2016年04月11日

第78回 VIDEO ACT! 上映会〜新田進特集2「沖縄・基地案内」 報告文

3月29日、「新田進特集2『沖縄・基地案内』」と名付けた上映会を行った。昨年の2015年8月に開催した新田さんの特集につづく第2回目。今回は、彼の沖縄取材の集大成的作品といわれる『沖縄・基地案内−未来をみつめ闘う島 』を上映した。参加者は約30名だった。

本作品の監督である新田進さんは、活動家であり、映像作家だった。新田さんは、昨年2014年11月11日、日比谷公園で焼身自死された。公園のベンチには、安倍内閣による集団的自衛権行使容認「7.1」閣議決定と、これらと結びついた沖縄県辺野古と高江の基地建設に対する抗議文が張り付けてあったという。上映会のこの日は、奇しくも安保法施行の日だった。この日の国会前デモには3万7000人(主催者発表)が集まったそうだ。

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『沖縄・基地案内−未来をみつめ闘う島 』は1999年の作品だ。沖縄戦米軍上陸時のアーカイブ映像からはじまり、1995年秋の米兵による少女暴行事件に端を発し、8万5000人が集まり開催された「10.21県民総決起大会」。そして、1999年6月の「米軍用地特別措置法」再改悪へ至る約3年半が記録されている。今となっては貴重な記録である、沖縄県収用委員会公開討論審理での市民の発言や、立ち上がった沖縄の女性たちの「最初は子どもを(デモに)つれて行くのは怖いなと思ったけれど、子どもにも現実を見せることができる。自分にできるはそれしか思いつかなかった」など言葉が胸をうった。また、東富士における自衛隊と米軍の共同実弾射撃訓練の報道規制を伝えるシーンは、2016年現在のニュース映像を見ている気分になった。

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普段、公務員として都内で働いていた新田さん。普段仕事をしながらこれだけの沖縄取材を実行し、映像作品として残していくことは、さぞ大変だったろうなと思う。現在のように、誰もがインターネットで情報を得られる時代じゃない。沖縄で起こっていることを、映像で記録し伝えておく。その熱がじんわりと伝わった。

ところで、今回の上映が決まったのは偶然だった。新田進さんの映像作品を管理している小川町シネクラブから、本作品DVDコピーの依頼を私が受けたのがきっかけだった。コピーを終え、確認のためプレビューしていると、映像の後半部へ進行するにつれて、思わず見入ってしまったのだ。まるで監督の新田さんに「上映してくれ」と頼まれた気がしてきて、慌てて小川町シネクラブへ上映の問合せをした次第だ。上映後、参加できなかった方からも「再度上映を」という問合せをいただいた。上映については小川町シネクラブへお問合せください。

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以下は、ネタバレ注意です。

作品のラストは、集会の舞台発言だ。その言葉は、まるで新田さんの「遺言」のように思えてならないので、
ここに記しておきたい。一坪反戦地主会代表世話人 金城睦弁護士(2014年10月9日ご逝去)の言葉だ。

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「日本という国が、自らの軍隊を持って戦争に参加する。戦争そのものを行うという、大変な曲がり角に到着しています。そのための法律が、こともあろうに国民代表の衆議院ですでに可決され、同じく良識の府といわれる参議院でも間もなく可決されようとしているという情報が、先ほど伝えられました。考えても、考えられないほどの事態ではないでしょうか。そのようなことを日本国民は唯々諾々と許すのでしょうか」

「そういうことをする国会議員は、我々日本国民の代表とは認めたくない。しかし現在、残念ながら我々の力が弱い。弱くても我々は、ずっとやるべきことをやってきた。戦後50年余り、様々な戦争へのたくらみが企てられる中で、世界第2位と言えるほどの大軍隊ができあがっていますけれども、まだ戦争はしていない。これからしようとしているけれども」

「たとえそのための法律ができても、法律という道具があっても、自衛隊という軍隊があっても、国民は、戦争そのものは絶対に許さないという全力を尽くした闘いをするならば、この法律も形骸化することができる。
軍隊を出動させないことが、できるでありましょう。その時々のやるべきことは、とことんやり尽くす。今、生きている人間として」

報告文 土屋トカチ
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 14:24| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする