2019年07月22日

第96回 VIDEO ACT! 上映会 〜非正規社員のたたかい〜 報告文

第96回 VIDEO ACT! 上映会 〜非正規社員のたたかい〜 
報告文:本田孝義

去る7月16日に第96回 VIDEO ACT! 上映会を開催し、『非正規に尊厳を!−メトロレディーブルース総集編』(2019年(増補版)/55分/制作 松原 明・佐々木有美)を上映しました。参加者は25名でした。
本作の冒頭、見慣れた地下鉄売店の光景に、「伊勢佐木町ブルース」の替え歌がかぶさって聞こえてきます。正直言うと上手い歌ではありませんが、替え歌が本作では重要なアクセントになっていることに、見ながら気づきました。非正規労働の待遇改善に立ち上がった4人の女性たちは、集会など様々な場で、自らの境遇を反映した替え歌を歌っています。とかく重くなりがちな労働問題を描いた本作に、からっとした明るさがあるのは、こうした替え歌も寄与していると思います。

『非正規に尊厳を!』写真A.jpg

東京メトロの売店で働く人の中には、正社員・非正規A・非正規Bという違いがあるのだそうだ。この中で最も待遇が悪い非正規Bの女性たち4人が組合を作って、待遇改善を求めて労働組合を作り立ち上がります。団体交渉や裁判所で最初、彼女たちはビクビクしながら活動をしていましたが、支援者にも支えられて徐々に彼女たちに自信が満ちてくるのが、表情の変化からよく分かります。そうした中、雇用延長を勝ち取る成果も生まれます。
しかしながら、同じ仕事をしながら待遇に差があることの是正を求めた裁判では、東京地裁は「正社員には転勤などがある」という意味不明な理由によって、待遇に差があることを認める理不尽な判決を下します。彼女たちは、現在も裁判を闘っています。
こうした闘いを撮影している過程で、東京メトロの売店は全てローソンになる、ということが起こります。言わば全ての従業員を非正規雇用にするようなものです。

ビデオアクト2019.7.15.jpg

今や労働者の4割が非正規雇用と言われます。しかし、様々な悪条件を唯々諾々受け入れている人がほとんどだと思います。上映後、本作に出演していた方々は、組合の仲間がいたから闘うことが出来た、と言っていました。あまり知られていないのですが、2人以上いれば、労働組合を作ることが出来ます。労働組合の団体交渉には会社も応じなければいけないなど、労働組合を作ることで出来ることも多くあります。今、非正規労働でこき使われている人たちに、ぜひ、見て欲しい作品だと思いました。

『メトロレディブルース』
https://metrolady.jimdo.com/

posted by VIDEO ACT! スタッフ at 12:03| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする