2015年11月10日、『ニッポン・戦争・私 2015』の上映会が行われた。
ビデオアクトでは、3分間の動画を募集して応募された全作品を1本につなげて上映するというオムニバス映像企画を、1999年以来数回にわたり行ってきた。
募集された作品は、誰がつくったどんな内容の作品であっても無審査で上映される。だから、観る人にとっては、面白いと思う作品も、退屈だと感じる作品も、考えさせられる作品も、意味不明だと感じる作品も、共感する作品も、稚拙だと捉えられる作品も、全部見せられる事になる。
3分間の作品を一挙に上映するが、次に何が出てくるかはわからない「闇鍋」的な面白さがある。「こんなのは観てられない」と思った作品も3分間ガマンすれば終わって、まったく別の次の作品になる。多彩な視点でつくられた作品を一挙に上映する事で、そこから見えてくるものもある。上映後に感想を聞くと、やはり人によってそれぞれの作品に対する受け止め方は違っている。そんな楽しみ方ができる企画だ。
今回、2年ぶりに行う事にしたのは、安倍内閣による安保関連法案が提出され、スタッフの間にも危機感があったからだ。結果的に多くの人が反対の声を挙げたにもかかわらず、採決とは呼べないような強引な手法で、安保法案は成立した。
応募されて集まった作品は、やはり安保法案に反対する人々の動きを撮影したものも多かった。いま、振り返って観る意義もあるし、無かったことにしてはいけない出来事だろう。
安保法案に関連した作品以外では、劇映画を志している人たちの作品も集まった。社会運動・市民運動に関心があったり参加している人たちだけではなく、こうした幅広い層の人たちに参加してもらえるのも「映像作品の募集」という企画ならではだと思う。
また、自分の肉親の戦争体験などを取材した作品も、いつも以上に多かった。戦争体験を持っている人たちが高齢化し「いま、記録として残しておかねば」と思っている人が少なくないのだろう。
上映後は「観客賞」も決まった。選ばれたのは、青野恵美子さんの『さいごの言葉』という作品だった。社会運動に関心がある人や、ドキュメンタリー系の映像をつくっている人たちにとっては、身につまされる作品だった。
NHKも取材に来ていて番組で紹介された。テレビ局の現場にも、「戦争」や「安保」といった問題をなんらの切り口で紹介したいという想いを持っている人がいるのだと思う。
『ニッポン・戦争・私 2015』に応募された作品群は、DVDとしても頒布されている。上映権付き1000円という価格なので、自由に上映会などを行う事ができる。映像という敷居の低い切り口の接点で、観た人たちどうしで感想を述べ合うなどの使い方もできると思う。
(報告文:小林アツシ)
●DVDの案内はこちら。
http://www.videoact-shop.com/2016/723
●これまでの3分間動画のDVDはこちら。
http://www.videoact-shop.com/?search-class=DB_CustomSearch_Widget-db_customsearch_widget&widget_number=preset-2&cs--0=%E3%83%93%E3%83%87%E3%82%AA%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%83%88&search=%E6%A4%9C%E7%B4%A2