2013年07月19日

<転載情報> neoneo meets!vol.03「はじめての小川紳介」特集上映

<以下、転載します>

「neoneo meets!vol.03! はじめての小川紳介」
2013年7月20日(土)〜23日(火)渋谷オーディトリウムにて

激動の1960年代から80年代に、時代と並走しながら数々の傑作を産み出した
小川プロダクション。撮影対象は、三里塚闘争や山形の農村へと変容しつつも、土
地に根づき、集団生活をしながら制作するスタイルを貫徹。ドキュメンタリーの可
能性と活気を求め、スタッフらは自主制作・自主上映運動を続けました。主宰であ
る小川紳介は、小川プロダクションを猛烈に率いながら、55歳の短い生涯を精一
杯生きました。

1992年に小川が没してから21年、その作品群は現在の私たちの目にどのよう
に映るのでしょうか。本特集では、あえて時系列を追わずに小川プロダクションの
作品の中から各時代を代表する作品をご紹介、“日本ドキュメンタリーの巨像”に迫
ります。「ぶつかってますか!」と問いかけてくる渾身の作品群、是非ご覧ください!

【プログラム&ゲスト紹介】
http://webneo.org/archives/9860

7月20日(土)
13:00〜『1000年刻みの日時計−牧野村物語』(1986/16ミリ/カラー/222分)

小川が13年間住み続けた牧野村を、稲の成長や自然との闘いを捉えた映像と、村に
伝わる民話に基づくドラマを交錯させて描いた、前代未聞の壮大な“映画”。稲の開
花の微速度撮影にはじまり、村の歴史を時代劇で再現する構成は、小川プロの映画
術の集大成。村人が総出で演じる百姓一揆や、大団円のラストシーンは何度観ても
圧巻です。

※ゲスト:山本政志(映画監督)
『闇のカーニバル』(82)『ロビンソンの庭』(87)などの作品で知られ、現在
『シネマ★インパクト』を主宰する山本政志監督は、小川紳介監督の大ファン!
1987年、ベルリン映画祭に共に招待され意気投合、92年に小川が亡くなった時は、
葬儀で弔辞を読むほどでした。パンクな監督同士の知られざる関係が今明かされる!

20:30〜『牧野物語・養蚕編』(1977/16ミリ/カラー/112分)

山形に移住した小川プロのスタッフが、米作りと共に手掛けたのが養蚕。近所の
「お蚕さま育ての名人」木村サトさんの指導のもと、蚕の飼育に取り組んだ。
村の女性に代々伝わる蚕の生育を記録することは、サトさんの人生の軌跡を共有
することでもあった。8mmフィルムを16mmにブローアップした質感も相まって、
小川プロ屈指の「柔らかさ」を持った、隠れた名作。

※ゲスト:深田晃司(映画監督)
『東京人間喜劇』(09)『歓待』(10)などで注目される深田晃司監督は、イン
ディペンデントの立場から映画製作の予算やネットワーク作りを真摯に考える
『独立映画鍋』メンバーでもあります。小川プロは、「自主製作・自主上映」で
何作もの映画を積み上げてきた大先輩。「作りたい映画を作る」ためのノウハウ
の歴史と未来が交錯する!


7月21日(日)
13:00〜『三里塚・第三次強制測量阻止闘争』(1970/16ミリ/モノクロ/50分)

1970年9月30日、空港公団は3回目の測量を強行。突入する機動隊。農民たちは老
いも若きも女も子供も全身を震わせ激しく抵抗する。身体に糞尿をまとい、大地に
打ち込まれた杭にしがみつく者もいた。反対同盟代表・戸村一作氏の抗議の言葉も
過激さを増し、1週間予定されていた測量は3日で打ち切られたが…。ニュース性を
重視し、短期間で作られたシリーズ第3作。

14:10〜『三里塚・第二砦の人々』(1971/16ミリ/モノクロ/143分)

三里塚シリーズの4作目。バリケードが張り巡らされた丘の上の「第二砦」。木に
鎖で体を縛り「殺せ!」と叫ぶおっかあの姿にはじまり、公団や機動隊と徹底抗戦
する農民たちが描かれる。しかしカメラは、地下に張り巡らされた塹壕の中で寝泊
まりの様子を喜々として語り、時に腹を抱えて笑う彼らの姿を映し出す。伸びやか
なその空気は、スタッフと農民との距離の近さの何よりの証拠だ。

※ゲスト:原一男(映画監督)
『ゆきゆきて、神軍』(87)などで知られる原一男監督も、若い頃、小川プロの
作品をよく見ていました。『さようならCP』(72)で監督デビューする以前に、
新宿区の公会堂で行われていた「三里塚シリーズ」の上映会に足繁く通っていた
そうです。強烈なインパクトを持つ作品を残す原監督が映画を志すにあたり、先
輩監督・小川紳介から受けた影響とは?

20:30〜『三里塚・岩山に鉄塔が出来た』(1972/16ミリ/モノクロ/85分)

三里塚シリーズの第5作。滑走路の先端・岩山地区の農民は、飛行審査を阻むべく、
60メートルの巨大な鉄塔の建設を決定。全国から鳶が集まり、村の若者や学生たち
と協力しながら、わずか半月で巨大な手作り鉄塔を完成させた。スリリングなその
過程を、カメラもまたとことん記録する。ラストで村を去る鳶の青年の表情が眩し
い、三里塚版・『プロジェクトX』。

※neoneo編集室メンバー数人のトークあり
「neoneo」2号を発行するにあたり、編集室のスタッフ数人は現在の三里塚を見て
回ってきました。今も残る岩山の鉄塔の痕跡。かつて小川プロが居を構えた『辺田
部落』…巨大な空港は未だ完成に至らず、映画の舞台となった三里塚は、この40年
の日本の矛盾が凝縮されているかのような場所でした。駆け足で巡ったその模様を、
写真を交えてレポートします。

7月22日(月)
13:00〜『ニッポン国古屋敷村』(1982/16ミリ/カラー/210分)

小川プロのメンバーが山形に移住して6年目の1980年に、牧野に近い古屋敷で起き
た大凶作。スタッフは、古屋敷村に流れる冷気が、稲に与える影響を徹底調査する
一方で、村で暮らす人々の姿を生き生きとカメラに収めた。模型やグラフを駆使し
たサスペンスタッチの科学映画が一転、古老たちの鮮やかな昔話を巻き込んで、抱
腹絶倒の小川流・ニッポン国の歴史絵巻が繰り拡げられる!


20:30〜『三里塚の夏』(1968/16ミリ/モノクロ/108分)

周辺住民の同意を得ないまま、公団によって始められた成田空港の建設。農民たち
は、武力闘争も辞さぬ覚悟でこれに抗った。小川プロのカメラは、武装を決断する
村の青年行動隊を中心に、農民の立場から闘争の内部に入り込む。加担するその手
法は、それまでのドキュメンタリーの方法論を根本から覆した。三里塚シリーズの
記念すべき第1作。

※ゲスト:大島新(テレビディレクター)
映像制作会社代表として数多くのテレビドキュメンタリーを製作し、映画『シアト
リカル』(07)も監督した大島新さん。ドキュメンタリーに強いこだわりを持ちな
がら、これまで小川プロの作品を観る機会に恵まれなかったそうです。父親である
故・大島渚監督が「もっとも尊敬する作家のひとり」として名前を上げた小川紳介
の作品を、現役テレビディレクターの大島さんはどのように語るのでしょうか?


7月23日(火)
13:00〜『青年の海 四人の通信教育生たち』(1966/16ミリ/モノクロ/56分)

大学の通信教育制度の改悪と闘うために、4人の青年が立ち上がる。しかし闘いは
行き詰まり、なぜ働きながら学ぶのか、その意味を彼ら自身が突きつけられる。小
川もまた、映画の行きつく先を悩みながら、手探りで次の闘いへと走る彼らと共鳴
し、カメラを向けて走りだす。両者が並走するラストシーンが美しい。

14:20〜『パルチザン前史』(1969/16ミリ/白黒/120分)

水俣病の映画で知られる故・土本典昭監督が、小川プロで製作した唯一の作品。京
大全共闘議長・滝田修の革命運動の様子を追いながら、予備校の教壇で大学解体を
唱える矛盾を率直に語る滝田の人柄に魅了されていく。ゲバ棒、火炎瓶、燃え上が
る車…日に日に激しくなる闘争とは裏腹に。どこか滑稽さを含んだ当時の学生運動。
それを取り巻く空気をリアルに伝えた傑作。

20:30〜『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』(1967/16ミリ/モノクロ/105分)

大量の裏口入学が発覚した高崎経済大学。怒った学生は学校側と対立、学園ホール
を占拠し立てこもる。カメラもまたバリケートの中に入り込み、同じ場所から彼ら
の模様を記録する。クローズアップや長回しを多用し、相談相手として小川も画面
に登場する。たたかう若者の姿をドラマチックに描き、その後の小川ドキュメンタ
リーの基礎となった記念碑的な作品。

※ゲスト:想田和弘(映画監督)
『選挙2』が絶賛公開中の想田和弘監督。「観察映画」という独自の撮影スタイル
は有名ですが、最近は日本の政治状況にも積極的な発言を続けています。小川紳介
が名をあげた1960年代は“政治の季節”。小川もまた、その中で独自の映画手法を
確立し、ヒトの生きざまを描いていったのです。ふたりの接点を探りながら、ドキ
ュメンタリー映画の未来を探ります。

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【料金】
1回券 1200円/3回券3000円(シニア、学生、各種割引はございません)
※『1000年刻みの日時計』『ニッポン国古屋敷村』は1500円
3回券ご利用の場合は+500円でご入場いただけます

主催:neoneo編集室  http://webneo.org/
問合せ先:090-8108-7971(neoneo編集室・佐藤)

【会場】
オーディトリウム渋谷
渋谷・文化村前交差点左折
渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F
TEL:03-6809-0538
HP:http://a-shibuya.jp/
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 22:18| おすすめイベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする