2019年11月28日

【報告文】第98回 VIDEO ACT! 上映会 〜医師・映像作家/山村淳平・特集〜

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上映作品
『だまされるな!技能実習生』(2017年)
『技能実習生はもうコリゴリ』(2018年)
『外国人収容所の闇』(2019年)
監督:山村淳平
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ビデオアクト上映会は、プロ・アマを問わず自主制作でつくられた映像作品を上映している手づくりの上映会だ。
宣伝的な事はあまりできていないので参加者が少ない事も多いが、今回は約90人が来てくださり、スタッフとしては予想以上に人が集まり驚いた。
(会場も広くないので観づらかった方もいたと思います。すみません。)

上映作品は、1990年代にアジアやアフリカで、被災民や難民への医療活動を行い、現在は横浜市内で内科医として働いている山村淳平さんがつくった作品。

山村さんは、
『難民への旅』(2010年)
『難民からまなぶ世界と日本』(2015年)
『移民がやってきた: アジアの少数民族、日本での物語』(2019年)
といった本も出している。

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「社会の少数派を見る事によって日本の社会がどうなっているかがわかる」という視点で執筆や映像制作を行っているが、映像制作の講座を受けて作品をつくったものの、映像づくりはなかなかたいへんで「もう映像はコリゴリだ」と思ったそうだ。
だが、やはり「本人の肉声」で伝える事が大切だという気持ちで、映像制作を続けている。

今回上映した作品『だまされるな!技能実習生』『技能実習生はもうコリゴリ』は、海外から日本にやってきて働いている「技能実習生」という人たちを取材した作品だ。
日本政府は「技能実習生は国際貢献」とうたっているそうだ。つまり「貧しい国の人たちに来てもらって、日本で技能を習得させてやる」というエラソーな感覚なんだろうと思う。
そして「技能実習生制度」というシステムは、高齢化も進み若い労働人口が減っている日本で、安く働かせられる外国人の人材を集めるための仕組みになっている。
実態は、低賃金・暴力・暴言・セクハラ・過酷な労働・拙悪な生活環境など、外国人を「安くこき使える労働力」として扱い、事故でケガをしたなどやっかいな事になると強制帰国させたりもしているそうだ。

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グローバル化したこの時代、アジアの国々では、豊かそうに見える日本で働きたいと思う若い人たちが多い。近年、日本に来る技能実習生の数は、かつて多かった中国から来る人が減り、ベトナムから来る人が増えているそうだ。
そして「日本で働きたい」という人たちと契約して日本に送る「送り出し団体(機関)」、そこには、働きたい人を紹介する「ブローカー」などが暗躍している実態もある。
そして「JITCO - 公益財団法人 国際研修協力機構」は、この問題を解決しようとしていなさそうだ。

今回の上映作品では、そうした実態も映像で紹介している。

山村さんは、日本にあこがれて夢を描いているベトナムの人たちが、だまされないように映像をつくった。今回、上映した作品とは違うバージョンのようだが、YouTubeで公開されている。ベトナムの人たちに伝えたいという想いがあるので、ベトナム語版もつくって公開している。ベトナムや日本の新聞でも紹介されているとの事だ。
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「だまされるな!技能実習生(ベトナム編)」 日本語版
https://youtu.be/HWqrHF72wEw
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「だまされるな、技能実習生」(日本語版 )
https://youtu.be/_dLcjOnL7-A
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「だまされるな!技能実習生(ベトナム編)」 ベトナム語版
https://youtu.be/SoIxgUUuIp4
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「技能実習生はもうコリゴリ〜ベトナム人の声」
https://youtu.be/UH9DM7EJofg

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今回上映したもうひとつの作品『外国人収容所の闇』は、トルコで迫害をうけて日本に逃れてきたクルド人の人たちを収容している「外国人収容所」の実態を告発している。
「難民」として認められていないクルド人の人たちは、入官庁が管轄している「外国人収容所」に入れられるが、そこでは入官職員による暴力があり、シャワー室には監視カメラが取り付けられ、病人は放置され、自殺へと追い込まれる人たちもいる。
どうやら「職員は、暴力をふるったり悪い事はしないはずだ」という前提のもので運営されているようで、入管には自浄能力が無いようだ。だからこそ、実態を告発して幅広い人たちに知ってもらう事は意義がある。

この映像作品では、トルコから日本に逃れてきたクルド人の人たちの暮らしぶりや、トルコではできなかったクルド式のお祭りで楽しむ映像も観ることができる。
そしてそのお祭りを「監視」している公安警察らしき人物に撮影しながら事をかけて、その人物が無視する映像も収録されている。
まさしく映像だからこそのインパクトがあるシーンだ。

★外国03.png

1965年、法務省の官僚だった池上努が、著書『法的地位200の質問』で「(在日外国人は)国際法上の原則からいうと『煮て食おうが焼いて食おうが自由』なのである」と書いたそうだ。
日本は、いまだに外国人や難民の人たちに対して、やさしくない国だ。

報告:小林アツシ

posted by VIDEO ACT! スタッフ at 12:15| その他 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする