2025年09月15日

【報告文】第130回 VIDEO ACT! 上映会 〜経済発展と戦争〜

上映作品:『戦争案内』(2006年/70分/監督:高岩 仁)

 9月9日、第130回 VIDEO ACT! 上映会を開催しました。上映した『戦争案内』は、製作年が2006年ということもあり、集客を少し心配していましたが、約30名の方に参加していただきました。
 本年2025年は、敗戦80年ということもあり、テレビや新聞などでも、戦後80年にちなんだ報道が数多くありました。しかしながら、ほとんどは戦争によってどのような被害を受けたかという視点からのもので、日本による加害に関しての報道は少なかったと思います。ましてや、なぜ戦争が起きるのか、という戦争が起きる原因まで追究した報道はあったでしょうか。本作は、日本の経済侵略の観点から、戦争が起きる原因を解き明かした作品になっています。
 本作の冒頭は、明治維新から始まります。近代化を目指す日本は、政治家と財閥が手を組みアジアの資源を収奪することを目論見ます。例えば、1876年(明治9年)に結ばれた日朝修好条約によって、日本は朝鮮から強引に金や食料を輸入し、日本の商社が綿布を朝鮮で販売。その結果、朝鮮の農村は困窮し餓死者まで出ます。こういう状態に対して、朝鮮では2万人の農民が立ち上がり抵抗しますが、日本は軍隊を送り農民を虐殺します。言わば、財閥の権益を守るために軍隊が送られたのです。
 同様に、台湾では製糖を日本が支配します。
 こうした中で、日清戦争の賠償金の多くを手に入れた天皇は、世界一の富豪となります。また、三井物産は中国への綿布輸出で莫大な利益を上げますが、このことが日露戦争に繋がっていきます。
 フィリピンでは、日本企業がダバオの土地を収奪。企業は自警団を組織するために、日本政府に軍隊と兵器を要求します。これに対し、1942年に抵抗運動が起き、農民が土地を持てるようにフクバラハップ団が結成されます。メンバーだったリー・ワイワイさんは、「最初は殺された父のためだったが、後にフィリピンのために闘うようになった」と語ります。
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 本作は、1945年の日本の敗戦後も、アジアへの経済侵略の構図は変わっていないことを描きます。戦争というと1945年に断線があるかのように語られますが、企業と政治家が手を組んで経済侵略を続けている継続性に目を向けます。フィリピンやマレーシアでは、公害対策をしない日本企業による開発により環境破壊が行われてきました。こういう状況に対して、デモやストライキに立ち上がる人々を描いて本作は終わります。
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 前半は、資料映像が多く、映像作品として見ると、いささか情報を追いかけるのが大変なのですが、様々なデータから経済侵略から戦争に至る過程を解き明かそうとする、監督の高岩仁さん(2008年没)の執念のようなものを感じました。同時に、戦争が起きる原因を知ることが大切だとも感じました。
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 上映後には、生前、高岩仁さんの映画製作を支援していた金野正晴さんのトークがありました。現在のウクライナでの戦争の背景には、ブラックロックやゴールドマンサックスなどの金融資本があり、彼らがいる限り戦争は無くならないことを指摘していました。そして、「資本主義社会である限り、戦争は必ず起こる。彼らは戦争を必要としている。私たちが目指すべき社会は、人間を商品として扱わない、食料・住宅・教育・医療を市場競争の場に置いてはいけない。」と語られました。
(本田孝義)
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 13:00| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする