2011年01月27日

「ヒロシマと世界をつないで平和を探究する映像文化の形成」事業

<以下、転載します>

広島市立大学社会連携プロジェクト研究「ヒロシマと世界をつないで平和を探究する映
像文化の形成」事業
表現の臨界点(クリティカル・ポイント)
──広島の現在と赤狩り、安保、沖縄──

http://www.hiroshima-cu.ac.jp/event/content0075.html

表現と政治の危機にある広島。その現在を世界史的に照射し、文化の想像力を問う映画
上映、シンポジウムなどの連続企画。

【企画趣意】
 臨界とは、核分裂が活性化する瞬間をいうが、英語ではCritical Pointという。もの
ごとが変化する一瞬、あるいはその瞬間の断続/持続/連続。さらに、クリティカル、
クリティックは、「危機」であり「批評・批判」をも指す。いま、「国際平和文化都市
」広島が、危機=臨界点を迎えているとする市民は少なくない。ではそれはどのような
状態にあるのか。また、どのような変化への予兆を感じさせ、それだけではなく、私た
ちがどのような方向に転化する可能性を再想像できるのか。全体のタイトルには、その
ような思いと問いを込めた。
 今回の企画は、沖縄、北海道、韓国で反米軍基地闘争に現場で取り組む人たちを追っ
た『Marines Go Home』、マッカーシズム/赤狩りの吹き荒れるなかで審問の場に召喚
されたドイツ出身の劇作家ベルトルト・ブレヒトの姿を再現したドキュメンタリー・ド
ラマ『審問の極意』、日本の安保闘争に関わった表現者たちを主として取材した『ANPO
』を上映し、他にいくつかの関連作品を参考上映する。
 政治と文化はもともと画然とわけられるカテゴリーではないが、時に文化(芸術・大
衆文化)は政治利用され、時に鋭く対立する。その関係自体を、本来文化と呼ぶことも
政治と呼ぶこともできるだろう。ここに、いくつもの臨界点をみる。
 シンポジウムでは、政治、芸術、大衆文化のあいだの臨界点を、戦前のナチズムや日
本ファシズムのもとでの抵抗としての文化、内国植民都市としての軍都廣島におけるモ
ダニティや抵抗文化、冷戦期における大衆文化の想像力を現在的な視点から再評価・批
評・批判しつつ、「いま、ここ」広島における表現と政治の危機を論じることになるだ
ろう。
東琢磨(音楽・文化批評)

【企画I】
表現の臨界点(クリティカル・ポイント)──広島の現在と赤狩り、安保、沖縄I
東アジアの国際理解を深め、平和をともに考える映画上映会&討論会(辺野古キャラバ
ンin広島)

上映作品:藤本幸久監督『Marines Go Home 2008──辺野古・梅香里・矢臼別』(2008
年/118分)

作品紹介:米軍の新基地建設を11年間止め続けている沖縄・辺野古のおじいやおばあ
たち。20年の闘いで米軍の射爆場を撤去させた韓国・梅香里の漁民たち。40年間北海道
・矢臼別演習場のど真ん中に暮らし続ける農民。志を守り、屈せずに闘い続ける人々の
姿を追った渾身のドキュメンタリーが、東アジアの今を照らし出す。

ゲスト:藤本幸久(映像作家、上映作品監督)、崔真碩(文学者、翻訳者、役者)、
范叔如(アーティスト)

日時:2011年1月28日(金)18:00〜20:30(開場:17:30)
会場:広島市留学生会館2階ホール(広島市南区西荒神町1-1/Tel.: 082-568-5931)
入場料:一般1000円/学生・生徒無料

【企画II】
表現の臨界点(クリティカル・ポイント)──広島の現在と赤狩り、安保、沖縄II
東アジアで女性として生きること、働くことを考える映画上映会

上映作品:キム・ミレ監督『外泊』(韓国/2009年/73分:Kim Mire: “Weabak”)

作品紹介:2007年6月30日夜、500人の女性労働者たちが韓国ワールドカップ競技場に
あるホームエバー・ハイパーマーケットのカウンターを占拠した。翌7月1日「非正規職
保護法」施行。ホームエバーを経営するイーランドグループは、レジ係の外注化や新賃
金体系で、差別を固定化しようとしていた。非正規、正規の女性労働者たちはその差別
的扱いに怒り、立ち上がったのだ。『外泊(ウェバク)』は、510日間続いた女性労働
者たちの闘いを描く。女性たちはマーケットに毛布を敷きつめ、家を離れ、「外泊(泊
まり込み)」を始めた。食料を持ち寄り調理し、互いの思いを語り合う。歌い、踊り、
泣き、笑い、労働闘争はいつしか家族的役割からの解放の場を生み出す。

日時:2011年2月1日(火)19:00〜21:30
会場:ひろしま女性学研究所1階すぺーすf(広島市中区白島北町16-25/Tel.: 082-21
1-0266)
入場料:一般1000円/学生・生徒無料
上映後、監督キム・ミレさんのトークあり。

【企画III】
表現の臨界点(クリティカル・ポイント)──広島の現在と赤狩り、安保、沖縄 III
抵抗としての文化の想像力を問う映画上映会&シンポジウム

上映作品:
バートランド・ソーズィエー監督『審問の極意──ブレヒト対非米活動委員会』(ア
メリカ/1979年/31分:Bertrand Sauzier: “A Good Example: Bertolt Brecht and H
UAC”)
作品紹介:日本語版初公開! 赤狩りの嵐が吹き荒れるなか、「ハリウッドの十人」と
ともにブレヒトも非米活動委員会の審問に召喚される。抵抗の作家は、審問にどのよう
に応じるのか。その記録をもとにドラマで再現する。ブレヒト役のDavid Rothauserは
映画 “Hibakusha, Our Life to Live” 監督。

リンダ・ホーグランド監督『ANPO』(アメリカ、日本/2010年/89分:Linda Hoaglun
d: “ANPO”)
作品紹介:今から半世紀前の60年安保当時、熱かった日本をアーティストがどのよう
に表現したのか。60年安保を知るアーティストたちの証言と作品を通して、日本とアメ
リカの関係の問い直しを日本人に迫るドキュメンタリー。

シンポジウム
広島の現在と抵抗としての文化
──政治、芸術、大衆文化と広島──

基調講演:東琢磨(音楽・文化批評)
「政治・芸術・大衆文化──抵抗としての文化と広島の現在」
パネリスト:井上間従文(まゆも)(比較文学)、上村崇(倫理学)、小田智敏(哲学


日時:2011年2月5日(土)13:00〜19:00(開場:12:30/映画上映:13:00〜15:10/シ
ンポジウム:15:30〜19:00)
会場:広島市立大学講堂小ホール(広島市安佐南区大塚東3-4-1)
入場無料
※公共交通機関(花の季台、こころ西公園、くすの木台行き広電バス)でお越しくだ
さい。

【企画IV】
表現の臨界点(クリティカル・ポイント)──広島の現在と赤狩り、安保、沖縄 IV
無職と平和リターンズ

上映作品:富田克也監督『雲の上』(2003年/140分)

作品紹介:とある地方の片田舎。そのまた小さな、「集落」という呼び名が未だ通用
しそうなその土地に、錆の浮いた赤い屋根の寺があった。この集落を檀家とする寺「紅
雲院」の跡取りである主人公が自ら犯してしまった傷害事件の刑期を終え、出所する所
から物語は始まる。数年の時を経て目にする、住み続けていた者には気付けない小さな
変化は、主人公にとって、もはや取り返しのつかない程大きなものに思えた。それを象
徴するかのように、紅雲院の赤い屋根の改修工事が進んでゆく……。そもそもの発端は
何だ? 自らが犯した事件に纏わる、小さな湿った土地の呪縛、情。主人公はそれに抗
おうとし、しかし、魅入られてもゆく。

トークショー:「勝手に映画を撮る方法」

ゲスト:富田克也(上映作品監督)、相澤虎之助(富田監督『国道20号線』脚本)、
ヒデヨヴィッチ上杉(ギター、ヴォーカル)、のっこん(シンガー・ソングライター)
※ライブあり!

日時:2011年2月13日(日)17:00〜
会場:横川シネマ(広島市西区横川町3-1-12/Tel.: 082-231-1001)
料金:一般1800円/学生1500円

主催:広島市立大学社会連携プロジェクト研究「ヒロシマと世界をつないで平和を探
究する映像文化の形成」
共催:ヒロシマ平和映画祭実行委員会
お問い合わせ:広島市立大学国際学部・柿木(Tel./Fax: 082-830-1767)


posted by VIDEO ACT! スタッフ at 11:42| おすすめイベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする