2022年01月12日

【報告文】第109回 VIDEO ACT! 上映会 アート・プライベート・ドキュメンタリー

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1月11日に第109回上映会を“アート・プライベート・ドキュメンタリー”と題して行いました。上映作品は『Maelstrom(マエルストロム)』(監督/編集/ナレーション:山岡瑞子)でした。新型コロナ禍の第6波と言われる再拡大が起き、上映会が無事開催出来るのか、という不安もありましたが、開催出来ました。参加者は30名。会場の人数制限があり、この人数で満席でした。
『Maelstrom(マエルストロム)』とは、大混乱、という意味だそうです。本作は監督の山岡瑞子さんの個人史が綴られた作品です。
映画はまず、山岡さんの家族と家の古い写真から始まります。監督本人のナレーションで、家族との葛藤が語られます。家に窮屈さを感じていた山岡さんは、ニューヨークの語学学校へ留学した後、美術大学へ転入し、ファインアートを学ぶ中で自由に表現する世界を知ります。
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美大を無事卒業し、新たに住むアパートも決まった矢先に、山岡さんの人生を変える出来事が起きます。自転車で銀行に向かっている時、交差点で交通事故に遭い、目を覚ました時はICUのベッドの上でした。頸椎損傷により、自分の足では歩けなくなってしまったのです。
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アメリカの病院から神奈川県の病院へ転院し、さらにリハビリを続けながら、自立できるか不安だった、と山岡さんは語ります。
ここまで記してきましたが、『Maelstrom(マエルストロム)』という作品では、序章とも言えます。以後、山岡さんは、自立への道を模索し、様々な人との出会いと別れがあり、家族との関係も変化していきます。そうした中でも、山岡さんの中には、何かを表現したいという欲求が常にあったように思います。そのための手段として、山岡さんは日々の生活をビデオカメラで記録するようになっていきます。そうした日々を本人のナレーションによって、淡々と語っていきます。
映画は終幕で、山岡さんが再びアートの世界に帰還したことを告げます。私はこの帰還に深く感動しました。
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上映後、大きな拍手が起きました。
本作は、様々な視点から見ることが出来ると思います。両親との葛藤を抱えている人、生きづらさを抱えている人、身体に障害がある人、何かを表現している人。本作は山岡さんの個人史ではありますが、どこかに見た人の琴線に触れる部分があるのではないか、と思います。
上映後の質疑応答では、作品が出来だばかりということもあり、やっとまとめられた、と山岡さんが語っていたことが印象深かったです。
本作は、おそらく山岡さんにとって、第二の出発点になるのでしょう。『Maelstrom(マエルストロム)』がこれから羽ばたき、山岡さんも羽ばたいていくことを感じさせる上映会でした。
(報告文:本田孝義)
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 11:57| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする