上映作品
『原発故郷3650日』 監督:島田陽磨
3月24日、ビデオアクトの110回目の上映会が開催された。上映作品は『原発故郷3650日』。あの福島第一原発事故から10年後の2021年につくられた作品だ。作品を観る前、「10年後だから、1年365日×10年=3650日か…」と軽く考えていた。しかしこの作品は、その“軽さ”こそを問う、重く、重要な作品だった。
冒頭、これまで大きく取り上げられることが少なかった重い情報が示される。「福島県内の自殺率は震災4年後に急上昇」、「児童虐待などのDVの件数は10倍近く増加」、「2018年度の福島県の20歳以下の自殺率は全国1位」…確かに、あれから10年経った。しかし、原発事故によって故郷を奪われた人々の10年、3650日、87600時間は、区切りなどつけられない、出口の見えない苦しい時間の積み重ねだったのだ。
避難中、中学生の長男を自死で失った男性は、「子どもを守れなかった、ばかな男です」と自責の念に苛まれ、アルコールに依存しながら、「消えたい…」と微かな声でつぶやく。帰還困難区域から家族で千葉に移住した男性は、家族間で故郷の話ができない。話せば、軋轢、分断が生まれるのが目に見えているからだ。その男性の20歳になる娘は、インタビューで故郷について問われ、「帰ってみたいです」と目を伏せる。避難指示が全面解除され、居住率が6割となって復興の“お手本”とされる町に住む年配の女性は、子どもたちが住めず、実際のところは一向に元に戻らない故郷を思い、途方に暮れる。
“復興”とは、何だろう? 悲しさは“克服”できるのか? 上映終了後、そんなことを重い気持ちで考え込んでいたら、この日も取材で福島を訪れていて、トークの時間ギリギリに駆けつけて頂いた島田陽磨監督がこんなことを言った。「大切なのは、つらいことをつらいと言えること。弱音が吐けること」。そして、「このことは、被災地だけの話ではない。もっと広い、普遍的な問題ではないか」と。
「頑張れ、克服しろ」と言われても、悲しさ、苦しみは消えてなくならない。共に生きていくしかないのだ。そのためには、苦しむ人を孤立させない周囲の人々の心の支えが必要だ。中学生の長男を自死で失った男性は、支援者の助けによってアルコール依存を治療するための入院が決まった。東京電力は何をやっている? 国は何を“復興”させている?
この作品では、なぜ日本に、福島に原発が持ち込まれたか、その構造的な背景も描かれる。今も苦しみ続ける人々の実情を知ったあとではなおさら、その非情さ、無責任さに怒りが込み上げる。
(土屋 豊)
※『原発故郷3650日』のDVDは、ビデオアクトのWebSHOPでご購入頂けます。
http://www.videoact-shop.com/2021/847
2022年03月26日
2022年03月24日
第110回 VIDEO ACT! 上映会 〜あれから11年 フクシマの今〜
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■ 第110回 VIDEO ACT! 上映会 〜あれから11年 フクシマの今〜
上映作品『原発故郷3650日』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2022年3月24日(木)19時より
原発事故から10年以上が経過。
「復興」のイメージが強調されるなか、被災地の人々の傷は年月を重ねるごとに、むしろ深くなっている。
なぜ、かれらは苦しみを背負わなければならなかったのか。被災地の今を追い、語られることのなかった歴史を掘り起こす。
■上映作品
『原発故郷3650日』(2021年/70分)
【プロデューサー】立山勝憲
【撮影・監督】島田陽磨
【撮影・編集】鈴木響
【音響効果】田上ゆかり
【後援】原発をなくす全国連絡会
【企画・制作】日本電波ニュース社
■作品解説
福島第一原子力発電所の事故から10年以上が経過。
「復興」の掛け声が声高に叫ばれる中、事故の記憶は日に日に風化しつつある。
しかし、被災地の人々が心に負った傷は、年月を重ねるごとに、むしろ深くなっている。
避難中、息子が自死し自責の念に苛まれる男性。
復興の「お手本」とされる町で、変わり果てた故郷の実態に苦しみながら暮らす女性。
引き裂かれていくコミュニテイ、家族との溝に悩む男性。
本作品では、現在(いま)の福島の実相を伝えるとともに、なぜ福島に原発が設置されたのか、
埋もれていた文書を元にその構造的な背景に迫り、原発の再稼働や「核のゴミ」の最終処分場選定の動きも追う。
■予告篇
DVD「原発故郷3650日」
■日時
2022年3月24日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の島田陽磨さんを交えたトーク&ディスカッションを予定。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)
■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の3月23日(水)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
■ 第110回 VIDEO ACT! 上映会 〜あれから11年 フクシマの今〜
上映作品『原発故郷3650日』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2022年3月24日(木)19時より
原発事故から10年以上が経過。
「復興」のイメージが強調されるなか、被災地の人々の傷は年月を重ねるごとに、むしろ深くなっている。
なぜ、かれらは苦しみを背負わなければならなかったのか。被災地の今を追い、語られることのなかった歴史を掘り起こす。
■上映作品
『原発故郷3650日』(2021年/70分)
【プロデューサー】立山勝憲
【撮影・監督】島田陽磨
【撮影・編集】鈴木響
【音響効果】田上ゆかり
【後援】原発をなくす全国連絡会
【企画・制作】日本電波ニュース社
■作品解説
福島第一原子力発電所の事故から10年以上が経過。
「復興」の掛け声が声高に叫ばれる中、事故の記憶は日に日に風化しつつある。
しかし、被災地の人々が心に負った傷は、年月を重ねるごとに、むしろ深くなっている。
避難中、息子が自死し自責の念に苛まれる男性。
復興の「お手本」とされる町で、変わり果てた故郷の実態に苦しみながら暮らす女性。
引き裂かれていくコミュニテイ、家族との溝に悩む男性。
本作品では、現在(いま)の福島の実相を伝えるとともに、なぜ福島に原発が設置されたのか、
埋もれていた文書を元にその構造的な背景に迫り、原発の再稼働や「核のゴミ」の最終処分場選定の動きも追う。
■予告篇
DVD「原発故郷3650日」
■日時
2022年3月24日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の島田陽磨さんを交えたトーク&ディスカッションを予定。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)
■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の3月23日(水)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp