2025年01月16日

第126回 VIDEO ACT! 上映会 〜巨大IT企業が支配する世界で〜

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■ 2025年1月16日(木) 第126回 VIDEO ACT! 上映会 〜巨大IT企業が支配する世界で〜
上映作品
『Amazon配達員 送料無料の裏で』(2024年/45分/監督:土屋トカチ)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2025年1月16日(木)19時より
「ポチッ」と注文すれば、玄関先にまで届けてくれる。
書籍やCD、DVDはもちろん、家電製品、おもちゃ、食料品、衣料品、医薬品など
あらゆるものが、翌日中には手に入る。しかも、送料無料!
インターネットによる通販で、便利な世の中になりました。
しかし、その末端で働く人々が置かれた状況を、あなたはどれだけ知っていますか?

■上映作品
『Amazon配達員 送料無料の裏で』(2024年/45分/監督:土屋トカチ)

【作品概要】
AmazonやUberEatsなど、インターネット上のプラットフォームを介して
モノやサービスを購入することは、私たちの生活の中で当たり前になりました。
利用者の多くはそこで働く人の実態をほとんど見ることなく商品や食事を受けとっています。
しかし、そこには悲痛な声を上げる労働者がいます。
「一日に200個以上の配達を求められ、スピードを出して無理して回っている」
「休憩を取る余裕もなく、トイレに行くのもままならない」
「個人事業主という契約であるため、残業代や各種手当はない」
「事故にあっても労災保険、休業補償などが受けられない」
本作品ではAmazon配達員の労働問題に焦点を当てつつ、AIによる労務管理や気候危機への影響など、
様々な課題を生み出している巨大IT企業に公正で倫理的なビジネスを求める国際的な運動も取り上げます。

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■スタッフ
ナレーション/鶴見ゆき 
イラスト/ますだたいじ
企画・監修/MakeAmazonPayJapan 実行委員会(内田聖子|浦田 誠|木下徹郎|菅 俊治|関口達矢|土屋トカチ)
監督・撮影・編集・整音・選曲/土屋トカチ

■取材協力
東京ユニオン アマゾン配達員組合 横須賀支部/東京ユニオン アマゾン配達員組合 長崎支部
派遣ユニオン/Fridays For Future Japan/アマゾン労働者弁護団

■制作
特定非営利活動法人アジア太平洋資料センター(PARC)

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■日時
2025年1月16日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の土屋トカチさんを迎えた、トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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posted by VIDEO ACT! スタッフ at 22:59| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年12月06日

【報告文】第125回 VIDEO ACT! 上映会 〜ずっと言えなかったこと〜 

 11月7日、第125回 VIDEO ACT! 上映会を開催しました。サブタイトルは「ずっと言えなかったこと」。上映は『トゥドル叔父さん(英題:My Uncle Tudor)』『言えなかった』の2作品です。ともに子どもや若者への性暴力を題材にした作品で、参加者は約20名でした。

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 『トゥドル叔父さん』はベルギーを拠点とする、モルドバ出身のオルガ・ルコヴニコヴァ監督の作品。2021年のベルリン国際映画祭短編映画祭等でも上映されています。
 『言えなかった』は和光大学映像研究ゼミの卒業制作として、蓮見卯乃さんが監督した作品。広く一般に向けて上映されたのは、今回が初めてとのことです。

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 5月末、筆者は所属事務所・ローポジションの仲間である飯田基晴さんに『言えなかった』を紹介されました。軽い気持ちで昼食をとりながら見始め、数分で後悔しました。制作者の本気度が、数多ある学生の作品とはケタ違いだったからです。監督本人が公開したいと考えているのならば、ぜひビデオアクトで応援したいと思いました。しかし、尺が30分に満たないこともあり、しばし保留状態となっていました。
 そんな折り、私もスタッフで参加しているレイバー映画祭のラインナップに『トゥドル叔父さん』が加わります。制作された国は違えど、子どもや若者への性暴力というテーマは同じです。2作品を併映することで、観客とともに考える時間が持てると思い、企画を進めました。

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 上映1本目は『トゥドル叔父さん』。オルガ・ルコヴニコヴァ監督の故郷、モルドバの自宅が舞台です。自宅には親戚一同が畑仕事をために集まっています。みんなが農作業に出かけた最中、トゥドル叔父さんと監督は二人きりになります。オルガ監督は幼い頃に、まったく同じシチュエーションの中、性被害にあいます。加害者はトゥドル叔父さんです。大人になったオルガ監督はカメラを手に、叔父さんに問答します。「幼い頃の私を覚えている?」と。
 心中は怒りや悲しみでいっぱいのはず。しかし、彼女の口調はとても抑制されています。叔父さんは、加害について問いかけに終始のらりくらりと、はぐらかします。二人の会話に、家の中の小物、壁の亀裂、毛虫や蜘蛛などの生き物、イメージ映像がインサートされていきます。被害を受けている最中、オルガ監督の目に映った風景なのかもしれません。映像は静かに観客へ問いかけます。

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 続いて『言えなかった』。映画監督・撮影監督の小林茂さんが講師を務める、和光大学映像研究ゼミでの卒業制作作品です。ゼミの選択に悩んでいた際、小林さんが性被害をテーマとしたドキュメンタリー映画を制作中と知り、ゼミに加入した蓮見監督。丸一日かけて、蓮見監督が一気に記したという原稿を軸とした本作。主演の稲吉あかりさんがナレーションを読みあげます。
 稲吉さんのモノローグに沿って、電車の車窓、街並み、花、踏切、海、空、公園、ゲームセンターなどのイメージショットが続きます。性被害に関する直接的な映像は避けられていますが、その分、モノローグの内容が観客の心にズシンと響く構成となっています。

 通常、ビデオアクト上映会では監督や関係者を招き、トークとディスカッションを行ってきました。諸般の事情で、オルガ・ルコヴニコヴァ監督の登壇は叶わなかったのですが、蓮見卯乃監督の登壇が可能となりました。そこから、蓮見監督、作品推薦者の飯田さん、ビデオアクトスタッフ間で話し合いを重ね、上映会の進行方法を次のように決めました。

@主題が非常にデリケートなものであるため、通常のビデオアクト上映会で行ってきた挙手による質問は受け付けない。
 事前に用紙を配布し、筆記による質問のみとする。
A質問内容によっては、答えられない、あるいは答えたくないものについて、蓮見監督が自由に選択できる。

 可能な限り、細心の準備をした上映後のトークとディスカッション。特に問題はなく、終始穏やかな雰囲気で進みました。

 「被害者だけ、つらい思いをした人ばかりが、なぜ闘わなければならないのか。根本的な解決とは言えないかもしれないが『あなたは一人ではない。理解しあえる仲間がいる。大丈夫』と本作で伝えたい」と語った蓮見監督。
 『言えなかった』は自主上映会を募集中とのことです。 (文責:土屋トカチ)

<追加情報>
『言えなかった』の主題歌のミュージックビデオもYouTubeで見ることができます。
監督は蓮見卯乃さん。歌と出演は、本作主演の稲吉あかりさんです。

【MV】心呼吸 - 稲吉あかり


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2024年11月07日

第125回 VIDEO ACT! 上映会 〜ずっと言えなかったこと〜 上映2作品『トゥドル叔父さん』『言えなかった』

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■ 第125回 VIDEO ACT! 上映会 〜ずっと言えなかったこと〜
上映2作品
『トゥドル叔父さん(英題:My Uncle Tudor)』(2021年/19分/監督:オルガ・ルコヴニコヴァ)
『言えなかった』(2024年/26分/監督:蓮見卯乃)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年11月7日(木)19時より
内閣府が2023年に発表した調査によると、若年層(16〜24歳)のうち、
4人に1人以上(26.4%)が何らかの性暴力被害に遭っているという。
加害者が近親者の場合、子どもや若者は、いったい誰に相談すればいいのか。
多くの人々は、誰にも打ち明けられず、深い傷跡を抱えたまま生きることになる。

この問題は、日本だけではない。

ベルギーを拠点とするモルドバ出身の映画監督・オルガ・ルコヴニコヴァによる
『トゥドル叔父さん(英題:My Uncle Tudor)』と
和光大学映像研究ゼミの卒業制作『言えなかった』(監督:蓮見卯乃)の2作品を併映し
子どもや若者への性暴力について、深く考える時間としたい。

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■上映2作品
◎『トゥドル叔父さん(英題:My Uncle Tudor)』
(2021年/19分/監督:オルガ・ルコヴニコヴァ/ベルギー・ハンガリー・ポルトガル・モルドバ)

【作品概要】
20年間の沈黙の後、映画監督は曽祖父母の家に戻る。そこで彼女は、彼女の記憶に永遠に深い傷跡を残す
悲惨な出来事を経験した。待ちに待った家族との集まりは、過去を乗り越えようとする彼女の試みと相反する。

【監督のコメント】
私は2011年から映画を学んでおり、以前は他の人々のドキュメンタリー映画を制作していました。
1年前、私は自分の最大の苦痛、つまり何十年も秘密にしてきた子供時代の思い出について、
初めての個人的な映画を制作しようと決めました。
ステレオタイプとは反対に、子供たちは見知らぬ人よりも親戚、友人、教師などの
身近な人からトラウマを負うことが多いです。
親は子供たちに、時には二重人格であるかもしれない
これらの人々を信頼するように教えます。
したがって、子供たちに不適切な大人の行動を特定し、対峙し、報告するように
教えることは非常に重要です。
これが私の映画の中心的なメッセージです。
私は、一見普通の人ですが、残念ながら虐待的なアイデンティティを
隠している男性がいる、理想的で愛情深い家族を描いています。
長年にわたり、私は数百万もの重要な疑問を蓄積してきましたが、
ついにそれらを尋ねる勇気が持てました。
沈黙し、行動しない言い訳はもうできませんでした。
沈黙と恐怖は悪に力を与えます。



◎『言えなかった』
(2024年/26分/監督:蓮見卯乃/日本)

【作品概要】
この作品は、和光大学映像研究ゼミの卒業制作で制作した作品です。
「性暴力」をテーマにしています。
被害を受けたことを誰にも告白できずに悩む主人公あすかは、
誰にも言えなかった自分の話を淡々と語ります。
直接会って話をすることはできなくとも、作品を見て何か感じてくれたら、
「会話」になるのではないか。
この作品を必要とする誰かに、「あなたはひとりじゃない」と伝えたい。
そんなあすかの気持ちを作品に込めました。

■スタッフ
監督:蓮見卯乃 主演:稲吉あかり 出演:蓮見卯乃 ゴトウ
ナレーション:稲吉あかり 撮影:蓮見卯乃 ゴトウ 小林茂
録音:張文卓 照明:ゴトウ 監修:小林茂 編集:蓮見卯乃

■special Thanks
荒巻奈緒 川西紗楽 映像研究ゼミの皆さん 任意団体 Lotus

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■日時
2024年11月7日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の蓮見卯乃さんを迎えた、トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
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2024年09月08日

 【報告文】第124回 VIDEO ACT! 上映会 〜精神障害当事者と演劇〜

上映作品『わたしを演じる私たち』 (2024年/89分/監督:飯田基晴)

 去る9月3日に第124回 VIDEO ACT! 上映会を開催し、『わたしを演じる私たち』を上映しました。参加者は55名で、いつもの上映会より参加者が多く、関心の高さがうかがえました。
 本作は、神奈川県横浜市にあるOUTBACKアクターズスクールの活動を描いた作品。ここでは精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ脚本による演劇活動を続けています。
 冒頭、数人のメンバーが紹介されます。トモキチさん、ドニーさん、えっちゃん、さしくん、新谷さん。各々、状況は様々ですが、どのような困難を抱え、現在どうしているのかが語られます。中でもえっちゃんは、今回の演劇公演の主役となっていきます。
 ワークショップでは、花やボールになってみたり、自らの体験をパントマイムで表現したり。こうした光景は演劇の練習風景としてはよくありそうです。けれども、上映後のトークでOUTBACKアクターズスクール校長・中村マミコさんが「体育会的な発声練習は嫌い」と言っていたように、大声を出す発声練習はありません。他者との関係が苦手な人たちも、一つの演劇を作る中で緩やかな関係が作られていくことが分かります。
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 公演2か月前、劇の台本が出来ました。舞台はえっちゃんが働く喫茶ほっとから始まります。歌の練習もしていることから、劇中、ミュージカルシーンもあるようです。
 劇の形が見えてきた公演2週間前になると、体調を崩す人も出てきます。この場面を見ながら、ふと、この公演は誰のためにあるのだろう、という疑問が湧いてきました。OUTBACKは、いわゆるプロの役者集団とは違うでしょう。プロの役者なら体調不良を乗り越えてでも、公演を成功させなければいけいない。では、OUTBACKのメンバーは、無理をしてでも公演をしなければならないのか。いや、公演である限り、観客に見てもらわなければいけないので、多少の無理もしなければならないのかもしれません。原点に立ち返って、精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ演劇とは何か、ということを考えたりしていたのですが、思考はぐるぐる回って答えは出ません。
 そんなことを思いながら、公演本番の映像を見ていました。
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 上映後のトークに、ヒントがありました。中村マミコさんは、当事者が自らの経験を語り、他者が聞くという活動はよくあるが、もっと開かれてもいいのではと感じていたとのこと。また、福祉ではどうしても当事者を守る方向に行くが、守られていない場所、未知の世界に触れる場所を提供したいとの思いがある、と。また、本作の監督・飯田基晴さんは、ドキュメンタリーでは撮影過程で登場人物が変化していくことが多いが、本作を撮影した際には、変化してもしなくても撮る、と決めていたとのこと。
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 確かに本番の映像を見ていると、出演者は生き生きしているので、彼らは何か変わったのでは、という過剰な期待を持つ、本作を見る観客側も思い込みを持ちがちです。けれども、出演者達は舞台を降りた後も、また自らの日常に戻っていきます。おそらく、出演者にも、OUTBACKにも、本作監督にも、私が先に書いた疑問への答えはないでしょう。答えがない、分からないからこそ、本作を見る面白さがあるように思いました。
(本田孝義)
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2024年09月03日

第124回 VIDEO ACT! 上映会 〜精神障害当事者と演劇〜 上映作品『わたしを演じる私たち』

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■ 第124回 VIDEO ACT! 上映会 〜精神障害当事者と演劇〜
上映作品『わたしを演じる私たち』
(2024年/89分/監督:飯田基晴)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年9月3日(火)18時30分より
神奈川県横浜市にあるOUTBACKアクターズスクール。
ここでは、精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ脚本による
演劇活動が続けられている。演じる俳優陣も当事者たち。
それぞれの人生は、演劇へと結実する。そこから、日本社会が見えてくる。

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■上映作品
『わたしを演じる私たち』(2024年/89分)

■作品解説
2021年に横浜で始まったOUTBACKアクターズスクール。精神疾患を持つ人たちが、自らの実体験を盛り込んだ演劇公演に挑む、その過程に密着した。メンバーの豊かな個性がそのまま劇中のキャラクターとなり、それぞれの困難な人生が、ユーモアに反転されて物語へと紡がれる。公演が近づくにつれ、緊張から体調を崩すメンバーも現れる。舞台というフィクショナルな空間に各々の人生が凝縮され、演劇はドキュメンタリーへ変容する。

■スタッフ
撮影:飯田基晴 常田高志 土屋トカチ
編集:飯田基晴
監督:飯田基晴
製作:映像グループ ローポジション
助成:横浜市地域文化サポート事業・ヨコハマアートサイト2022

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■OUTBACKアクターズスクールとは
コミュニケーションに苦手意識を持つことの多い精神障害当事者にとって、演劇は他者と関わる練習になります。失敗をしてもやり直せるし、失敗から気づきを得たり、面白い場面が生まれることもあります。スクール生たちの中には、病を経ることで、例えようもないほどの苦しみや葛藤を抱えてきた人も少なくありません。ですが、その経験故に得た生き抜く強さ、知恵、豊かな人間性があると思っています。そうした個性を演劇という装置で解き放った時、魅力的な姿とともに、多くの人の心に響く表現が誕生すると考えています。
text by 中村マミコ(OUTBACKアクターズスクール校長)

■日時
2024年9月3日(火)
18時15分/開場 18時30分/開始
上映後、監督の飯田基晴さんと中村マミコさん(OUTBACKアクターズスクール校長)を交えた、トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2024年07月15日

【報告文】第123回ビデオアクト上映会〜子どもたちの目から見た戦争〜

上映作品
『ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―』 監督:古居みずえ

 グーグルに“今日のガザ”と入れてみる。7月14日「ガザの学校空爆、17人死亡」、7月9日「イスラエルが学校攻撃、29人死亡」。昨年10月の戦闘開始以来、ガザでは3万5千人を超える人たちが亡くなったという。その内、子どもは1万3千人以上。その数は、今でも毎日増え続けている。信じ難いほどの、許されない数字だと思う。しかし、その数字の向こうの一人ひとりの、そしてその家族たちの苦しみを思う想像力を、私たちは麻痺させていないだろうか?

 去る7月11日、123回目のビデオアクト上映会が開催された。上映作品は、古居みずえ監督の『ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―』。イスラエル軍によるガザ攻撃は、勿論、昨年10月から始まったことではない。この作品は、今から15年前、2008年から2009年にかけての攻撃によって、一族29人が殺されたサムニ家の子どもたちを描いている。

 テレビニュースのように激しい空爆シーンが続くわけではない。その代わり、目の前で家族を殺された子どもたちの日常やインタビューの様子が淡々と描かれる。そして、その静かで率直な語り口が、私たちの胸に突き刺さる。父親が銃撃されるのを目の前で見た12歳の少年は、飛び散った父の血がこびりついた石を集める。母親のバラバラになった死体を見つけた場所に毎日通う13歳の少女は、「ここに住みたいくらい」だと話す。両親の頭から脳が飛び出していたのを見た12歳の少女、3歳の男の子が見た姉の目から飛び出した目玉…「信仰と教育でイスラエルに抵抗する。それは武器より強い」、「支援物資を望んでいるわけではない。ここでどんな酷いことがあったかを知ってほしい」、「イスラエルは、どうして私たちから全てを奪ったの?」。映画のラストの少女たちの言葉だ。

 サムニ家一族110人は、一軒の家に集められた。そこにイスラエル軍が3発のミサイルを撃ち込んだ。「今、同じことがあちこちで行われている」と、上映後のトークで古居監督は話す。昨年10月の戦闘開始直後、古居監督はこの作品の上映会を開始した。理由は、2023年10月7日がスタートではないことを多くの人に知ってほしかったからだ。「ナレーションによる説明がないからこそ、”体験”できた」。約25名の参加者の内の一人は、そう感想を述べた。また、初めてビデオアクト上映会に参加したという人は、この問題に詳しくないからと前置きしつつ、「どうしてホロコーストを経験した人たちが、同じことができるのか?この悲劇を終わらせるにはどうしたらいいのか?」と率直な意見を語ってくれた。

 私たちにできることは何か?まずは、何が起こっているのか、起こってきたのかを知り、本気で想像することだろう。上映会後の打ち上げで、古居監督に聞いてみた。どうして子どもを撮ることに決めたんですか?と。その答えは、「映画の冒頭に映る、瓦礫の山の前で呆然と立ち尽くす少女と出会ったから」。私たちは、古居監督が捉えたその少女の瞳をスクリーンを通して本気で見つめなければならないだろう。
(土屋 豊)
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※本作品のDVDはこちらで販売しはています。
https://support-miz.thyme.jp/DVD.html
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2024年07月11日

第123回 VIDEO ACT! 上映会 〜子どもたちの目から見た戦争〜 上映作品『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』

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■ 第123回 VIDEO ACT! 上映会 〜子どもたちの目から見た戦争〜
上映作品『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』
(2011年/86分/監督:古居みずえ)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年7月11日(木)18時40分より
2023年10月に戦闘が始まってからパレスチナ自治区ガザ。
死者3万4千人以上を超えた今もイスラエル軍の空爆は続く。
うち、子どもの死者は1万3千人以上といわれています。(2024年5月8日現在)

今回上映する『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』は
2011年に発表された作品です。
現在の状況は、2023年10月から急にはじまったわけではありません。
日本にいる私たちに、何ができるのかを考える機会になることを願い、
本作を上映します。

■上映作品
『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』(2011年/86分)

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■作品解説
1400人という多くの犠牲を出した、2008年から09年にかけてのイスラエル軍
によるパレスチナ・ガザ地区への攻撃。
本作の監督であるジャーナリスト・古居みずえは、攻撃直後に現地に入り、
300人以上の子どもたちが犠牲になっていたことに大きなショックを受け取材を始める。
ガザ南部の農業地帯ゼイトゥーンに住むサムニ家の子どもたちは、一族が一度に29人も殺されるという、
過酷な事件を経験していた。古居みずえのカメラは、家族を失いながらも、懸命に生きる子どもたちの
生活を静かに見守り、彼らの心の傷と変化を写し出す。20年以上パレスチナに通い続けてきた古居みずえ
だからこそ描きだせた、事件の後の“真実”。それに触れることは、瞬間的に消費される情報が飛び交う中で、
「世界を理解するために知るべきことは何か?」を示してくれるだろう。

■映画『ぼくたちは見た』公式サイト
https://whatwesaw.jp/

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■スタッフ
監督・撮影:古居みずえ『ガーダ ーパレスチナの詩ー』『飯舘村 べこやの母ちゃん』
プロデューサー:野中章弘、竹藤佳世
編集:辻井 潔  音響設計:菊池信之 音楽:ヤスミン植月千春
協力:横浜YMCA対人地雷をなくす会、古居みずえドキュメンタリー映画支援の会
製作・配給:アジアプレス・インターナショナル
2011年/日本/カラー/86分/DVCAM/ステレオ 

■予告篇


■日時
2024年7月11日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2024年05月16日

【報告文】第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜

上映作品『風に立つ愛子さん』 

 2024年5月9日、第122回 VIDEO ACT!上映会を行いました。上映作品は、『風に立つ愛子さん』(監督:藤川佳三/2022年/75分)。約20名の参加がありました。今年2024年の元旦に「令和6年能登半島地震」が発生。5カ月が経過しました。震災復興後、どの地でも起こりえる問題が描かれている本作を選考し、上映しました。

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 2012年、監督の藤川佳三さんは『石巻市立湊小学校避難所』を発表されます。本作は、その続編にあたります。2011年3月11日に起こった、東日本大震災。津波で被災した宮城県石巻市在住の村上愛子さん(当時69歳・通称:愛子さん)と藤川監督は、湊小学校避難所で出会います。その後も愛子さんを取材し続け、亡くなられる2018年までの8年間が綴られた作品です。

 前作『石巻市立湊小学校避難所』の舞台となった避難所は、当時1千名くらいの人々が避難されていました。石巻市内で最大級の避難所だったそうです。石巻市とは縁もゆかりもなかった藤川監督。知人の映画作家の紹介で、初めて避難所を訪れます。2011年4月21日のことでした。それから避難所が閉鎖する10月11日までの約半年間、避難所に滞在しながら撮影を続けたといいます。

 『石巻市立湊小学校避難所』では、愛子さんと小学生のゆきなちゃん(当時10歳)の関係性を軸とし、主に7名の被災者の姿が描かれていました。10月に避難所が閉鎖されるまでが前作で描かれていました。その後、仮設住宅、復興住宅と住居が変わっても藤川監督が絶えず交流をし続けたのは、愛子さんのみ。その理由は、愛子さん自身が身内と交流を一切絶っており、高齢で独り暮らしを続ける愛子さんのことが、藤川さんは心配だったからです。

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  『風に立つ愛子さん』の主な舞台は仮設住宅です。独り暮らしの愛子さんは、藤川さんのカメラの前でたえずおしゃべりをしています。生活のすべてを奪ったはずの津波に「様」と敬称をつけたり、「あの津波は、私にとって幸せ運んできたの」と語るのです。
 率直なところ、津波に「様」を付ける表現に、私は強い違和感を覚えました。しかし、愛子さんの表情は真剣です。おしゃべりは、高校に進学せず、結婚を選ばず、長い間家族の介護や援助をしてきたこと。そんな紆余曲折の半生が思い出話で語られます。映画が進むにつれて、愛子さんが、津波に「様」を表した意図が、少しずつですが感じられるようになります。

 「この長屋住まいで、心豊かになれた。裸一貫の清々しさがあった。何もないのが良かった。あの頃には戻れない」と避難所での生活を振り返る愛ちゃん。仮設住宅ではご近隣との交流はあるのですが、部屋の中での一人語りは異なります。愛子さんと藤川監督との関係性が映像を通して伝わってきます。魂の交流、または恋愛関係に似た感触を私は感じました。
 2017年、76歳になった愛子さんは復興住宅へ転居します。仮設住宅とは異なり、外壁の防音もしっかりしています。隣近所とのお付き合いが乏しくなったことも要因かもしれません。悲しいことに、転居から半年後、愛子さんは亡くなりました。
 上映後 「愛子さんが生きていれば、この映画は生まれていない」と言い切った藤川さん。取材中に愛子さんが語ったという、印象深い言葉を紹介してくれました。

 「私のことを見つけてくれてありがとう」

 これは、 藤川監督だけでなく、私たち観客へのメッセージでもありますね。

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『風に立つ愛子さん』をスクリーンで拝見するのが、実は2回目の私。2023年9月に渋谷・光塾で開催された試写会が初見でした。その際、私には内容が良くくみ取れませんでした。
 その理由として思い当たることが3つあります。1つめは、愛子さんのハイトーンな声に、正直なところ中盤から疲れてしまったこと。2つめは、プライベートな内容の作品に沿った、監督による主観ナレーションなのに、朗読を他者に委任していることで生じる違和感。3つめは、本作にあまり自信を持っていないオーラを藤川監督に感じたことです。

 今回、ビデオアクト上映会で再見したことで、試写で感じたことは軽減しました。それは上映会後の藤川監督が、活き活きと本音で話されていたからだです。
 「実のところ、本作は編集し直したいと考えている。現行ヴァージョンには、僕が逃げていた要素がある」と語った藤川監督。その言葉が、私にはゾクゾクするくらい嬉しかった。藤川監督が本作にモヤモヤ感じていた部分を編集でスッキリさせれば、もっと沢山の観客に「愛子さん」と出会ってもらえると確信します。再編集版の完成を期待しています。 (文責:土屋トカチ)

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2024年05月07日

第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜 上映作品『風に立つ愛子さん』

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■ 第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜
上映作品『風に立つ愛子さん』
(2023年/75分/監督:藤川佳三)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年5月9日(木)18時40分より
東日本大震災で被災した石巻市の女性。
避難当時69歳だった愛子さんは、避難所で「愛ちゃん」の呼び名で慕われた。
明るいキャラクターで周りを笑顔にした愛子さんは
仮設住宅での1人暮らしになった時、自分の思い出を語り始めた。

■上映作品
『風に立つ愛子さん』(2023年/75分)

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■作品解説
津波に遭っても、私は私自身でありたい。

2011年東日本大震災の時、石巻市の避難所で出会った
村上愛子さんと監督との8年間の記録。
当時69歳、明るいキャラクターで慕われた愛子さんだが、
やがて仮設住宅で一人暮らしとなった時、自身の思い出を語り始める。
高校に進学せず、結婚も選ばず、紆余曲折の人生を送った
彼女が残したメッセージとは?
北上川の風景をみながら綴っていく追憶のポエトリー。

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■スタッフ
監督・撮影:藤川佳三
出演:村上愛子
編集:大重裕二
実景撮影: 田中創
整音: 黄永昌
音楽:植田智道
ナレーション:片山享
製作:I N &O U T

■予告篇


■日時
2024年5月9日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始
上映後、監督の藤川佳三さんを迎え、トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2024年03月25日

【報告文】第121回 VIDEO ACT! 上映会 〜『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』完成記念上映会〜

上映作品『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(監督:湯本雅典)

 2024年3月21日、第121回 VIDEO ACT!上映会を行いました。上映作品は、『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(監督:湯本雅典)で、完成記念上映会となりました。約70人の参加者があり、会場は満席となりました。
 本作を見ながら、湯本雅典監督の集大成かもしれない、との思いを強くしました。近年、湯本監督は、沖縄諸島への自衛隊基地配備の問題を描いてきましたが、その前には、選挙での市民共闘を描いていました。本作は、確かに沖縄県石垣島でのミサイル基地配備の問題を描いているのですが、民主主義とは何かを鋭く問いかける作品になっているからです。
 石垣市には、自治基本条例があり、住民投票についても定められていました。そのため、石垣島に自衛隊基地が作られるかもしれない、ということが分かってから、金城龍太郎さん、宮良麻奈美さんらは「石垣市住民投票を求める会」を作り、署名活動を始めました。彼らは決して「基地反対」を掲げたわけではなく、何も言えないまま基地が作られるのは良くない、と考えたからです。署名は有権者の1/3以上を集め、住民投票の条件を満たしたはずでした。しかしながら、石垣市議会は、住民投票条例制定を否決。以来、住民投票は行われていません。金城さんらは、署名をしてくれた人達への責任を感じ、訴訟を起こします。しかしながら、裁判では敗訴が続きます。その判決理由は滑稽極まりないものですが、詳細は省きます。さらに驚くことに、その間に、石垣市議会は自治基本条例から住民投票条項を削除してしまうのでした。意思表示をしたい、といういたってシンプルな思いは、こうして封じられていくのでした。
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 次に本作では、石垣市市長選挙が描かれます。ここでいわゆる保守派だった砥板芳行さんが、現職の市長と袂を分かって、立候補します。彼は、住民投票条例を否決した議員の一人です。ですから、基地建設に反対してきた花谷史郎さん(石垣市議会議員)は、当初、にわかには彼のことを信用出来ませんでした。しかしながら、様々な困難を乗り越え、砥板芳行さんは野党統一候補になるものの、現職市長には勝てませんでした。
 こうして、2023年3月、石垣島に陸上自衛隊駐屯地が開設。この日のことは、本土でも断片的にニュースとして報道されましたが、先に述べたような経緯があったことは、おそらくほとんどの人が知らないでしょう。
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 本作を見て感じるのは、自分が住んでいる地域で何か問題が起きた時、意思表示出来るのか、意思表示をする機会はあるのか、ということでした。ですから、冒頭、本作は民主主義とは何かを問いかける、と書いたのです。沖縄の基地問題に関心がある人だけではなく、学校の社会科の授業などでも見せてほしいと思いました。
 上映後、活発な意見交換がありました。
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 本作は、下記にて購入できます。上映権付なので、ぜひ、上映が広がってほしいと思います。
https://yumo.thebase.in/items/84420095

(報告文:本田孝義)
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 11:42| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする