2019年01月29日

【報告文】第93回ビデオアクト上映会〜「沖縄から叫ぶ 戦争の時代」完成上映会〜

上映作品
『沖縄から叫ぶ 戦争の時代』 監督:湯本雅典


 去る1月22日、ビデオアクト上映会がいつもの東京ボランティア市民活動センターで開催された。上映作品は、湯本雅典監督の『沖縄から叫ぶ 戦争の時代』。18時半の開場前から次々と参加者が集まって来た。開場前に参加者の列が出来たのは、93回を数えるビデオアクト上映会が始まって以来のことだ。ビデオアクトのスタッフは、僅か4人。椅子の追加や会場整理、チラシの手渡し等、どうなることかと思ったが、何とか大きな混乱もなくスムーズに上映を開始することが出来た。それは、参加者の皆さんがとても協力的で、一緒に上映会を作ってくれたからだった。受付では呼びかけてもいないのに、作品へのカンパが集まった。参加者の皆さんの沖縄への連帯の思いが強く感じられた。最終的な参加人数は、約120名。設立21年目を迎えるビデオアクト史上最多の人々の熱気とともに上映が開始された。

 映画では、2018年2月に行われた名護市長選での辺野古新基地反対派、稲嶺さんの敗北から9月の沖縄県知事選で玉城デニーさんが勝利するまでが描かれる。その視点は、大手メディアからは届いて来ない沖縄の現実をこの目で確かめたいという湯本監督の純粋な思いで貫かれている。その思いは、名護市辺野古だけでなく、与那国島、石垣島、宮古島、そして、鹿児島県奄美大島の自衛隊基地建設の現場まで、湯本監督の足を運ばせる。2018年の一年間で、ほぼ毎月一回のペースで沖縄の現地取材を続けたという湯本監督の記録は、大手メディアが伝えない日本政府の軍備増強の最前線を捉える貴重な作品となった。

 映画の中で、とても印象的だった言葉がある。米軍ヘリの部品が落下した保育園に自分の子どもを預ける母親の言葉だ。沖縄県知事選での自分の一票は、「命を賭する一票」だというのだ。命を賭する…彼女にとってはオーバーでも何でもなく、沖縄で生きる実感そのものなのだということが、スクリーンを通じて伝わってきた。「沖縄では異常事態がずっと続いている」そんな言葉もあった。湯本監督は、これらの言葉を丁寧に拾い上げてくれた。

 上映終了後は、会場内での質疑応答、ディスカッションが活発に行われた。その会場内に元小学校教師である湯本監督の教え子がいた。ディスカッション後に話を聞くと、湯本監督とは20年ぶりの再会だという。「私の人生に一番大きな影響を与えてくれた先生」だと彼女は言った。「何よりも命の大切さを教えてくれた」。20年後の現在の先生の思いも、彼女はきっと受け止めただろう。

 『沖縄から叫ぶ 戦争の時代』のDVDは、上映権付で破格の2,000円で販売されている。是非、多くの人に観て頂きたい。お求めは、コチラ。
https://yumo.thebase.in/items/15585661

(土屋 豊)
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 19:12| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする