
仕事中に急逝されました。享年49歳。

d0134233_18024172.jpg

■上映作品
『フツーの仕事がしたい』
2008年/日本語/DV/カラー/70分(ブルーレイ上映)
https://nomalabor.exblog.jp/

監督・撮影・編集:ナレーション:土屋トカチ
出演:皆倉信和
取材協力:全日本建設運輸連帯労働組合、皆倉タエ、皆倉光弘
ナレーション:申嘉美
音楽:マーガレットズロース「ここでうたえ」 (アルバム「DODODO」より オッフォンレコード)
制作:白浜台映像事務所/映像グループローポジション
配給・宣伝:フツーの仕事がしたいの普及がしたい会
宣伝協力:ポレポレ東中野



■解説
皆倉信和さん(36歳)は、根っからの車好き。
高校卒業後、運送関係の仕事ばかりを転々とし、
現在はセメント輸送運転手として働いている。
しかし、月552時間にも及ぶ労働時間ゆえ、家に帰れない日々が続き、
心体ともにボロボロな状態。
「会社が赤字だから」と賃金も一方的に下がった。
生活に限界を感じた皆倉さんは、藁にもすがる思いで、ユニオン(労働組合)の扉を叩く。
ところが彼を待っていたのは、会社ぐるみのユニオン脱退工作だった。
生き残るための闘いが、否が応でも始まった。

d0134233_1231545.jpg

■日時
2020年11月5日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、土屋トカチ監督を交えたトーク&ディスカッションを予定。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の11月4日(水)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

images.jpg
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 23:59| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月14日

【報告文】第101回ビデオアクト上映会〜あれから97年、関東大震災朝鮮人虐殺〜

上映作品
『隠された爪跡』 監督:呉充功(オウ・チュンゴン)

 9月1日、101回目のビデオアクト上映会は、1分間の黙とうから始まった。97年前のこの日、関東地方をマグニチュード7.9の大地震が襲った。そして、その直後、6,500名以上の朝鮮人が軍隊、警察、そして日本の民衆の手によって、虐殺された。新型コロナウイルス感染拡大予防のため人数制限された会場を「満席」で埋めた30名の参加者は、上映前の暗闇のなか、静かに目を閉じた。

 上映作品は、『隠された爪跡』。37年前のフィルム作品だ。上映素材はDVDだったが、そのフィルムならではの質感と重厚なナレーションに引き込まれ、食い入るようにスクリーンを見つめた。監督は、当時27歳の呉充功(オウ・チュンゴン)さん。横浜放送映画専門学院(現・日本映画大学)の学生だったという。在日二世の呉監督は、さぞ歴史に詳しかったのだろうと思いながら作品を観ていたが、その予想は上映後のトークで簡単に覆された。「全然知らなかったんですよ!小学校低学年までは、自分は日本人だと思ってました」と笑って語る呉監督は、真摯で情熱的で、とてもユーモラスな人だった。

 呉監督がこの問題に関わるようになったきっかけは、学校の卒業制作だったという。同じゼミだった年下の学生が「関東大震災をテーマに撮りたい」と言いだし、呉監督もそれに乗った。そして、ちょうどその頃、荒川の河川敷で地元の古老の証言をもとにした遺骨の発掘作業が行われることをニュースで知り、若い呉監督たちが事情もよくわからないままカメラを持って駆け付けた。で、結局、撮れたのは「穴だけだった…」。遺骨は出なかったのだ。映画『隠された爪跡』は、ここからスタートしたのだと呉監督は教えてくれた。

 映画は、呉監督たちが隠された事実を知っていく過程を丁寧に映し出す。特に、兄を殺され、自らも自警団に刺されて、身体と心に深い傷を負っだ仁承(チョ・インスン)さんの証言が胸を打つ。作品内では「アボジ(お父さん)」と呼ばれる゙さんを通して、呉監督は「人生を学んだ」という。そして映画は、アボジが歩んだ人生を軸に虐殺の歴史的背景に迫っていく…。

 上映後のトークではたくさんの興味深い話を聞けたのだが、特に印象的だったのは「歴史をミクロとマクロ、両方の視点から捉える」という話だった。関東大震災が起こった1923年だけを見るのではなく1919年3月1日から日本統治下の朝鮮で沸き起こった「三・一独立運動」まで遡って捉え返してみるという視点だ。1923年の朝鮮人虐殺は、パニックに陥った民衆が流言飛語に騙されて犯してしまった悲劇という話だけでは済まされない。なぜなら、関東大震災直後に戒厳令の発布を準備した警視総監は、日韓併合による植民地支配下で、朝鮮人の独立運動を厳しく取り締まった当事者でもあったのだ。

 小池百合子都知事は、歴代知事が続けた追悼式への追悼文送付を今年も行わなかった。「関東大震災で朝鮮人虐殺はなかった」とするヘイトスピーチ団体は、今年も9月1日に集会を開いた。そして、虐殺の事実から100年が経とうとしている今でも、日本政府からの正式な謝罪は一切ない。なぜ、今でも隠すのか?

 穴しか撮れなかった撮影から37年、呉監督は現在、三作目を準備中だ。韓国に残された虐殺犠牲者の9家族、計16名を探し当てたという。アボジの悔しさを引き継いだ呉監督の執念に敬意を表したい。そして、心から応援したい。
(土屋 豊)
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 18:39| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする