2011年01月29日

第53回 VIDEO ACT! 上映会 〜「在日」ってなあに? 〜朝鮮学校に対する差別をめぐって〜 報告文

2011年1月27日、今年最初の上映会は
「在日」ってなあに? 〜朝鮮学校に対する差別をめぐって〜と題して4つのショート作品を上映した。
会場には、上映作の制作者、るんみさんと湯本雅典さんも来場してくれた。

るんみさんは「すぐ観てわかる在日問題の映像がなかったので作りました。外国人留学生の意見を
あえて入れたことを一番大事にしたい」と話し、元教員でもある湯本さんは「教員時代、在日の
子供達に何もしてあげられなかった。私は朝鮮人です、名前は〇〇です。と言えないのは日本の
教師が職場でモノを言えない現状にも通じている。だから自分は撮っていると思う」と話した。

飯田橋ボランティアセンターに来場した35名の参加者も活発に意見を交換しあった。

・40年前朝鮮人学校で教師をしていた。これは教育問題だが、どうしても政治が絡むことが多い。
また自分も祖父が強制連行で福島の炭鉱に来た子孫だが、小学生のときは、クラスで一人きりの
朝鮮人だった。登校中、土の中に首まで埋められて動けず、夜になっておばあさんに助けられ、
全身がふやけたこともある。そのような差別の中で過ごし、戦後、朝鮮人部落に入って初めて
自分が人間に戻った思いで、解放された気持ちになった。私たちの国が日本の植民地になって
失ったのは土地だけではない。言葉、文化、尊厳も失ってしまった。それは教育がなかったから、
それが奪われたから、まず、自分の名前、言葉、すなわち尊厳を取り戻そうというところから
朝鮮学校が始まったのだ。北とか南ではなく明るく礼儀正しい子供たちの顔を曇らせたくない、
その一念だ。(埼玉・在日朝鮮人、男性)

・ネットで検索できない真実はたくさんある。阪神大震災のとき、共同で炊き出しをやったが、
日本の多くの寺などは門を閉ざした。場所を提供してくれたのは山口組や総連だった。
その事実をみんなが知っている。また、私はサッカー少年だったが、当時は野球が全盛期で
サッカーは今ほどの市民権がなく、練習場や技術の取得で近くの朝鮮学校に胸を借りた。
このような事実から、今の日本サッカーの生みの親は朝鮮だということをみんなが知っている。
壁を作っているのは日本人のほうで、朝鮮から歩みよって、というのはかなしい、まちがった、
傲慢な、順序が逆立ちした考え方であると、映画を観て改めてそう思った。(男性)

・「ぼくらの学校なくなるの?」は、とても観やすく完成度の高い作品と感じた。
また、無邪気な子供達の様子は「同じ子供」という印象を深めた(アンケートより・女性)

・枝川初級朝鮮学校の校舎立ち退き問題を知り、カンパぐらいで残念に思っていたので
「ぼくらの学校なくなるの?」を是非観たくて参加しました。学校に通う子供たちの
生き生きとした表情などを実感できる映像の持つ力、すごいです。(アンケートより・女性)

湯本さんは「壁を作っているのが日本人なら、あきらめているのも日本人。僕自身もあきらめが
あったが、カメラを持って撮影に通う自分にちょっと光を感じている。これからも撮り続けたい」
と続け、るんみさんも「「在日」の私の捉え方は、日本人の側、朝鮮人の側という考え方ではなく
、日本社会に生きる人の側として考える。日本社会の一員として身近な問題を解決に向けて
働きかけていきたい」とした。

上映の順番は以下のとおり。

1、『ぼくらの学校なくなるの? 〜立ち退き問題に揺れる朝鮮学校〜』
   取材・制作:近藤剛、後藤由耶 (2004年,16分,OurPlanet-TV)

2、『近くて遠い学校』作者:るんみ (2010年,15分)

3、『「絶対に、この闘いに勝ちたい!」(朝鮮学校生徒)』
   撮影・編集:湯本雅典 (2010年,4分)

4、『ウリハッキョ(私たちの学校)が、好きです! 』
   撮影・編集:湯本雅典(2010年,4分)

★るんみさんの「近くて遠い学校」は、「市民がつくるTVF(東京ビデオフェスティバル)2011」
 表彰式で、このほどビデオ大賞を受賞しました。オメデトウゴザイマス!!
 http://www.sprasia.com/tv/user/tvf/TVF1

★湯本さんの新作「ジョニーカムバック」も各地上映会でご覧になれます!
 詳しくは今回の感想も載っている湯本さんのブログで。
 http://blog.goo.ne.jp/gakkouwoyamemasu/e/f9b518520a44e9f83501891ba82c1a61

報告 白銀由布子


posted by VIDEO ACT! スタッフ at 22:57| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする