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■ 第125回 VIDEO ACT! 上映会 〜ずっと言えなかったこと〜
上映2作品
『トゥドル叔父さん(英題:My Uncle Tudor)』(2021年/19分/監督:オルガ・ルコヴニコヴァ)
『言えなかった』(2024年/26分/監督:蓮見卯乃)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年11月7日(木)19時より
内閣府が2023年に発表した調査によると、若年層(16〜24歳)のうち、
4人に1人以上(26.4%)が何らかの性暴力被害に遭っているという。
加害者が近親者の場合、子どもや若者は、いったい誰に相談すればいいのか。
多くの人々は、誰にも打ち明けられず、深い傷跡を抱えたまま生きることになる。
この問題は、日本だけではない。
ベルギーを拠点とするモルドバ出身の映画監督・オルガ・ルコヴニコヴァによる
『トゥドル叔父さん(英題:My Uncle Tudor)』と
和光大学映像研究ゼミの卒業制作『言えなかった』(監督:蓮見卯乃)の2作品を併映し
子どもや若者への性暴力について、深く考える時間としたい。
■上映2作品
◎『トゥドル叔父さん(英題:My Uncle Tudor)』
(2021年/19分/監督:オルガ・ルコヴニコヴァ/ベルギー・ハンガリー・ポルトガル・モルドバ)
【作品概要】
20年間の沈黙の後、映画監督は曽祖父母の家に戻る。そこで彼女は、彼女の記憶に永遠に深い傷跡を残す
悲惨な出来事を経験した。待ちに待った家族との集まりは、過去を乗り越えようとする彼女の試みと相反する。
【監督のコメント】
私は2011年から映画を学んでおり、以前は他の人々のドキュメンタリー映画を制作していました。
1年前、私は自分の最大の苦痛、つまり何十年も秘密にしてきた子供時代の思い出について、
初めての個人的な映画を制作しようと決めました。
ステレオタイプとは反対に、子供たちは見知らぬ人よりも親戚、友人、教師などの
身近な人からトラウマを負うことが多いです。
親は子供たちに、時には二重人格であるかもしれない
これらの人々を信頼するように教えます。
したがって、子供たちに不適切な大人の行動を特定し、対峙し、報告するように
教えることは非常に重要です。
これが私の映画の中心的なメッセージです。
私は、一見普通の人ですが、残念ながら虐待的なアイデンティティを
隠している男性がいる、理想的で愛情深い家族を描いています。
長年にわたり、私は数百万もの重要な疑問を蓄積してきましたが、
ついにそれらを尋ねる勇気が持てました。
沈黙し、行動しない言い訳はもうできませんでした。
沈黙と恐怖は悪に力を与えます。
◎『言えなかった』
(2024年/26分/監督:蓮見卯乃/日本)
【作品概要】
この作品は、和光大学映像研究ゼミの卒業制作で制作した作品です。
「性暴力」をテーマにしています。
被害を受けたことを誰にも告白できずに悩む主人公あすかは、
誰にも言えなかった自分の話を淡々と語ります。
直接会って話をすることはできなくとも、作品を見て何か感じてくれたら、
「会話」になるのではないか。
この作品を必要とする誰かに、「あなたはひとりじゃない」と伝えたい。
そんなあすかの気持ちを作品に込めました。
■スタッフ
監督:蓮見卯乃 主演:稲吉あかり 出演:蓮見卯乃 ゴトウ
ナレーション:稲吉あかり 撮影:蓮見卯乃 ゴトウ 小林茂
録音:張文卓 照明:ゴトウ 監修:小林茂 編集:蓮見卯乃
■special Thanks
荒巻奈緒 川西紗楽 映像研究ゼミの皆さん 任意団体 Lotus
■日時
2024年11月7日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の蓮見卯乃さんを迎えた、トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
2024年09月08日
【報告文】第124回 VIDEO ACT! 上映会 〜精神障害当事者と演劇〜
上映作品『わたしを演じる私たち』 (2024年/89分/監督:飯田基晴)
去る9月3日に第124回 VIDEO ACT! 上映会を開催し、『わたしを演じる私たち』を上映しました。参加者は55名で、いつもの上映会より参加者が多く、関心の高さがうかがえました。
本作は、神奈川県横浜市にあるOUTBACKアクターズスクールの活動を描いた作品。ここでは精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ脚本による演劇活動を続けています。
冒頭、数人のメンバーが紹介されます。トモキチさん、ドニーさん、えっちゃん、さしくん、新谷さん。各々、状況は様々ですが、どのような困難を抱え、現在どうしているのかが語られます。中でもえっちゃんは、今回の演劇公演の主役となっていきます。
ワークショップでは、花やボールになってみたり、自らの体験をパントマイムで表現したり。こうした光景は演劇の練習風景としてはよくありそうです。けれども、上映後のトークでOUTBACKアクターズスクール校長・中村マミコさんが「体育会的な発声練習は嫌い」と言っていたように、大声を出す発声練習はありません。他者との関係が苦手な人たちも、一つの演劇を作る中で緩やかな関係が作られていくことが分かります。
公演2か月前、劇の台本が出来ました。舞台はえっちゃんが働く喫茶ほっとから始まります。歌の練習もしていることから、劇中、ミュージカルシーンもあるようです。
劇の形が見えてきた公演2週間前になると、体調を崩す人も出てきます。この場面を見ながら、ふと、この公演は誰のためにあるのだろう、という疑問が湧いてきました。OUTBACKは、いわゆるプロの役者集団とは違うでしょう。プロの役者なら体調不良を乗り越えてでも、公演を成功させなければいけいない。では、OUTBACKのメンバーは、無理をしてでも公演をしなければならないのか。いや、公演である限り、観客に見てもらわなければいけないので、多少の無理もしなければならないのかもしれません。原点に立ち返って、精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ演劇とは何か、ということを考えたりしていたのですが、思考はぐるぐる回って答えは出ません。
そんなことを思いながら、公演本番の映像を見ていました。
上映後のトークに、ヒントがありました。中村マミコさんは、当事者が自らの経験を語り、他者が聞くという活動はよくあるが、もっと開かれてもいいのではと感じていたとのこと。また、福祉ではどうしても当事者を守る方向に行くが、守られていない場所、未知の世界に触れる場所を提供したいとの思いがある、と。また、本作の監督・飯田基晴さんは、ドキュメンタリーでは撮影過程で登場人物が変化していくことが多いが、本作を撮影した際には、変化してもしなくても撮る、と決めていたとのこと。
確かに本番の映像を見ていると、出演者は生き生きしているので、彼らは何か変わったのでは、という過剰な期待を持つ、本作を見る観客側も思い込みを持ちがちです。けれども、出演者達は舞台を降りた後も、また自らの日常に戻っていきます。おそらく、出演者にも、OUTBACKにも、本作監督にも、私が先に書いた疑問への答えはないでしょう。答えがない、分からないからこそ、本作を見る面白さがあるように思いました。
(本田孝義)
去る9月3日に第124回 VIDEO ACT! 上映会を開催し、『わたしを演じる私たち』を上映しました。参加者は55名で、いつもの上映会より参加者が多く、関心の高さがうかがえました。
本作は、神奈川県横浜市にあるOUTBACKアクターズスクールの活動を描いた作品。ここでは精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ脚本による演劇活動を続けています。
冒頭、数人のメンバーが紹介されます。トモキチさん、ドニーさん、えっちゃん、さしくん、新谷さん。各々、状況は様々ですが、どのような困難を抱え、現在どうしているのかが語られます。中でもえっちゃんは、今回の演劇公演の主役となっていきます。
ワークショップでは、花やボールになってみたり、自らの体験をパントマイムで表現したり。こうした光景は演劇の練習風景としてはよくありそうです。けれども、上映後のトークでOUTBACKアクターズスクール校長・中村マミコさんが「体育会的な発声練習は嫌い」と言っていたように、大声を出す発声練習はありません。他者との関係が苦手な人たちも、一つの演劇を作る中で緩やかな関係が作られていくことが分かります。
公演2か月前、劇の台本が出来ました。舞台はえっちゃんが働く喫茶ほっとから始まります。歌の練習もしていることから、劇中、ミュージカルシーンもあるようです。
劇の形が見えてきた公演2週間前になると、体調を崩す人も出てきます。この場面を見ながら、ふと、この公演は誰のためにあるのだろう、という疑問が湧いてきました。OUTBACKは、いわゆるプロの役者集団とは違うでしょう。プロの役者なら体調不良を乗り越えてでも、公演を成功させなければいけいない。では、OUTBACKのメンバーは、無理をしてでも公演をしなければならないのか。いや、公演である限り、観客に見てもらわなければいけないので、多少の無理もしなければならないのかもしれません。原点に立ち返って、精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ演劇とは何か、ということを考えたりしていたのですが、思考はぐるぐる回って答えは出ません。
そんなことを思いながら、公演本番の映像を見ていました。
上映後のトークに、ヒントがありました。中村マミコさんは、当事者が自らの経験を語り、他者が聞くという活動はよくあるが、もっと開かれてもいいのではと感じていたとのこと。また、福祉ではどうしても当事者を守る方向に行くが、守られていない場所、未知の世界に触れる場所を提供したいとの思いがある、と。また、本作の監督・飯田基晴さんは、ドキュメンタリーでは撮影過程で登場人物が変化していくことが多いが、本作を撮影した際には、変化してもしなくても撮る、と決めていたとのこと。
確かに本番の映像を見ていると、出演者は生き生きしているので、彼らは何か変わったのでは、という過剰な期待を持つ、本作を見る観客側も思い込みを持ちがちです。けれども、出演者達は舞台を降りた後も、また自らの日常に戻っていきます。おそらく、出演者にも、OUTBACKにも、本作監督にも、私が先に書いた疑問への答えはないでしょう。答えがない、分からないからこそ、本作を見る面白さがあるように思いました。
(本田孝義)
2024年09月03日
第124回 VIDEO ACT! 上映会 〜精神障害当事者と演劇〜 上映作品『わたしを演じる私たち』
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■ 第124回 VIDEO ACT! 上映会 〜精神障害当事者と演劇〜
上映作品『わたしを演じる私たち』
(2024年/89分/監督:飯田基晴)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年9月3日(火)18時30分より
神奈川県横浜市にあるOUTBACKアクターズスクール。
ここでは、精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ脚本による
演劇活動が続けられている。演じる俳優陣も当事者たち。
それぞれの人生は、演劇へと結実する。そこから、日本社会が見えてくる。
■上映作品
『わたしを演じる私たち』(2024年/89分)
■作品解説
2021年に横浜で始まったOUTBACKアクターズスクール。精神疾患を持つ人たちが、自らの実体験を盛り込んだ演劇公演に挑む、その過程に密着した。メンバーの豊かな個性がそのまま劇中のキャラクターとなり、それぞれの困難な人生が、ユーモアに反転されて物語へと紡がれる。公演が近づくにつれ、緊張から体調を崩すメンバーも現れる。舞台というフィクショナルな空間に各々の人生が凝縮され、演劇はドキュメンタリーへ変容する。
■スタッフ
撮影:飯田基晴 常田高志 土屋トカチ
編集:飯田基晴
監督:飯田基晴
製作:映像グループ ローポジション
助成:横浜市地域文化サポート事業・ヨコハマアートサイト2022
■OUTBACKアクターズスクールとは
コミュニケーションに苦手意識を持つことの多い精神障害当事者にとって、演劇は他者と関わる練習になります。失敗をしてもやり直せるし、失敗から気づきを得たり、面白い場面が生まれることもあります。スクール生たちの中には、病を経ることで、例えようもないほどの苦しみや葛藤を抱えてきた人も少なくありません。ですが、その経験故に得た生き抜く強さ、知恵、豊かな人間性があると思っています。そうした個性を演劇という装置で解き放った時、魅力的な姿とともに、多くの人の心に響く表現が誕生すると考えています。
text by 中村マミコ(OUTBACKアクターズスクール校長)
■日時
2024年9月3日(火)
18時15分/開場 18時30分/開始
上映後、監督の飯田基晴さんと中村マミコさん(OUTBACKアクターズスクール校長)を交えた、トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
■ 第124回 VIDEO ACT! 上映会 〜精神障害当事者と演劇〜
上映作品『わたしを演じる私たち』
(2024年/89分/監督:飯田基晴)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年9月3日(火)18時30分より
神奈川県横浜市にあるOUTBACKアクターズスクール。
ここでは、精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ脚本による
演劇活動が続けられている。演じる俳優陣も当事者たち。
それぞれの人生は、演劇へと結実する。そこから、日本社会が見えてくる。
■上映作品
『わたしを演じる私たち』(2024年/89分)
■作品解説
2021年に横浜で始まったOUTBACKアクターズスクール。精神疾患を持つ人たちが、自らの実体験を盛り込んだ演劇公演に挑む、その過程に密着した。メンバーの豊かな個性がそのまま劇中のキャラクターとなり、それぞれの困難な人生が、ユーモアに反転されて物語へと紡がれる。公演が近づくにつれ、緊張から体調を崩すメンバーも現れる。舞台というフィクショナルな空間に各々の人生が凝縮され、演劇はドキュメンタリーへ変容する。
■スタッフ
撮影:飯田基晴 常田高志 土屋トカチ
編集:飯田基晴
監督:飯田基晴
製作:映像グループ ローポジション
助成:横浜市地域文化サポート事業・ヨコハマアートサイト2022
■OUTBACKアクターズスクールとは
コミュニケーションに苦手意識を持つことの多い精神障害当事者にとって、演劇は他者と関わる練習になります。失敗をしてもやり直せるし、失敗から気づきを得たり、面白い場面が生まれることもあります。スクール生たちの中には、病を経ることで、例えようもないほどの苦しみや葛藤を抱えてきた人も少なくありません。ですが、その経験故に得た生き抜く強さ、知恵、豊かな人間性があると思っています。そうした個性を演劇という装置で解き放った時、魅力的な姿とともに、多くの人の心に響く表現が誕生すると考えています。
text by 中村マミコ(OUTBACKアクターズスクール校長)
■日時
2024年9月3日(火)
18時15分/開場 18時30分/開始
上映後、監督の飯田基晴さんと中村マミコさん(OUTBACKアクターズスクール校長)を交えた、トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
2024年07月15日
【報告文】第123回ビデオアクト上映会〜子どもたちの目から見た戦争〜
上映作品
『ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―』 監督:古居みずえ
グーグルに“今日のガザ”と入れてみる。7月14日「ガザの学校空爆、17人死亡」、7月9日「イスラエルが学校攻撃、29人死亡」。昨年10月の戦闘開始以来、ガザでは3万5千人を超える人たちが亡くなったという。その内、子どもは1万3千人以上。その数は、今でも毎日増え続けている。信じ難いほどの、許されない数字だと思う。しかし、その数字の向こうの一人ひとりの、そしてその家族たちの苦しみを思う想像力を、私たちは麻痺させていないだろうか?
去る7月11日、123回目のビデオアクト上映会が開催された。上映作品は、古居みずえ監督の『ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―』。イスラエル軍によるガザ攻撃は、勿論、昨年10月から始まったことではない。この作品は、今から15年前、2008年から2009年にかけての攻撃によって、一族29人が殺されたサムニ家の子どもたちを描いている。
テレビニュースのように激しい空爆シーンが続くわけではない。その代わり、目の前で家族を殺された子どもたちの日常やインタビューの様子が淡々と描かれる。そして、その静かで率直な語り口が、私たちの胸に突き刺さる。父親が銃撃されるのを目の前で見た12歳の少年は、飛び散った父の血がこびりついた石を集める。母親のバラバラになった死体を見つけた場所に毎日通う13歳の少女は、「ここに住みたいくらい」だと話す。両親の頭から脳が飛び出していたのを見た12歳の少女、3歳の男の子が見た姉の目から飛び出した目玉…「信仰と教育でイスラエルに抵抗する。それは武器より強い」、「支援物資を望んでいるわけではない。ここでどんな酷いことがあったかを知ってほしい」、「イスラエルは、どうして私たちから全てを奪ったの?」。映画のラストの少女たちの言葉だ。
サムニ家一族110人は、一軒の家に集められた。そこにイスラエル軍が3発のミサイルを撃ち込んだ。「今、同じことがあちこちで行われている」と、上映後のトークで古居監督は話す。昨年10月の戦闘開始直後、古居監督はこの作品の上映会を開始した。理由は、2023年10月7日がスタートではないことを多くの人に知ってほしかったからだ。「ナレーションによる説明がないからこそ、”体験”できた」。約25名の参加者の内の一人は、そう感想を述べた。また、初めてビデオアクト上映会に参加したという人は、この問題に詳しくないからと前置きしつつ、「どうしてホロコーストを経験した人たちが、同じことができるのか?この悲劇を終わらせるにはどうしたらいいのか?」と率直な意見を語ってくれた。
私たちにできることは何か?まずは、何が起こっているのか、起こってきたのかを知り、本気で想像することだろう。上映会後の打ち上げで、古居監督に聞いてみた。どうして子どもを撮ることに決めたんですか?と。その答えは、「映画の冒頭に映る、瓦礫の山の前で呆然と立ち尽くす少女と出会ったから」。私たちは、古居監督が捉えたその少女の瞳をスクリーンを通して本気で見つめなければならないだろう。
(土屋 豊)
※本作品のDVDはこちらで販売しはています。
https://support-miz.thyme.jp/DVD.html
『ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―』 監督:古居みずえ
グーグルに“今日のガザ”と入れてみる。7月14日「ガザの学校空爆、17人死亡」、7月9日「イスラエルが学校攻撃、29人死亡」。昨年10月の戦闘開始以来、ガザでは3万5千人を超える人たちが亡くなったという。その内、子どもは1万3千人以上。その数は、今でも毎日増え続けている。信じ難いほどの、許されない数字だと思う。しかし、その数字の向こうの一人ひとりの、そしてその家族たちの苦しみを思う想像力を、私たちは麻痺させていないだろうか?
去る7月11日、123回目のビデオアクト上映会が開催された。上映作品は、古居みずえ監督の『ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―』。イスラエル軍によるガザ攻撃は、勿論、昨年10月から始まったことではない。この作品は、今から15年前、2008年から2009年にかけての攻撃によって、一族29人が殺されたサムニ家の子どもたちを描いている。
テレビニュースのように激しい空爆シーンが続くわけではない。その代わり、目の前で家族を殺された子どもたちの日常やインタビューの様子が淡々と描かれる。そして、その静かで率直な語り口が、私たちの胸に突き刺さる。父親が銃撃されるのを目の前で見た12歳の少年は、飛び散った父の血がこびりついた石を集める。母親のバラバラになった死体を見つけた場所に毎日通う13歳の少女は、「ここに住みたいくらい」だと話す。両親の頭から脳が飛び出していたのを見た12歳の少女、3歳の男の子が見た姉の目から飛び出した目玉…「信仰と教育でイスラエルに抵抗する。それは武器より強い」、「支援物資を望んでいるわけではない。ここでどんな酷いことがあったかを知ってほしい」、「イスラエルは、どうして私たちから全てを奪ったの?」。映画のラストの少女たちの言葉だ。
サムニ家一族110人は、一軒の家に集められた。そこにイスラエル軍が3発のミサイルを撃ち込んだ。「今、同じことがあちこちで行われている」と、上映後のトークで古居監督は話す。昨年10月の戦闘開始直後、古居監督はこの作品の上映会を開始した。理由は、2023年10月7日がスタートではないことを多くの人に知ってほしかったからだ。「ナレーションによる説明がないからこそ、”体験”できた」。約25名の参加者の内の一人は、そう感想を述べた。また、初めてビデオアクト上映会に参加したという人は、この問題に詳しくないからと前置きしつつ、「どうしてホロコーストを経験した人たちが、同じことができるのか?この悲劇を終わらせるにはどうしたらいいのか?」と率直な意見を語ってくれた。
私たちにできることは何か?まずは、何が起こっているのか、起こってきたのかを知り、本気で想像することだろう。上映会後の打ち上げで、古居監督に聞いてみた。どうして子どもを撮ることに決めたんですか?と。その答えは、「映画の冒頭に映る、瓦礫の山の前で呆然と立ち尽くす少女と出会ったから」。私たちは、古居監督が捉えたその少女の瞳をスクリーンを通して本気で見つめなければならないだろう。
(土屋 豊)
※本作品のDVDはこちらで販売しはています。
https://support-miz.thyme.jp/DVD.html
2024年07月11日
第123回 VIDEO ACT! 上映会 〜子どもたちの目から見た戦争〜 上映作品『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』
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■ 第123回 VIDEO ACT! 上映会 〜子どもたちの目から見た戦争〜
上映作品『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』
(2011年/86分/監督:古居みずえ)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
===========================================================
■2024年7月11日(木)18時40分より
2023年10月に戦闘が始まってからパレスチナ自治区ガザ。
死者3万4千人以上を超えた今もイスラエル軍の空爆は続く。
うち、子どもの死者は1万3千人以上といわれています。(2024年5月8日現在)
今回上映する『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』は
2011年に発表された作品です。
現在の状況は、2023年10月から急にはじまったわけではありません。
日本にいる私たちに、何ができるのかを考える機会になることを願い、
本作を上映します。
■上映作品
『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』(2011年/86分)
■作品解説
1400人という多くの犠牲を出した、2008年から09年にかけてのイスラエル軍
によるパレスチナ・ガザ地区への攻撃。
本作の監督であるジャーナリスト・古居みずえは、攻撃直後に現地に入り、
300人以上の子どもたちが犠牲になっていたことに大きなショックを受け取材を始める。
ガザ南部の農業地帯ゼイトゥーンに住むサムニ家の子どもたちは、一族が一度に29人も殺されるという、
過酷な事件を経験していた。古居みずえのカメラは、家族を失いながらも、懸命に生きる子どもたちの
生活を静かに見守り、彼らの心の傷と変化を写し出す。20年以上パレスチナに通い続けてきた古居みずえ
だからこそ描きだせた、事件の後の“真実”。それに触れることは、瞬間的に消費される情報が飛び交う中で、
「世界を理解するために知るべきことは何か?」を示してくれるだろう。
■映画『ぼくたちは見た』公式サイト
https://whatwesaw.jp/
■スタッフ
監督・撮影:古居みずえ『ガーダ ーパレスチナの詩ー』『飯舘村 べこやの母ちゃん』
プロデューサー:野中章弘、竹藤佳世
編集:辻井 潔 音響設計:菊池信之 音楽:ヤスミン植月千春
協力:横浜YMCA対人地雷をなくす会、古居みずえドキュメンタリー映画支援の会
製作・配給:アジアプレス・インターナショナル
2011年/日本/カラー/86分/DVCAM/ステレオ
■予告篇
■日時
2024年7月11日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
■ 第123回 VIDEO ACT! 上映会 〜子どもたちの目から見た戦争〜
上映作品『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』
(2011年/86分/監督:古居みずえ)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年7月11日(木)18時40分より
2023年10月に戦闘が始まってからパレスチナ自治区ガザ。
死者3万4千人以上を超えた今もイスラエル軍の空爆は続く。
うち、子どもの死者は1万3千人以上といわれています。(2024年5月8日現在)
今回上映する『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』は
2011年に発表された作品です。
現在の状況は、2023年10月から急にはじまったわけではありません。
日本にいる私たちに、何ができるのかを考える機会になることを願い、
本作を上映します。
■上映作品
『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』(2011年/86分)
■作品解説
1400人という多くの犠牲を出した、2008年から09年にかけてのイスラエル軍
によるパレスチナ・ガザ地区への攻撃。
本作の監督であるジャーナリスト・古居みずえは、攻撃直後に現地に入り、
300人以上の子どもたちが犠牲になっていたことに大きなショックを受け取材を始める。
ガザ南部の農業地帯ゼイトゥーンに住むサムニ家の子どもたちは、一族が一度に29人も殺されるという、
過酷な事件を経験していた。古居みずえのカメラは、家族を失いながらも、懸命に生きる子どもたちの
生活を静かに見守り、彼らの心の傷と変化を写し出す。20年以上パレスチナに通い続けてきた古居みずえ
だからこそ描きだせた、事件の後の“真実”。それに触れることは、瞬間的に消費される情報が飛び交う中で、
「世界を理解するために知るべきことは何か?」を示してくれるだろう。
■映画『ぼくたちは見た』公式サイト
https://whatwesaw.jp/
■スタッフ
監督・撮影:古居みずえ『ガーダ ーパレスチナの詩ー』『飯舘村 べこやの母ちゃん』
プロデューサー:野中章弘、竹藤佳世
編集:辻井 潔 音響設計:菊池信之 音楽:ヤスミン植月千春
協力:横浜YMCA対人地雷をなくす会、古居みずえドキュメンタリー映画支援の会
製作・配給:アジアプレス・インターナショナル
2011年/日本/カラー/86分/DVCAM/ステレオ
■予告篇
■日時
2024年7月11日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
2024年05月16日
【報告文】第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜
上映作品『風に立つ愛子さん』
2024年5月9日、第122回 VIDEO ACT!上映会を行いました。上映作品は、『風に立つ愛子さん』(監督:藤川佳三/2022年/75分)。約20名の参加がありました。今年2024年の元旦に「令和6年能登半島地震」が発生。5カ月が経過しました。震災復興後、どの地でも起こりえる問題が描かれている本作を選考し、上映しました。
2012年、監督の藤川佳三さんは『石巻市立湊小学校避難所』を発表されます。本作は、その続編にあたります。2011年3月11日に起こった、東日本大震災。津波で被災した宮城県石巻市在住の村上愛子さん(当時69歳・通称:愛子さん)と藤川監督は、湊小学校避難所で出会います。その後も愛子さんを取材し続け、亡くなられる2018年までの8年間が綴られた作品です。
前作『石巻市立湊小学校避難所』の舞台となった避難所は、当時1千名くらいの人々が避難されていました。石巻市内で最大級の避難所だったそうです。石巻市とは縁もゆかりもなかった藤川監督。知人の映画作家の紹介で、初めて避難所を訪れます。2011年4月21日のことでした。それから避難所が閉鎖する10月11日までの約半年間、避難所に滞在しながら撮影を続けたといいます。
『石巻市立湊小学校避難所』では、愛子さんと小学生のゆきなちゃん(当時10歳)の関係性を軸とし、主に7名の被災者の姿が描かれていました。10月に避難所が閉鎖されるまでが前作で描かれていました。その後、仮設住宅、復興住宅と住居が変わっても藤川監督が絶えず交流をし続けたのは、愛子さんのみ。その理由は、愛子さん自身が身内と交流を一切絶っており、高齢で独り暮らしを続ける愛子さんのことが、藤川さんは心配だったからです。
『風に立つ愛子さん』の主な舞台は仮設住宅です。独り暮らしの愛子さんは、藤川さんのカメラの前でたえずおしゃべりをしています。生活のすべてを奪ったはずの津波に「様」と敬称をつけたり、「あの津波は、私にとって幸せ運んできたの」と語るのです。
率直なところ、津波に「様」を付ける表現に、私は強い違和感を覚えました。しかし、愛子さんの表情は真剣です。おしゃべりは、高校に進学せず、結婚を選ばず、長い間家族の介護や援助をしてきたこと。そんな紆余曲折の半生が思い出話で語られます。映画が進むにつれて、愛子さんが、津波に「様」を表した意図が、少しずつですが感じられるようになります。
「この長屋住まいで、心豊かになれた。裸一貫の清々しさがあった。何もないのが良かった。あの頃には戻れない」と避難所での生活を振り返る愛ちゃん。仮設住宅ではご近隣との交流はあるのですが、部屋の中での一人語りは異なります。愛子さんと藤川監督との関係性が映像を通して伝わってきます。魂の交流、または恋愛関係に似た感触を私は感じました。
2017年、76歳になった愛子さんは復興住宅へ転居します。仮設住宅とは異なり、外壁の防音もしっかりしています。隣近所とのお付き合いが乏しくなったことも要因かもしれません。悲しいことに、転居から半年後、愛子さんは亡くなりました。
上映後 「愛子さんが生きていれば、この映画は生まれていない」と言い切った藤川さん。取材中に愛子さんが語ったという、印象深い言葉を紹介してくれました。
「私のことを見つけてくれてありがとう」
これは、 藤川監督だけでなく、私たち観客へのメッセージでもありますね。
『風に立つ愛子さん』をスクリーンで拝見するのが、実は2回目の私。2023年9月に渋谷・光塾で開催された試写会が初見でした。その際、私には内容が良くくみ取れませんでした。
その理由として思い当たることが3つあります。1つめは、愛子さんのハイトーンな声に、正直なところ中盤から疲れてしまったこと。2つめは、プライベートな内容の作品に沿った、監督による主観ナレーションなのに、朗読を他者に委任していることで生じる違和感。3つめは、本作にあまり自信を持っていないオーラを藤川監督に感じたことです。
今回、ビデオアクト上映会で再見したことで、試写で感じたことは軽減しました。それは上映会後の藤川監督が、活き活きと本音で話されていたからだです。
「実のところ、本作は編集し直したいと考えている。現行ヴァージョンには、僕が逃げていた要素がある」と語った藤川監督。その言葉が、私にはゾクゾクするくらい嬉しかった。藤川監督が本作にモヤモヤ感じていた部分を編集でスッキリさせれば、もっと沢山の観客に「愛子さん」と出会ってもらえると確信します。再編集版の完成を期待しています。 (文責:土屋トカチ)
2024年5月9日、第122回 VIDEO ACT!上映会を行いました。上映作品は、『風に立つ愛子さん』(監督:藤川佳三/2022年/75分)。約20名の参加がありました。今年2024年の元旦に「令和6年能登半島地震」が発生。5カ月が経過しました。震災復興後、どの地でも起こりえる問題が描かれている本作を選考し、上映しました。
2012年、監督の藤川佳三さんは『石巻市立湊小学校避難所』を発表されます。本作は、その続編にあたります。2011年3月11日に起こった、東日本大震災。津波で被災した宮城県石巻市在住の村上愛子さん(当時69歳・通称:愛子さん)と藤川監督は、湊小学校避難所で出会います。その後も愛子さんを取材し続け、亡くなられる2018年までの8年間が綴られた作品です。
前作『石巻市立湊小学校避難所』の舞台となった避難所は、当時1千名くらいの人々が避難されていました。石巻市内で最大級の避難所だったそうです。石巻市とは縁もゆかりもなかった藤川監督。知人の映画作家の紹介で、初めて避難所を訪れます。2011年4月21日のことでした。それから避難所が閉鎖する10月11日までの約半年間、避難所に滞在しながら撮影を続けたといいます。
『石巻市立湊小学校避難所』では、愛子さんと小学生のゆきなちゃん(当時10歳)の関係性を軸とし、主に7名の被災者の姿が描かれていました。10月に避難所が閉鎖されるまでが前作で描かれていました。その後、仮設住宅、復興住宅と住居が変わっても藤川監督が絶えず交流をし続けたのは、愛子さんのみ。その理由は、愛子さん自身が身内と交流を一切絶っており、高齢で独り暮らしを続ける愛子さんのことが、藤川さんは心配だったからです。
『風に立つ愛子さん』の主な舞台は仮設住宅です。独り暮らしの愛子さんは、藤川さんのカメラの前でたえずおしゃべりをしています。生活のすべてを奪ったはずの津波に「様」と敬称をつけたり、「あの津波は、私にとって幸せ運んできたの」と語るのです。
率直なところ、津波に「様」を付ける表現に、私は強い違和感を覚えました。しかし、愛子さんの表情は真剣です。おしゃべりは、高校に進学せず、結婚を選ばず、長い間家族の介護や援助をしてきたこと。そんな紆余曲折の半生が思い出話で語られます。映画が進むにつれて、愛子さんが、津波に「様」を表した意図が、少しずつですが感じられるようになります。
「この長屋住まいで、心豊かになれた。裸一貫の清々しさがあった。何もないのが良かった。あの頃には戻れない」と避難所での生活を振り返る愛ちゃん。仮設住宅ではご近隣との交流はあるのですが、部屋の中での一人語りは異なります。愛子さんと藤川監督との関係性が映像を通して伝わってきます。魂の交流、または恋愛関係に似た感触を私は感じました。
2017年、76歳になった愛子さんは復興住宅へ転居します。仮設住宅とは異なり、外壁の防音もしっかりしています。隣近所とのお付き合いが乏しくなったことも要因かもしれません。悲しいことに、転居から半年後、愛子さんは亡くなりました。
上映後 「愛子さんが生きていれば、この映画は生まれていない」と言い切った藤川さん。取材中に愛子さんが語ったという、印象深い言葉を紹介してくれました。
「私のことを見つけてくれてありがとう」
これは、 藤川監督だけでなく、私たち観客へのメッセージでもありますね。
『風に立つ愛子さん』をスクリーンで拝見するのが、実は2回目の私。2023年9月に渋谷・光塾で開催された試写会が初見でした。その際、私には内容が良くくみ取れませんでした。
その理由として思い当たることが3つあります。1つめは、愛子さんのハイトーンな声に、正直なところ中盤から疲れてしまったこと。2つめは、プライベートな内容の作品に沿った、監督による主観ナレーションなのに、朗読を他者に委任していることで生じる違和感。3つめは、本作にあまり自信を持っていないオーラを藤川監督に感じたことです。
今回、ビデオアクト上映会で再見したことで、試写で感じたことは軽減しました。それは上映会後の藤川監督が、活き活きと本音で話されていたからだです。
「実のところ、本作は編集し直したいと考えている。現行ヴァージョンには、僕が逃げていた要素がある」と語った藤川監督。その言葉が、私にはゾクゾクするくらい嬉しかった。藤川監督が本作にモヤモヤ感じていた部分を編集でスッキリさせれば、もっと沢山の観客に「愛子さん」と出会ってもらえると確信します。再編集版の完成を期待しています。 (文責:土屋トカチ)
2024年05月07日
第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜 上映作品『風に立つ愛子さん』
============================================
■ 第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜
上映作品『風に立つ愛子さん』
(2023年/75分/監督:藤川佳三)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
============================================
■2024年5月9日(木)18時40分より
東日本大震災で被災した石巻市の女性。
避難当時69歳だった愛子さんは、避難所で「愛ちゃん」の呼び名で慕われた。
明るいキャラクターで周りを笑顔にした愛子さんは
仮設住宅での1人暮らしになった時、自分の思い出を語り始めた。
■上映作品
『風に立つ愛子さん』(2023年/75分)
■作品解説
津波に遭っても、私は私自身でありたい。
2011年東日本大震災の時、石巻市の避難所で出会った
村上愛子さんと監督との8年間の記録。
当時69歳、明るいキャラクターで慕われた愛子さんだが、
やがて仮設住宅で一人暮らしとなった時、自身の思い出を語り始める。
高校に進学せず、結婚も選ばず、紆余曲折の人生を送った
彼女が残したメッセージとは?
北上川の風景をみながら綴っていく追憶のポエトリー。
■スタッフ
監督・撮影:藤川佳三
出演:村上愛子
編集:大重裕二
実景撮影: 田中創
整音: 黄永昌
音楽:植田智道
ナレーション:片山享
製作:I N &O U T
■予告篇
■日時
2024年5月9日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始
上映後、監督の藤川佳三さんを迎え、トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
■ 第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜
上映作品『風に立つ愛子さん』
(2023年/75分/監督:藤川佳三)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年5月9日(木)18時40分より
東日本大震災で被災した石巻市の女性。
避難当時69歳だった愛子さんは、避難所で「愛ちゃん」の呼び名で慕われた。
明るいキャラクターで周りを笑顔にした愛子さんは
仮設住宅での1人暮らしになった時、自分の思い出を語り始めた。
■上映作品
『風に立つ愛子さん』(2023年/75分)
■作品解説
津波に遭っても、私は私自身でありたい。
2011年東日本大震災の時、石巻市の避難所で出会った
村上愛子さんと監督との8年間の記録。
当時69歳、明るいキャラクターで慕われた愛子さんだが、
やがて仮設住宅で一人暮らしとなった時、自身の思い出を語り始める。
高校に進学せず、結婚も選ばず、紆余曲折の人生を送った
彼女が残したメッセージとは?
北上川の風景をみながら綴っていく追憶のポエトリー。
■スタッフ
監督・撮影:藤川佳三
出演:村上愛子
編集:大重裕二
実景撮影: 田中創
整音: 黄永昌
音楽:植田智道
ナレーション:片山享
製作:I N &O U T
■予告篇
■日時
2024年5月9日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始
上映後、監督の藤川佳三さんを迎え、トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
2024年03月25日
【報告文】第121回 VIDEO ACT! 上映会 〜『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』完成記念上映会〜
上映作品『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(監督:湯本雅典)
2024年3月21日、第121回 VIDEO ACT!上映会を行いました。上映作品は、『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(監督:湯本雅典)で、完成記念上映会となりました。約70人の参加者があり、会場は満席となりました。
本作を見ながら、湯本雅典監督の集大成かもしれない、との思いを強くしました。近年、湯本監督は、沖縄諸島への自衛隊基地配備の問題を描いてきましたが、その前には、選挙での市民共闘を描いていました。本作は、確かに沖縄県石垣島でのミサイル基地配備の問題を描いているのですが、民主主義とは何かを鋭く問いかける作品になっているからです。
石垣市には、自治基本条例があり、住民投票についても定められていました。そのため、石垣島に自衛隊基地が作られるかもしれない、ということが分かってから、金城龍太郎さん、宮良麻奈美さんらは「石垣市住民投票を求める会」を作り、署名活動を始めました。彼らは決して「基地反対」を掲げたわけではなく、何も言えないまま基地が作られるのは良くない、と考えたからです。署名は有権者の1/3以上を集め、住民投票の条件を満たしたはずでした。しかしながら、石垣市議会は、住民投票条例制定を否決。以来、住民投票は行われていません。金城さんらは、署名をしてくれた人達への責任を感じ、訴訟を起こします。しかしながら、裁判では敗訴が続きます。その判決理由は滑稽極まりないものですが、詳細は省きます。さらに驚くことに、その間に、石垣市議会は自治基本条例から住民投票条項を削除してしまうのでした。意思表示をしたい、といういたってシンプルな思いは、こうして封じられていくのでした。
次に本作では、石垣市市長選挙が描かれます。ここでいわゆる保守派だった砥板芳行さんが、現職の市長と袂を分かって、立候補します。彼は、住民投票条例を否決した議員の一人です。ですから、基地建設に反対してきた花谷史郎さん(石垣市議会議員)は、当初、にわかには彼のことを信用出来ませんでした。しかしながら、様々な困難を乗り越え、砥板芳行さんは野党統一候補になるものの、現職市長には勝てませんでした。
こうして、2023年3月、石垣島に陸上自衛隊駐屯地が開設。この日のことは、本土でも断片的にニュースとして報道されましたが、先に述べたような経緯があったことは、おそらくほとんどの人が知らないでしょう。
本作を見て感じるのは、自分が住んでいる地域で何か問題が起きた時、意思表示出来るのか、意思表示をする機会はあるのか、ということでした。ですから、冒頭、本作は民主主義とは何かを問いかける、と書いたのです。沖縄の基地問題に関心がある人だけではなく、学校の社会科の授業などでも見せてほしいと思いました。
上映後、活発な意見交換がありました。
本作は、下記にて購入できます。上映権付なので、ぜひ、上映が広がってほしいと思います。
https://yumo.thebase.in/items/84420095
(報告文:本田孝義)
2024年3月21日、第121回 VIDEO ACT!上映会を行いました。上映作品は、『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(監督:湯本雅典)で、完成記念上映会となりました。約70人の参加者があり、会場は満席となりました。
本作を見ながら、湯本雅典監督の集大成かもしれない、との思いを強くしました。近年、湯本監督は、沖縄諸島への自衛隊基地配備の問題を描いてきましたが、その前には、選挙での市民共闘を描いていました。本作は、確かに沖縄県石垣島でのミサイル基地配備の問題を描いているのですが、民主主義とは何かを鋭く問いかける作品になっているからです。
石垣市には、自治基本条例があり、住民投票についても定められていました。そのため、石垣島に自衛隊基地が作られるかもしれない、ということが分かってから、金城龍太郎さん、宮良麻奈美さんらは「石垣市住民投票を求める会」を作り、署名活動を始めました。彼らは決して「基地反対」を掲げたわけではなく、何も言えないまま基地が作られるのは良くない、と考えたからです。署名は有権者の1/3以上を集め、住民投票の条件を満たしたはずでした。しかしながら、石垣市議会は、住民投票条例制定を否決。以来、住民投票は行われていません。金城さんらは、署名をしてくれた人達への責任を感じ、訴訟を起こします。しかしながら、裁判では敗訴が続きます。その判決理由は滑稽極まりないものですが、詳細は省きます。さらに驚くことに、その間に、石垣市議会は自治基本条例から住民投票条項を削除してしまうのでした。意思表示をしたい、といういたってシンプルな思いは、こうして封じられていくのでした。
次に本作では、石垣市市長選挙が描かれます。ここでいわゆる保守派だった砥板芳行さんが、現職の市長と袂を分かって、立候補します。彼は、住民投票条例を否決した議員の一人です。ですから、基地建設に反対してきた花谷史郎さん(石垣市議会議員)は、当初、にわかには彼のことを信用出来ませんでした。しかしながら、様々な困難を乗り越え、砥板芳行さんは野党統一候補になるものの、現職市長には勝てませんでした。
こうして、2023年3月、石垣島に陸上自衛隊駐屯地が開設。この日のことは、本土でも断片的にニュースとして報道されましたが、先に述べたような経緯があったことは、おそらくほとんどの人が知らないでしょう。
本作を見て感じるのは、自分が住んでいる地域で何か問題が起きた時、意思表示出来るのか、意思表示をする機会はあるのか、ということでした。ですから、冒頭、本作は民主主義とは何かを問いかける、と書いたのです。沖縄の基地問題に関心がある人だけではなく、学校の社会科の授業などでも見せてほしいと思いました。
上映後、活発な意見交換がありました。
本作は、下記にて購入できます。上映権付なので、ぜひ、上映が広がってほしいと思います。
https://yumo.thebase.in/items/84420095
(報告文:本田孝義)
2024年03月21日
第121回 VIDEO ACT! 上映会 〜『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』完成記念上映会〜 上映作品『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』
==========================================================
■ 第121回 VIDEO ACT! 上映会 〜『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』完成記念上映会〜
上映作品『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』
(2024年/80分(予定)/監督:湯本雅典)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
===========================================================
■2024年3月21日(木)18時40分より
2023年3月、沖縄県石垣島では、陸上自衛隊ミサイル基地が開設した。
住民投票を求める石垣市内の有権者による
自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例制定請求署名は
有権者の3分の1以上にあたる14,263筆が集まった。
しかし、石垣市は未だに住民投票を実施していない。
住民投票を求める若者たち、農民兼市議会議員、漁師など
基地に対する人々の想いを丹念につむぐ。
■上映作品
『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(2024年/80分(予定))
■作品解説
「署名した人たちに応えたい。責任をはたしたい」
2023年3月、沖縄県石垣島では、陸上自衛隊ミサイル基地が開設した。
石垣市には、自治基本条例という独自の条例がある。
そこには「有権者の4分の1の署名が集まれば、市長は所定の手続きを経て、
住民投票を実施しなければならない」とあった。
2018年「石垣市住民投票を求める会」は平得大俣(ひらえおおまた)地域への
自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例制定請求署名を1か月で集めきった。
その数、14,263筆。
これは、石垣市内の有権者の3分の1以上にあたるが、
石垣市は未だに住民投票を実施していない。
「石垣市住民投票を求める会」は、裁判でたたかい続けている。
署名をしてくれた人たちに応えるために。
「市議会と市民をつなぐ」
農業を営む花谷史郎さんは、もともとは自衛隊基地建設に反対ではなかった。
しかし、市や防衛省の説明に納得がいかず、基地建設予定地周辺の住民に推され、
市議会議員になった。駐屯地建設は、どんどんすすんでゆく。
彼は、農民の目線で市議会と市民をつなぐ。
「戦前がはじまる」
2023年3月、200台近くの軍用車両が民間の石垣港から自衛隊基地に搬入された。
その後、ミサイルの弾薬も運ばれた。3月16日部隊開設。
ゲートには自動小銃を構えた自衛隊員が警備し、
駐屯地外には「北朝鮮」の弾道ミサイル対策のPAC3が配備された。
■スタッフ
企画・撮影・編集・監督:湯本雅典
ナレーター:名川伸子
音楽:Yoshitoo!/山里節子/大月ひろ美/山本ちひろ/ハルサーズ
■予告篇
■日時
2024年3月21日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始
上映後、監督の湯本雅典さんを迎え、トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
■ 第121回 VIDEO ACT! 上映会 〜『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』完成記念上映会〜
上映作品『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』
(2024年/80分(予定)/監督:湯本雅典)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年3月21日(木)18時40分より
2023年3月、沖縄県石垣島では、陸上自衛隊ミサイル基地が開設した。
住民投票を求める石垣市内の有権者による
自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例制定請求署名は
有権者の3分の1以上にあたる14,263筆が集まった。
しかし、石垣市は未だに住民投票を実施していない。
住民投票を求める若者たち、農民兼市議会議員、漁師など
基地に対する人々の想いを丹念につむぐ。
■上映作品
『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(2024年/80分(予定))
■作品解説
「署名した人たちに応えたい。責任をはたしたい」
2023年3月、沖縄県石垣島では、陸上自衛隊ミサイル基地が開設した。
石垣市には、自治基本条例という独自の条例がある。
そこには「有権者の4分の1の署名が集まれば、市長は所定の手続きを経て、
住民投票を実施しなければならない」とあった。
2018年「石垣市住民投票を求める会」は平得大俣(ひらえおおまた)地域への
自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例制定請求署名を1か月で集めきった。
その数、14,263筆。
これは、石垣市内の有権者の3分の1以上にあたるが、
石垣市は未だに住民投票を実施していない。
「石垣市住民投票を求める会」は、裁判でたたかい続けている。
署名をしてくれた人たちに応えるために。
「市議会と市民をつなぐ」
農業を営む花谷史郎さんは、もともとは自衛隊基地建設に反対ではなかった。
しかし、市や防衛省の説明に納得がいかず、基地建設予定地周辺の住民に推され、
市議会議員になった。駐屯地建設は、どんどんすすんでゆく。
彼は、農民の目線で市議会と市民をつなぐ。
「戦前がはじまる」
2023年3月、200台近くの軍用車両が民間の石垣港から自衛隊基地に搬入された。
その後、ミサイルの弾薬も運ばれた。3月16日部隊開設。
ゲートには自動小銃を構えた自衛隊員が警備し、
駐屯地外には「北朝鮮」の弾道ミサイル対策のPAC3が配備された。
■スタッフ
企画・撮影・編集・監督:湯本雅典
ナレーター:名川伸子
音楽:Yoshitoo!/山里節子/大月ひろ美/山本ちひろ/ハルサーズ
■予告篇
■日時
2024年3月21日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始
上映後、監督の湯本雅典さんを迎え、トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
2024年01月14日
【報告文】第120回ビデオアクト上映会〜複合差別に向き合う女性たち〜
上映作品
『もっと真ん中で』 監督:オ・ソヨン
2024年最初のビデオアクト上映会が1月11日に開催された。上映会のタイトルは「複合差別に向き合う女性たち」で、上映作品は、オ・ソヨン監督の『もっと真ん中で』だった。上映後には、ソウルのソヨン監督とリモートで繋いでトークを行うことになっていたので、少し動員を心配していたが、どんどん人が集まってきて、約40名の参加となった。
『もっと真ん中で』は、大阪で生まれ育った李信恵(リ・シネ)さんが、2014年から約4年かけて闘い勝訴した「反ヘイトスピーチ裁判」についての物語だ。フリーライターであるシネさんは、当時激しくなっていたヘイトスピーチに対する批判的な記事を書いたことで、ネット上でネトウヨたちの標的とされ、卑劣な誹謗中傷を受けてしまう。シネさんは、「私のうしろには黙らされて泣いている人がいる」と、国内で初めて、ヘイトスピーチに対して個人で損害賠償を求めて提訴する。在日、女性の複合差別に対して立ち上がったのだ。
…と言っても、映画は闘いのシーンをメインに置かない。主な舞台は、多くの在日コリアンの人々が暮らす大阪の鶴橋だ。特に印象深かったのは、旨そうなホルモンの店、「茂利屋(もりや)」。シネさんが、ここ茂利屋に通うようになったきっかけは、鶴橋でのヘイトスピーチに対峙していた時にたまたま一緒にいた店主のキム・ヤンヒさんに「あんたしんどいやろ、店に飲みにおいで」と誘われたことだった。以来、茂利屋には数多くのシネさんの支援者が集まるようになる。店主のヤンヒさんも女性なら、映画に描かれる支援者もすべて女性。彼女らを絶妙な距離感で撮るソヨン監督自身も女性だ。シネさんのユーモア溢れる大らかな人柄も相俟って、店内はいつも楽しそうだ。
しかし、闘いの先頭に立ったシネさんは笑顔の裏で苦しんでいた。裁判のためには具体的なヘイトスピーチのひとつひとつを直視しなければならない。記録ビデオを見なければならない。「良い韓国人も悪い韓国人も、どちらも殺せ」。ここに書くだけでも暗澹たる気持ちになる言葉と向き合わなければならなかったのだ。――勝訴した夜、シネさんは泣く。いつものようにみんなで飲んだ後、子どものように泣きじゃくる。支援者の女性に抱かれながら。
上映後、司会のビデオアクトスタッフである本田さんは、「シスターフッドの映画だと思った」と言った。私もまったく同感、まさに女性同士の連帯の物語だった。そう言えば、上映会の参加者も女性が多かった。ソウルのソヨン監督とリモートで繋いだ質疑応答も、質問者は全て女性だった。「私は東京で生まれ育った在日朝鮮人だが、大阪には在日コリアンが密に繋がっている素敵な地域があることを、この映画を通じて多くの人に知ってほしい」、「韓国の女性たちは、熱くて、強くて、逞しい。男性は何をやっているのか?」等々、次から次へと質問が続いた。「映画のタイトルの由来は?」との質問に、ソヨン監督は「最初は、『茂利屋での夜』にしようと思ったが、シネさんに猛反対された」と答え、会場はどっと笑いに包まれた。ソヨン監督は、相当、茂利屋が気に入ったらしい。
新しい年、最初のビデオアクト上映会は、とても有意義な会となった。私にとっても、「日本人・男性・おっさん」として、何と向き合うべきかを考えさせられる機会となり、やってよかったと思いました。
(土屋 豊)
『もっと真ん中で』 監督:オ・ソヨン
2024年最初のビデオアクト上映会が1月11日に開催された。上映会のタイトルは「複合差別に向き合う女性たち」で、上映作品は、オ・ソヨン監督の『もっと真ん中で』だった。上映後には、ソウルのソヨン監督とリモートで繋いでトークを行うことになっていたので、少し動員を心配していたが、どんどん人が集まってきて、約40名の参加となった。
『もっと真ん中で』は、大阪で生まれ育った李信恵(リ・シネ)さんが、2014年から約4年かけて闘い勝訴した「反ヘイトスピーチ裁判」についての物語だ。フリーライターであるシネさんは、当時激しくなっていたヘイトスピーチに対する批判的な記事を書いたことで、ネット上でネトウヨたちの標的とされ、卑劣な誹謗中傷を受けてしまう。シネさんは、「私のうしろには黙らされて泣いている人がいる」と、国内で初めて、ヘイトスピーチに対して個人で損害賠償を求めて提訴する。在日、女性の複合差別に対して立ち上がったのだ。
…と言っても、映画は闘いのシーンをメインに置かない。主な舞台は、多くの在日コリアンの人々が暮らす大阪の鶴橋だ。特に印象深かったのは、旨そうなホルモンの店、「茂利屋(もりや)」。シネさんが、ここ茂利屋に通うようになったきっかけは、鶴橋でのヘイトスピーチに対峙していた時にたまたま一緒にいた店主のキム・ヤンヒさんに「あんたしんどいやろ、店に飲みにおいで」と誘われたことだった。以来、茂利屋には数多くのシネさんの支援者が集まるようになる。店主のヤンヒさんも女性なら、映画に描かれる支援者もすべて女性。彼女らを絶妙な距離感で撮るソヨン監督自身も女性だ。シネさんのユーモア溢れる大らかな人柄も相俟って、店内はいつも楽しそうだ。
しかし、闘いの先頭に立ったシネさんは笑顔の裏で苦しんでいた。裁判のためには具体的なヘイトスピーチのひとつひとつを直視しなければならない。記録ビデオを見なければならない。「良い韓国人も悪い韓国人も、どちらも殺せ」。ここに書くだけでも暗澹たる気持ちになる言葉と向き合わなければならなかったのだ。――勝訴した夜、シネさんは泣く。いつものようにみんなで飲んだ後、子どものように泣きじゃくる。支援者の女性に抱かれながら。
上映後、司会のビデオアクトスタッフである本田さんは、「シスターフッドの映画だと思った」と言った。私もまったく同感、まさに女性同士の連帯の物語だった。そう言えば、上映会の参加者も女性が多かった。ソウルのソヨン監督とリモートで繋いだ質疑応答も、質問者は全て女性だった。「私は東京で生まれ育った在日朝鮮人だが、大阪には在日コリアンが密に繋がっている素敵な地域があることを、この映画を通じて多くの人に知ってほしい」、「韓国の女性たちは、熱くて、強くて、逞しい。男性は何をやっているのか?」等々、次から次へと質問が続いた。「映画のタイトルの由来は?」との質問に、ソヨン監督は「最初は、『茂利屋での夜』にしようと思ったが、シネさんに猛反対された」と答え、会場はどっと笑いに包まれた。ソヨン監督は、相当、茂利屋が気に入ったらしい。
新しい年、最初のビデオアクト上映会は、とても有意義な会となった。私にとっても、「日本人・男性・おっさん」として、何と向き合うべきかを考えさせられる機会となり、やってよかったと思いました。
(土屋 豊)
2024年01月11日
第120回 VIDEO ACT! 上映会 〜複合差別に向き合う女性たち〜 上映作品『もっと真ん中で』
==========================================================
■ 第120回 VIDEO ACT! 上映会 〜複合差別に向き合う女性たち〜
上映作品『もっと真ん中で』
(2022年/83分/監督:オ・ソヨン)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
===========================================================
■2024年1月11日(木)18時30分より
■上映作品
『もっと真ん中で( 더 한 복 판 으 로 The Hanbok on the Court)』(2022年/83分)
■作品解説
大阪で生まれ育ったフリーライターの李信恵(リ・シネ)さんは、
ヘイトスピーチに対する批判的な記事を書いたことをきっかけに
自身もインターネット上で激しい誹謗中傷を受けてしまう。
「自分のような思いを誰にもして欲しくない」と『反ヘイトスピーチ裁判』を始め、仲間と共に3年余りの裁判を闘い勝訴した。
2014年、オ・ソヨン監督は偶然大阪市役所前でヘイトスピーチに遭遇。
李信恵さんと反ヘイトスピーチ裁判について知り、撮影を開始。
裁判を支援する朝鮮舞踊のカン・フィソン先生や、民族学級で教鞭をとるヤン・チョナジャさんら
在日コリアン女性たちと共に、約3年間併走した。
■スタッフ&出演
・監督:オ・ソヨン
・出演:リ・シネ、カン・フィソン、ヤン・チョナジャ
■上映歴
2021年 仁川人権映画祭上映
2022年 済州助成映画祭オープニング作品招待上映
2022年 あいち国際女性映画祭コンペティション部門招待上映
■予告編
映画『もっと真ん中で』日本版予告01
https://www.youtube.com/watch?v=-XS-y2lKe10
■日時
2024年1月11日(木)
18時15分/開場 18時30分/開始
上映後、監督のオ・ソヨンさんとオンラインでつなぎ、
トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
■ 第120回 VIDEO ACT! 上映会 〜複合差別に向き合う女性たち〜
上映作品『もっと真ん中で』
(2022年/83分/監督:オ・ソヨン)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年1月11日(木)18時30分より
■上映作品
『もっと真ん中で( 더 한 복 판 으 로 The Hanbok on the Court)』(2022年/83分)
■作品解説
大阪で生まれ育ったフリーライターの李信恵(リ・シネ)さんは、
ヘイトスピーチに対する批判的な記事を書いたことをきっかけに
自身もインターネット上で激しい誹謗中傷を受けてしまう。
「自分のような思いを誰にもして欲しくない」と『反ヘイトスピーチ裁判』を始め、仲間と共に3年余りの裁判を闘い勝訴した。
2014年、オ・ソヨン監督は偶然大阪市役所前でヘイトスピーチに遭遇。
李信恵さんと反ヘイトスピーチ裁判について知り、撮影を開始。
裁判を支援する朝鮮舞踊のカン・フィソン先生や、民族学級で教鞭をとるヤン・チョナジャさんら
在日コリアン女性たちと共に、約3年間併走した。
■スタッフ&出演
・監督:オ・ソヨン
・出演:リ・シネ、カン・フィソン、ヤン・チョナジャ
■上映歴
2021年 仁川人権映画祭上映
2022年 済州助成映画祭オープニング作品招待上映
2022年 あいち国際女性映画祭コンペティション部門招待上映
■予告編
映画『もっと真ん中で』日本版予告01
https://www.youtube.com/watch?v=-XS-y2lKe10
■日時
2024年1月11日(木)
18時15分/開場 18時30分/開始
上映後、監督のオ・ソヨンさんとオンラインでつなぎ、
トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
2023年12月01日
ビデオアクト設立25周年記念・オムニバス映像企画『ニッポン・戦争・私2023』上映会 報告文
2023年は、ビデオアクト設立25年目の年。四半世紀もの間、継続してきた記念に、ビデオアクトの名物企画である3分間ビデオのオムニバス企画を行うことにしました。お題は『ニッポン・戦争・私2023』。この企画は過去に1999年、2002年、2003年、2015年と同じお題で4回募集したことがあります。1999年は盗聴法改悪や国旗及び国歌に関する法律が制定。2002年は9.11直後、そしてアフガニスタンへの侵攻。2003年はイラク戦争。2015年は「戦争法案」成立。…そして2023年は、ロシアがウクライナに侵攻し、パレスチナではイスラエル軍による空爆。日本でも軍拡に突き進んでいます。この機会にもう一度、本企画を実施してみようということになり、作品募集を7月より開始しました。
応募開始当初は作品が集まらず、企画倒れになるのではと心配しました。最終的には、15作品が集まりました。
上映はいつも使っている、東京ボランティア・市民活動センターを離れ、キノ・キュッヘで行いました。
制作者も含め、20名ほどの来場者がありました。
11月23日の『ニッポン・戦争・私2023』上映会では、『ニッポン・戦争・私1999』も併映しました。この作品は1999年に開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭に向けて公募され、集まった作品を無審査で上映したものです。これまでDVDなどのソフト化がなく、上映された機会も1999年以降はほとんどありませんでした。24年前(1999年)の日本社会と2023年現在の映像を並べて観ることは、面白い試みだったと思います。
まずは『ニッポン・戦争・私1999』(73分/23作品)を上映しました。
上映された作品は、上映順に以下の通りです。
Devolution 99/小林アツシ
LOVE&PIZZA/遠藤大輔
天皇と戦争/井谷早里
what do you want?/池原由起子
EXPRESSION/本間 拓
元軍国少年Aの果てしなき戦い/木村愛二
霧社事件と「日の丸・君が代」/佐々木健
(untitled)/丹羽順子
都市(破壊)計画における死体情報化の可能性/行友太郎
(untitled)/中原憲明
(untitled)/松原 明
ね・が・い/田村 周
最後の光景/本田孝義
徒然なるままに/神保知彦
(untitled)/佐々木有美
NO! を発する村より/玄番隆行
(untitled)/下之坊修子
不敬映画論映像編/平沢 剛
恐怖劇場/畠山宗明
(untitled)/正木俊行
花物語バビロン短縮版『花バビ』/相澤虎之助
日本からの難民/大田垣有美
戦争という名の子猫/野村瑞枝
制作当時は、奇抜でエフェクト効果が施されたと思われる映像でも、数十年後に観ると、どうしてもチープに感じられます。この感覚はミュージックビデオやCMなどを見た時によく起こりますよね。そうではなく、シンプルな表現の方が、古くならずに鑑賞できるのは世の常。これは制作者として心に留めておきたいことです。『untitled(丹羽順子さん)』や『戦争という名の子猫』は、今日の視点で観ても傑作でした。
残念ですが、いまは故人となられた制作者もおられました。
映像に登場された方でも最近亡くなられたPANTAさん(頭脳警察)や宮崎学さんの姿にグッときました。
休憩をはさんで、『ニッポン・戦争・私2023』(48分/15作品)を上映しました。
上映された作品は、上映順に以下の通りです。
河川敷の来訪者/村上浩康
安倍・「国葬」 献花に向かう人たち/湯本雅典
2022.12.14 Motobu, Okinawa/ニシノマドカ
4月 核燃サイクルの村で/堀切さとみ
43−23/shimizu4310
懸命に反戦歌!/鈴木敏明
Imagine/本田孝義
私には武器がある I HAVE WEAPONS./霞翔太
午前7時のスケッチ/柚木公奈
久保ちゃん/松原明
27年前/土屋豊
在日-反乱する肖像 天皇最後の勅令と恩赦/金成日
花岡悲歌より 朝露館/佐々木健
座間味島/土屋トカチ
死んで来い/義雄
『ニッポン・戦争・私2023』では、今日的テーマであるはずのロシア、ウクライナ等を描いた作品は『河川敷の来訪者』(村上浩康監督)をのぞき、ありませんでした。距離的な問題なのかもしれません。一方、軍拡に進む日本社会や、過去の戦争責任、原発問題、貧困問題などから『ニッポン・戦争・私』が見えてくる作品が多く集まりました。
オムニバス3分ビデオの面白いところは、同じテーマで、個々の作者の視点も全く異なるところにあります。さらに今回は『1999』と『2023』では、制作時期も異なります。2つの作品を続けて観てみると、24年の隔たりはあまり感じられず、重層的に「ニッポン」の姿を浮かび上がらせていました。
とはいえ、2つのオムニバス作品で合計38本も観るとドッと疲れました…。
会場であるキノ・キュッヘは上映施設が完備されたお店。開店31年目の居酒屋さんです。
上映終了後は、レイウアウトを変更し、そのまま懇親会へと突入です。
ビデオアクト主宰の土屋豊さんのによる司会で懇親会はスタート。乾杯のあと、来場された各制作者からのコメントをいただきました。続いて、『ニッポン・戦争・私2023』の観客賞を選定しました。会場内での議論の結果、一人何票でも「良かった」と思えた作品に挙手をし、数が多かった作品に観客賞を贈るルールを決めました。
観客賞は村上浩康さんの『河川敷の来訪者』に決定。
副賞として『ニッポン・戦争・私1999』のDVD(非売品)が贈呈されました。
今回上映した『ニッポン・戦争・私2023』の内で、DVD収録を許可している作品をまとめて、DVDとして頒布します。また、配信を許可している作品は配信も行う予定です。お楽しみに!
なお『ニッポン・戦争・私1999』のDVDは、販売の予定はありません。
文責:土屋トカチ
↑(写真:左)観客賞・副賞のDVD『ニッポン・戦争・私1999』。
<参考>
『ニッポン・戦争・私』シリーズ
DVD『ニッポン・戦争・私』シリーズ
<参考/告知記事>
時代と戦争、映像で考える オムニバス作品上映 国立で23日/東京(毎日新聞)
応募開始当初は作品が集まらず、企画倒れになるのではと心配しました。最終的には、15作品が集まりました。
上映はいつも使っている、東京ボランティア・市民活動センターを離れ、キノ・キュッヘで行いました。
制作者も含め、20名ほどの来場者がありました。
11月23日の『ニッポン・戦争・私2023』上映会では、『ニッポン・戦争・私1999』も併映しました。この作品は1999年に開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭に向けて公募され、集まった作品を無審査で上映したものです。これまでDVDなどのソフト化がなく、上映された機会も1999年以降はほとんどありませんでした。24年前(1999年)の日本社会と2023年現在の映像を並べて観ることは、面白い試みだったと思います。
まずは『ニッポン・戦争・私1999』(73分/23作品)を上映しました。
上映された作品は、上映順に以下の通りです。
Devolution 99/小林アツシ
LOVE&PIZZA/遠藤大輔
天皇と戦争/井谷早里
what do you want?/池原由起子
EXPRESSION/本間 拓
元軍国少年Aの果てしなき戦い/木村愛二
霧社事件と「日の丸・君が代」/佐々木健
(untitled)/丹羽順子
都市(破壊)計画における死体情報化の可能性/行友太郎
(untitled)/中原憲明
(untitled)/松原 明
ね・が・い/田村 周
最後の光景/本田孝義
徒然なるままに/神保知彦
(untitled)/佐々木有美
NO! を発する村より/玄番隆行
(untitled)/下之坊修子
不敬映画論映像編/平沢 剛
恐怖劇場/畠山宗明
(untitled)/正木俊行
花物語バビロン短縮版『花バビ』/相澤虎之助
日本からの難民/大田垣有美
戦争という名の子猫/野村瑞枝
制作当時は、奇抜でエフェクト効果が施されたと思われる映像でも、数十年後に観ると、どうしてもチープに感じられます。この感覚はミュージックビデオやCMなどを見た時によく起こりますよね。そうではなく、シンプルな表現の方が、古くならずに鑑賞できるのは世の常。これは制作者として心に留めておきたいことです。『untitled(丹羽順子さん)』や『戦争という名の子猫』は、今日の視点で観ても傑作でした。
残念ですが、いまは故人となられた制作者もおられました。
映像に登場された方でも最近亡くなられたPANTAさん(頭脳警察)や宮崎学さんの姿にグッときました。
休憩をはさんで、『ニッポン・戦争・私2023』(48分/15作品)を上映しました。
上映された作品は、上映順に以下の通りです。
河川敷の来訪者/村上浩康
安倍・「国葬」 献花に向かう人たち/湯本雅典
2022.12.14 Motobu, Okinawa/ニシノマドカ
4月 核燃サイクルの村で/堀切さとみ
43−23/shimizu4310
懸命に反戦歌!/鈴木敏明
Imagine/本田孝義
私には武器がある I HAVE WEAPONS./霞翔太
午前7時のスケッチ/柚木公奈
久保ちゃん/松原明
27年前/土屋豊
在日-反乱する肖像 天皇最後の勅令と恩赦/金成日
花岡悲歌より 朝露館/佐々木健
座間味島/土屋トカチ
死んで来い/義雄
『ニッポン・戦争・私2023』では、今日的テーマであるはずのロシア、ウクライナ等を描いた作品は『河川敷の来訪者』(村上浩康監督)をのぞき、ありませんでした。距離的な問題なのかもしれません。一方、軍拡に進む日本社会や、過去の戦争責任、原発問題、貧困問題などから『ニッポン・戦争・私』が見えてくる作品が多く集まりました。
オムニバス3分ビデオの面白いところは、同じテーマで、個々の作者の視点も全く異なるところにあります。さらに今回は『1999』と『2023』では、制作時期も異なります。2つの作品を続けて観てみると、24年の隔たりはあまり感じられず、重層的に「ニッポン」の姿を浮かび上がらせていました。
とはいえ、2つのオムニバス作品で合計38本も観るとドッと疲れました…。
会場であるキノ・キュッヘは上映施設が完備されたお店。開店31年目の居酒屋さんです。
上映終了後は、レイウアウトを変更し、そのまま懇親会へと突入です。
ビデオアクト主宰の土屋豊さんのによる司会で懇親会はスタート。乾杯のあと、来場された各制作者からのコメントをいただきました。続いて、『ニッポン・戦争・私2023』の観客賞を選定しました。会場内での議論の結果、一人何票でも「良かった」と思えた作品に挙手をし、数が多かった作品に観客賞を贈るルールを決めました。
観客賞は村上浩康さんの『河川敷の来訪者』に決定。
副賞として『ニッポン・戦争・私1999』のDVD(非売品)が贈呈されました。
今回上映した『ニッポン・戦争・私2023』の内で、DVD収録を許可している作品をまとめて、DVDとして頒布します。また、配信を許可している作品は配信も行う予定です。お楽しみに!
なお『ニッポン・戦争・私1999』のDVDは、販売の予定はありません。
文責:土屋トカチ
↑(写真:左)観客賞・副賞のDVD『ニッポン・戦争・私1999』。
<参考>
『ニッポン・戦争・私』シリーズ
DVD『ニッポン・戦争・私』シリーズ
<参考/告知記事>
時代と戦争、映像で考える オムニバス作品上映 国立で23日/東京(毎日新聞)
2023年11月23日
オムニバス映像『ニッポン・戦争・私 2023』上映会
==========================================================
■ オムニバス映像『ニッポン・戦争・私 2023』上映会
上映作品『ニッポン・戦争・私 2023』(48分/2023年)
併映『ニッポン・戦争・私 1999』(73分/1999年)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
===========================================================
■2023年11月23日(木・祝)16時より
■上映作品
『ニッポン・戦争・私 2023』(48分/2023年)
■作品解説
ロシアがウクライナに侵攻し、パレスチナでは空爆が続き、
日本では軍拡に突き進もうとしています。
そんな「現在」だからこそ、もう一度「戦争」について考えてみたいと思います。
VIDEO ACT!では、誰もが映像で発信が出来ることを目指して、
1999年に「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集し、上映しました。
本年2023年はVIDEO ACT!創立25年という節目の年でもあり、
再び「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集しました。
応募された作品を無審査で全作品上映いたします。
25周年記念に、第1回目のオムニバス映像企画
『ニッポン・戦争・私 1999』(73分/1999年)も併映します。
過去に一度もソフト化されていない、貴重な上映となります。
■『ニッポン・戦争・私 2023』作品出品者(敬称略・順不同)
霞翔太/金成日/鈴木敏明/佐々木健
土屋トカチ/土屋豊/ニシノマドカ/堀切さとみ
本田孝義/松原明/村上浩康/柚木公奈
湯本雅典/義雄/shimizu4310
■日時
2023年11月23日(木・祝)
<タイムスケジュール>
●15:30 開場
●16:00 『ニッポン・戦争・私 1999』(73分)上映開始
(休憩15分)
●17:30 『ニッポン・戦争・私 2023』(48分)上映開始
(懇親会準備30分)
●18:45頃 懇親会開始
●21:00 終了
■上映会場
キノ・キュッヘ(木乃久兵衛)
〒186-0005 東京都国立市 西2丁目11−32 電話 042-577-5971
国立駅南口出る/西友と神戸屋の間の富士見通りを直進/徒歩15分
■参加費
500円(作品出品者・介助者は無料)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
■ オムニバス映像『ニッポン・戦争・私 2023』上映会
上映作品『ニッポン・戦争・私 2023』(48分/2023年)
併映『ニッポン・戦争・私 1999』(73分/1999年)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
===========================================================
■2023年11月23日(木・祝)16時より
■上映作品
『ニッポン・戦争・私 2023』(48分/2023年)
■作品解説
ロシアがウクライナに侵攻し、パレスチナでは空爆が続き、
日本では軍拡に突き進もうとしています。
そんな「現在」だからこそ、もう一度「戦争」について考えてみたいと思います。
VIDEO ACT!では、誰もが映像で発信が出来ることを目指して、
1999年に「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集し、上映しました。
本年2023年はVIDEO ACT!創立25年という節目の年でもあり、
再び「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集しました。
応募された作品を無審査で全作品上映いたします。
25周年記念に、第1回目のオムニバス映像企画
『ニッポン・戦争・私 1999』(73分/1999年)も併映します。
過去に一度もソフト化されていない、貴重な上映となります。
■『ニッポン・戦争・私 2023』作品出品者(敬称略・順不同)
霞翔太/金成日/鈴木敏明/佐々木健
土屋トカチ/土屋豊/ニシノマドカ/堀切さとみ
本田孝義/松原明/村上浩康/柚木公奈
湯本雅典/義雄/shimizu4310
■日時
2023年11月23日(木・祝)
<タイムスケジュール>
●15:30 開場
●16:00 『ニッポン・戦争・私 1999』(73分)上映開始
(休憩15分)
●17:30 『ニッポン・戦争・私 2023』(48分)上映開始
(懇親会準備30分)
●18:45頃 懇親会開始
●21:00 終了
■上映会場
キノ・キュッヘ(木乃久兵衛)
〒186-0005 東京都国立市 西2丁目11−32 電話 042-577-5971
国立駅南口出る/西友と神戸屋の間の富士見通りを直進/徒歩15分
■参加費
500円(作品出品者・介助者は無料)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
2023年09月30日
締切日延期10/31まで。ビデオアクト オムニバス映像『ニッポン・戦争・私 2023』募集開始
ロシアがウクライナに侵攻し、日本では軍拡に突き進もうとしています。
そんな時代だからこそ、もう一度、「戦争」について考えてみたいと思います。
VIDEO ACT!では、誰もが映像で発信が出来ることを目指して、
1999年に「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集し、上映しました。
本年2023年はVIDEO ACT!創立25年という節目の年でもあるので、
再び「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集します。
応募された作品は無審査で上映いたします。
募集要項
●テーマは「ニッポン・戦争・私」について。
●時間は3分以内。(時間をオーバーしている作品は、頭から3分でカットする場合があります。)
●制作者の国籍、職業などは問いません。
●制作は個人でもグループでもかまいません。
●1個人(または1グループ)1作品でお願いします。
●応募は無料です。
●作品を応募していただいた方には無料で上映会にご招待します。また、応募作を収録した頒布用DVDを進呈いたします。
●募集する映像のフォーマットは、mov、mp4、avi、wmvとさせていただきます。
●映像はギガファイル便などのファイル転送サービスでお送りください。また、アップロードアドレスを必ず、下記応募先メールアドレスまでご連絡ください。ファイル転送サービスが使えない方はご相談ください。
●場面写真(静止画)1点をご提供ください。
●既存の映像、音楽を使用する場合は、制作者の責任で著作権の処理をお願いいたします。また、肖像権等につきましても、制作者の責任でお願いいたします。
●応募作品は、YouTubeでの配信、DVD頒布も予定しています。DVD頒布は実費で行いますので制作者への金銭的還元はできません。
また、上映会での上映のために作品を出品するが、他での公開はしないなどの選択もできます。
●上映会は11月23日(木・祝)に、キノ・キュッヘ(東京都国立市)で行います。
締め切り
2023年9月30日(土) 10月31日(火)必着
応募・問い合わせ先
E-mail jyouei@videoact.jp TEL 03-6451-0098
URL http://videoact.jp/
VIDEO ACT!「ニッポン・戦争・私」担当
以下の項目をご記入の上、メールにてお送りください。
また、場面写真(静止画)1点を添付ファイルにてお送りください。
・アップロード先のアドレス
・作品名
・制作者名
・郵便番号
・住所
・Tel.
・E-Mail
・画面の縦横比(16対9/4対3/その他)
・YouTubeでの公開(どちらかをお選びください):公開可/公開不可
・頒布用DVDへの収録(どちらかをお選びください):収録可/収録不可
・作品コメント(100字程度)上映時・ネット公開等で紹介します。
以上です。
チラシPDF ニッポン・戦争・私2023募集チラシ.pdf
そんな時代だからこそ、もう一度、「戦争」について考えてみたいと思います。
VIDEO ACT!では、誰もが映像で発信が出来ることを目指して、
1999年に「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集し、上映しました。
本年2023年はVIDEO ACT!創立25年という節目の年でもあるので、
再び「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集します。
応募された作品は無審査で上映いたします。
募集要項
●テーマは「ニッポン・戦争・私」について。
●時間は3分以内。(時間をオーバーしている作品は、頭から3分でカットする場合があります。)
●制作者の国籍、職業などは問いません。
●制作は個人でもグループでもかまいません。
●1個人(または1グループ)1作品でお願いします。
●応募は無料です。
●作品を応募していただいた方には無料で上映会にご招待します。また、応募作を収録した頒布用DVDを進呈いたします。
●募集する映像のフォーマットは、mov、mp4、avi、wmvとさせていただきます。
●映像はギガファイル便などのファイル転送サービスでお送りください。また、アップロードアドレスを必ず、下記応募先メールアドレスまでご連絡ください。ファイル転送サービスが使えない方はご相談ください。
●場面写真(静止画)1点をご提供ください。
●既存の映像、音楽を使用する場合は、制作者の責任で著作権の処理をお願いいたします。また、肖像権等につきましても、制作者の責任でお願いいたします。
●応募作品は、YouTubeでの配信、DVD頒布も予定しています。DVD頒布は実費で行いますので制作者への金銭的還元はできません。
また、上映会での上映のために作品を出品するが、他での公開はしないなどの選択もできます。
●上映会は11月23日(木・祝)に、キノ・キュッヘ(東京都国立市)で行います。
締め切り
2023年
応募・問い合わせ先
E-mail jyouei@videoact.jp TEL 03-6451-0098
URL http://videoact.jp/
VIDEO ACT!「ニッポン・戦争・私」担当
以下の項目をご記入の上、メールにてお送りください。
また、場面写真(静止画)1点を添付ファイルにてお送りください。
・アップロード先のアドレス
・作品名
・制作者名
・郵便番号
・住所
・Tel.
・画面の縦横比(16対9/4対3/その他)
・YouTubeでの公開(どちらかをお選びください):公開可/公開不可
・頒布用DVDへの収録(どちらかをお選びください):収録可/収録不可
・作品コメント(100字程度)上映時・ネット公開等で紹介します。
以上です。
チラシPDF ニッポン・戦争・私2023募集チラシ.pdf
2023年09月26日
【報告文】第119回 VIDEO ACT! 上映会 〜半自給自足、半映画作りの日々〜
上映作品:『めんどくさいことを手放さない暮らし』(監督:下之坊修子)
去る9月21日に、第119回 VIDEO ACT! 上映会を開催しました。参加者は20名ほどでした。上映作品『めんどくさいことを手放さない暮らし』の監督・下之坊修子さんとは、長年、私たちVIDEO ACT!と繋がりがあり、これまでも何作も上映させて戴いている。本作は、8年前(製作時は7年前)に下之坊さんが大阪府河内長野市滝畑に移住してからの記録だ。
滝畑は交通の便もあまりよくない、大阪南部の山村だ。下之坊さんは近くで生まれ育ったので、故郷でもある。縁があって、ここの古い平屋を買ったのだ。しばらく人が住んでいなかったこともあって、家の改修を始める。その改修も、誰かにお任せではなく、様々な人が駆けつけてきて、楽しそうに改修している。下之坊さんの人柄もあるのだろう。同時に、山間部での一人暮らしは、簡単ではないという現実を忠告してくれる方もいる。
この一軒家で、下之坊さんは、様々なプロジェクトや講座を始める。野菜作り、映画史講座、上映会、ミニコンサート、お金を語る会、女たちの食事会、エンディング講座、女たちの夏休み、などなど。どの催しも楽しそうだ。こうした催しは、困ったときに「助けて」と言える人間関係を作っていくことが根底にある。タイトルにある「めんどくさいこと」とは、家を改修したり、野菜を作ったりといった、自分に必要なことは出来るだけ自分でする、という実践のことだと思いますが、私は下之坊さんの活動を見ながら、人間関係のことでもあるな、と思いました。人と関わっていくことはめんどくさい。でも、生きていくためには人との関りも大切だ。だから、手放さない、と。私は下之坊さんのようには出来ないけれど、いろんな人にとって多くのヒントがあると思います。
上映後の滝畑からのzoomトークで下之坊さんも言っていましたが、当初は、市内の同級生達やこれまで関わってきた方たちが集まってくることが多かったが、徐々に地域の方との関係も深まり、地域の行事に参加する様子も描かれています。
トークでは司会者から、滝畑に移住して後悔はないか、という率直な質問がありましたが、下之坊さんがきっぱりと「全然、後悔はない」と言っていたのが印象的でした。また、自分自身が変化しただけではなく、周りも変化しているとも。参加者からは、医療のこと、福祉のことなど具体的な質問もありました。「いなか暮らしは面白い」という、下之坊さんの言葉に表れているように、参加者も刺激を受けた、そんな上映会だったと思います。
(本田孝義)
『めんどくさいことを手放さない暮らし』上映情報
http://terere.jugem.jp/?cid=46
去る9月21日に、第119回 VIDEO ACT! 上映会を開催しました。参加者は20名ほどでした。上映作品『めんどくさいことを手放さない暮らし』の監督・下之坊修子さんとは、長年、私たちVIDEO ACT!と繋がりがあり、これまでも何作も上映させて戴いている。本作は、8年前(製作時は7年前)に下之坊さんが大阪府河内長野市滝畑に移住してからの記録だ。
滝畑は交通の便もあまりよくない、大阪南部の山村だ。下之坊さんは近くで生まれ育ったので、故郷でもある。縁があって、ここの古い平屋を買ったのだ。しばらく人が住んでいなかったこともあって、家の改修を始める。その改修も、誰かにお任せではなく、様々な人が駆けつけてきて、楽しそうに改修している。下之坊さんの人柄もあるのだろう。同時に、山間部での一人暮らしは、簡単ではないという現実を忠告してくれる方もいる。
この一軒家で、下之坊さんは、様々なプロジェクトや講座を始める。野菜作り、映画史講座、上映会、ミニコンサート、お金を語る会、女たちの食事会、エンディング講座、女たちの夏休み、などなど。どの催しも楽しそうだ。こうした催しは、困ったときに「助けて」と言える人間関係を作っていくことが根底にある。タイトルにある「めんどくさいこと」とは、家を改修したり、野菜を作ったりといった、自分に必要なことは出来るだけ自分でする、という実践のことだと思いますが、私は下之坊さんの活動を見ながら、人間関係のことでもあるな、と思いました。人と関わっていくことはめんどくさい。でも、生きていくためには人との関りも大切だ。だから、手放さない、と。私は下之坊さんのようには出来ないけれど、いろんな人にとって多くのヒントがあると思います。
上映後の滝畑からのzoomトークで下之坊さんも言っていましたが、当初は、市内の同級生達やこれまで関わってきた方たちが集まってくることが多かったが、徐々に地域の方との関係も深まり、地域の行事に参加する様子も描かれています。
トークでは司会者から、滝畑に移住して後悔はないか、という率直な質問がありましたが、下之坊さんがきっぱりと「全然、後悔はない」と言っていたのが印象的でした。また、自分自身が変化しただけではなく、周りも変化しているとも。参加者からは、医療のこと、福祉のことなど具体的な質問もありました。「いなか暮らしは面白い」という、下之坊さんの言葉に表れているように、参加者も刺激を受けた、そんな上映会だったと思います。
(本田孝義)
『めんどくさいことを手放さない暮らし』上映情報
http://terere.jugem.jp/?cid=46
2023年09月21日
第119回 VIDEO ACT! 上映会 〜半自給自足、半映画作りの日々〜 上映作品『めんどくさいことを手放さない暮らし』
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■ 第119回 VIDEO ACT! 上映会 〜半自給自足、半映画作りの日々〜
上映作品『めんどくさいことを手放さない暮らし』
(2023年/62分/監督:下之坊修子)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
===========================================================
■2023年9月21日(木)19時より
■上映作品
『めんどくさいことを手放さない暮らし』(2023年/62分)
■作品解説
大阪府河内長野市滝畑。
大阪南部の山村に移住して7年。そこは信号も店もない。
効率のためのスピードやお金に振り回される生活に疑問を感じ、
今は半自給自足、半映画作りの日々。
忘れさられていく暮らしの凄さ、野菜や鳥や動物から多くを学ぶ。
スマホより的確に教えてくれ、少しずつ感覚を取り戻す。
かつて祖母達はお互いに助け合いながら自然に抗わずに暮らしていた。
色々な人と繋がることのダイナミックさ面白さを大切に、
楽しくワクワクする暮らしを作って行きたい。
・監督:下之坊修子
・撮影:井上啓、岡田和真、楠瀬かおり、黒瀬政男、下之坊修子
・編集:下之坊修子
・音楽:別所エビオス誠洋「星まつりの歌」、田中 達
■予告編
■日時
2023年9月21日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の下之坊修子さんとオンラインでつなぎ、
トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
■ 第119回 VIDEO ACT! 上映会 〜半自給自足、半映画作りの日々〜
上映作品『めんどくさいことを手放さない暮らし』
(2023年/62分/監督:下之坊修子)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年9月21日(木)19時より
■上映作品
『めんどくさいことを手放さない暮らし』(2023年/62分)
■作品解説
大阪府河内長野市滝畑。
大阪南部の山村に移住して7年。そこは信号も店もない。
効率のためのスピードやお金に振り回される生活に疑問を感じ、
今は半自給自足、半映画作りの日々。
忘れさられていく暮らしの凄さ、野菜や鳥や動物から多くを学ぶ。
スマホより的確に教えてくれ、少しずつ感覚を取り戻す。
かつて祖母達はお互いに助け合いながら自然に抗わずに暮らしていた。
色々な人と繋がることのダイナミックさ面白さを大切に、
楽しくワクワクする暮らしを作って行きたい。
・監督:下之坊修子
・撮影:井上啓、岡田和真、楠瀬かおり、黒瀬政男、下之坊修子
・編集:下之坊修子
・音楽:別所エビオス誠洋「星まつりの歌」、田中 達
■予告編
■日時
2023年9月21日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の下之坊修子さんとオンラインでつなぎ、
トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
2023年07月16日
【報告文】第118回ビデオアクト上映会〜琉球弧で進行する新基地建設〜
上映作品
『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』 監督:湯本雅典
去る7月13日、第118回目のビデオアクト上映会が開催された。上映会のタイトルは「琉球弧で進行する新基地建設」で、上映作品は出来上がったばかりの『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』。監督は、ビデオアクト上映会で何度も作品を上映させて頂いている湯本雅典さんだ。
上映スタートは19時だったが、18時過ぎあたりから続々と来場者が集まり、最終的には約50名の方々にご参加頂いた。そして、上映前から熱気が凄い。会場では、当日の上映作品をDVDで販売していたのだが、上映前からかなりの勢いで売れていた。「これから観る作品のDVDを観る前に買う」というちょっと不可思議な現象だが、これこそビデオアクトの上映会らしい光景とも言える。みんな作品をただ「鑑賞」しに来たのではなく、現状を知り、みんなで話し合って共有し、各々の日常に持ち帰るためにやって来たのだ。
上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』は、今年3月の陸上自衛隊石垣駐屯地開設の過程を追ったドキュメンタリーだ。本来は、来年1月完成予定の『この島には戦争という言葉はない(仮題)』の素材の一部だったが、ミサイル基地開設の報道が本土であまりにも少ない現状を見て、急遽、一旦完成させてDVDパッケージ化したという。
確かに私自身、この事実を大手メディアの報道で知った記憶はない。多くの観光客を乗せた観光バスと、いかつい軍用車両がすれ違う光景など見たことがない。この作品は、そういう緊迫したシーンをしっかりと見せてくれる。そして、島の人々の抗議行動や悲痛な声を丁寧に伝えてくれる。大手メディアやネットニュースを漠然と見ているだけでは知ることができない事実を教えてくれるのだ。
そして、この日は、その「現実」をより深く掘り下げてくれる映像が追加で上映された。来年1月完成予定の作品の素材となるであろう4名の方のインタビュー映像だ。私が特に印象に残ったのは、21歳の女性Aさんのお話。「沖縄戦体験者である“おばあ”は、戦争の話をしたがらない。自衛隊のニュースが始まったらテレビを消す」、「自分たちの世代は、敵基地攻撃能力云々よりも彼氏の話の方が…」。とてもリアルで素直な言葉。それは、私自身の中にもある正直な気持ちとも言える。「でも、その彼氏の上に爆弾が落ちたとしたら?」、「“おばあ”の恋人が戦争で亡くなっていたとしたら?」…全ては対話から始まるし、始めるしかない。
…ということで、約40分の上映時間より長い上映後の約80分の対話、ディスカッションは大いに盛り上がった。湯本さんへの質問、作品を観た感想、ご自身の意見などがあとを絶たない。中には「沖縄と本土では意識がかけ離れている。どうすれば、沖縄の現状を“自分事化”できるか?」という根本的な質問もあった。湯本さんの答えは「そのために映画をつくっています」。まさに、その通りだろう。そして、戦前生まれの女性は、「今日知ったことを持ち帰って、自分の足元で広める。DVDを買って上映会をやって、アメーバのように広げる!」と大声で気を吐いた。そのおかげで、ディスカッション終了後に、再びDVDが売れまくった。ちなみに、この作品のDVDは、1,000円で上映権付き。購入すれば、どこで上映会をやっても構わない。皆さん、是非広めて、対話を始めましょう!
(土屋 豊)
※本作をはじめとする湯本雅典監督のDVDは、下記サイトでご購入頂けます。
https://yumo.thebase.in/
『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』 監督:湯本雅典
去る7月13日、第118回目のビデオアクト上映会が開催された。上映会のタイトルは「琉球弧で進行する新基地建設」で、上映作品は出来上がったばかりの『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』。監督は、ビデオアクト上映会で何度も作品を上映させて頂いている湯本雅典さんだ。
上映スタートは19時だったが、18時過ぎあたりから続々と来場者が集まり、最終的には約50名の方々にご参加頂いた。そして、上映前から熱気が凄い。会場では、当日の上映作品をDVDで販売していたのだが、上映前からかなりの勢いで売れていた。「これから観る作品のDVDを観る前に買う」というちょっと不可思議な現象だが、これこそビデオアクトの上映会らしい光景とも言える。みんな作品をただ「鑑賞」しに来たのではなく、現状を知り、みんなで話し合って共有し、各々の日常に持ち帰るためにやって来たのだ。
上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』は、今年3月の陸上自衛隊石垣駐屯地開設の過程を追ったドキュメンタリーだ。本来は、来年1月完成予定の『この島には戦争という言葉はない(仮題)』の素材の一部だったが、ミサイル基地開設の報道が本土であまりにも少ない現状を見て、急遽、一旦完成させてDVDパッケージ化したという。
確かに私自身、この事実を大手メディアの報道で知った記憶はない。多くの観光客を乗せた観光バスと、いかつい軍用車両がすれ違う光景など見たことがない。この作品は、そういう緊迫したシーンをしっかりと見せてくれる。そして、島の人々の抗議行動や悲痛な声を丁寧に伝えてくれる。大手メディアやネットニュースを漠然と見ているだけでは知ることができない事実を教えてくれるのだ。
そして、この日は、その「現実」をより深く掘り下げてくれる映像が追加で上映された。来年1月完成予定の作品の素材となるであろう4名の方のインタビュー映像だ。私が特に印象に残ったのは、21歳の女性Aさんのお話。「沖縄戦体験者である“おばあ”は、戦争の話をしたがらない。自衛隊のニュースが始まったらテレビを消す」、「自分たちの世代は、敵基地攻撃能力云々よりも彼氏の話の方が…」。とてもリアルで素直な言葉。それは、私自身の中にもある正直な気持ちとも言える。「でも、その彼氏の上に爆弾が落ちたとしたら?」、「“おばあ”の恋人が戦争で亡くなっていたとしたら?」…全ては対話から始まるし、始めるしかない。
…ということで、約40分の上映時間より長い上映後の約80分の対話、ディスカッションは大いに盛り上がった。湯本さんへの質問、作品を観た感想、ご自身の意見などがあとを絶たない。中には「沖縄と本土では意識がかけ離れている。どうすれば、沖縄の現状を“自分事化”できるか?」という根本的な質問もあった。湯本さんの答えは「そのために映画をつくっています」。まさに、その通りだろう。そして、戦前生まれの女性は、「今日知ったことを持ち帰って、自分の足元で広める。DVDを買って上映会をやって、アメーバのように広げる!」と大声で気を吐いた。そのおかげで、ディスカッション終了後に、再びDVDが売れまくった。ちなみに、この作品のDVDは、1,000円で上映権付き。購入すれば、どこで上映会をやっても構わない。皆さん、是非広めて、対話を始めましょう!
(土屋 豊)
※本作をはじめとする湯本雅典監督のDVDは、下記サイトでご購入頂けます。
https://yumo.thebase.in/
2023年07月13日
第118回 VIDEO ACT! 上映会 〜琉球弧で進行する新基地建設〜 上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』
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■ 第118回 VIDEO ACT! 上映会 〜琉球弧で進行する新基地建設〜
上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』
(2023年/20分/監督:湯本雅典)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年7月13日(木)19時より
■上映作品
『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』(2023年/20分)
■作品解説
2023年3月、コロナが一時あけたことを受け沖縄県石垣島には
多くの観光客が戻り始めていた。石垣島から他の島への旅を
楽しむ観光客であふれていた離島ターミナル(民間港)の真横には、
3メートルの壁に仕切られた中に陸揚げされたばかりの150台以上の軍事車両が並んでいた。
3月16日、陸上自衛隊石垣駐屯地が開設した。
正面ゲートには、自動小銃を携行した自衛隊員が警備に立つ。
市街地にある自衛隊宿舎からは迷彩服の自衛官が出勤する。
3月18日、石垣港新港地区の旅客船ターミナルに自衛艦おおすみが接岸した。
ここは通常大型クルーズ船が接岸する場所だ。おおすみからは、ミサイルの弾薬が石垣島に陸揚げされた。
78年間戦争の道具が存在しなかった石垣島に、ミサイル基地が開設した。
「この島には、戦争という言葉がないんだよ」と島の人が話してくれた。
・企画・撮影・編集・監督:湯本雅典
・ナレーター:名川伸子
・挿入曲「とぅばらーま」「よーよーよー」唄:山里節子
その他、湯本雅典さんによる
追加映像を用いた報告を予定。
■日時
2023年7月13日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の湯本雅典さんを迎え、
トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
■ 第118回 VIDEO ACT! 上映会 〜琉球弧で進行する新基地建設〜
上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』
(2023年/20分/監督:湯本雅典)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年7月13日(木)19時より
■上映作品
『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』(2023年/20分)
■作品解説
2023年3月、コロナが一時あけたことを受け沖縄県石垣島には
多くの観光客が戻り始めていた。石垣島から他の島への旅を
楽しむ観光客であふれていた離島ターミナル(民間港)の真横には、
3メートルの壁に仕切られた中に陸揚げされたばかりの150台以上の軍事車両が並んでいた。
3月16日、陸上自衛隊石垣駐屯地が開設した。
正面ゲートには、自動小銃を携行した自衛隊員が警備に立つ。
市街地にある自衛隊宿舎からは迷彩服の自衛官が出勤する。
3月18日、石垣港新港地区の旅客船ターミナルに自衛艦おおすみが接岸した。
ここは通常大型クルーズ船が接岸する場所だ。おおすみからは、ミサイルの弾薬が石垣島に陸揚げされた。
78年間戦争の道具が存在しなかった石垣島に、ミサイル基地が開設した。
「この島には、戦争という言葉がないんだよ」と島の人が話してくれた。
・企画・撮影・編集・監督:湯本雅典
・ナレーター:名川伸子
・挿入曲「とぅばらーま」「よーよーよー」唄:山里節子
その他、湯本雅典さんによる
追加映像を用いた報告を予定。
■日時
2023年7月13日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の湯本雅典さんを迎え、
トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
2023年05月10日
第117回ビデオアクト上映会〜太田信吾監督短編特集〜 報告文
2022年5月9日、大型連休明けの平日火曜日。第117回ビデオアクト上映会〜太田信吾監督短編特集を行った。上映作品は『エディブル・リバー』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』の3本。有料来場者は26名だった。
2020年冬、コロナ禍で舞台や映画の仕事すべてが飛んでしまったという太田監督。ひとまず、故郷である長野県に戻った太田監督は、毎日車で県内をドライブしたそうだ。ウェブサイト幻冬舎plusへ寄稿したり、テレビ番組の制作している中で、今回の短編の取材対象者と出会っていったという。どの作品も20分ほどでコンパクトにまとめられているが、映像作品としての奥行が深く、長編制作も可能なほどの取材の厚さが垣間見える。また、小型アクションカメラやドローン撮影を駆使し、躍動感のある映像表現も心地よいものだった。
『エディブル・リバー』
テーマは、ざざむし。長野県伊那谷では、伝統食の珍味として地域に根付いている。海の幸が食べられない伊那谷では、貴重なたんぱく源として、昆虫食が広がっていたという。50年近く愛着をもってざざむし漁を続けてきた漁師・菅沼重真さん。そして、地域に根付く、ざざむしの文化を未来へ繋いでいこうと「ざざむし」の新商品化に向けて活動する高校生たちを見つめた作品だ。
長野県千曲市出身の太田監督。子どもの頃、いなごなどを捕まえて食してもいたが、ざざむしを食したことはなかったという。取材を通して、ざざむしを食べ「イクラみたいにぷちぷちとし磯の香りが広がる。こんな珍味があるのか」と感動したそうだ。
『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』
自作のキッチンカーにて焼きたての焼き鳥丼を販売したり、ボランティアで炊き出しを振る舞い、自転車発電でライブも行う主人公・かのうさちあ(本名:加納知之)さん。彼は、1988年の北海道・泊原発への抗議行動や反原発運動への挫折を背負って生きている。しかし、前向きな彼は世界初(!)のソーラーキッチンカーを仲間と自作。福島に住んでいる、かつての反原発運動仲間をたずねていく。
ソーラーパネルのキッチンカーは、長距離は走れない。充電したエネルギーが限界に近づくと「亀さんマーク」が運転席のパネルに表示され、止まってしまう。高速道路上では、とても危険だ。ソーラーパネルをお日様に当てたり、高速のサービスエリアで充電しながら進む福島までの道中は、ハラハラした。主人公のかのうさちあさんとは、テレビ番組『フードトラッカ−峯岸みなみ』を制作している中で出会ったという。
『門戸開放 〜Open the Gate〜』
タイで活躍していた日本人俳優、ペロン・ヤスさん。タイ人の妻とも別れたばかり。実家で子供とともに自宅に篭る日々。俳優の仕事も激減し、将来への不安を抱えていた。次第に心は荒み、うつ状態に…。そんな彼に、長年うつで苦しんできた友人が「肛門日光浴」を勧める。「肛門日光浴」とは字面の通り、肛門を直射日光に直接当てる健康法だという。犬や猫も、肛門丸出しで日々を生きているではないか。美しい。なんとも清々しい健康法だ。(しかし、日本では路上で丸出しにすることは法的に許されないのだった…)
彼は「肛門日光浴」のルーツを探すため、インドのヨガの聖地・リシケシを訪ねることを決意。そして、インドでロケまで決行してしまう。ペロン・ヤスさんと太田監督の行動力に驚く。
本作でのフィクションの様な撮影方法は、主人公が俳優だから故だという。普通にカメラをまわすと「過剰に演技」をしてしまったから。ただし物語は、現実に起こった出来事に沿って進行していく。この辺りも、太田監督のセンスの良さを感じさせた。
太田監督の作品をビデオアクト上映会で行うのは、今回が2回目になる。前回は2010年11月、第52回ビデオアクト上映会〜若者の「リアリティ」〜 上映作品は『卒業』だった。
大学の卒業制作作品として作られた『卒業』は、フィクションとドキュメンタリーの境界を行き来する、おとなの観客を煙に巻くような挑発的な作品だった。この上映会の際、先輩で友人のミュージシャン・増田壮太さんを主人公にした新作「錠剤はいらない(仮題)」を撮影中とのことで、素材をまとめた短編映像が上映された。増田さんはうつを患っており、「この先、本作をどうしようか。どうしたら面白くできるかと悩んでいる」といった報告があった。上映会から2か月後、増田さんが自死で亡くなってしまう。「映画を完成させてね」とメッセージを残して。
のちに本作は『わたしたちに許された特別な時間の終わり(以下、『わたゆる』と表記)』として発表された。『わたゆる』は太田監督の劇場デビュー作となり、2014年に公開された。プロデューサーは、ビデオアクト主宰の土屋豊さんだ。『わたゆる』を試写で観た私は、映写が終わっても立ち上がれないほどの衝撃を受けた。私も2012年に大学時代からの友人を亡くし、闇の中を歩いている日々だった。『わたゆる』から大きな力を私はもらった。拙作『アリ地獄天国』は『わたゆる』へのアンサーソングのつもりで制作した。
今回上映した3作の短編に共通して感じるのは、生きる喜びだ。『卒業』『わたゆる』や次作『解放区』では、生きていくことのしんどさを、まるで爆弾のように抱え、観客の心にズンズンと迫ってくるような作品群だった。
コロナ禍の生活を経て、太田監督は次のフェーズへと移行したようだ。明るい光を感じる、生命力に満ちた映像に、私は心から嬉しくなった。現在制作中という『秘境駅清掃人』も楽しみだ。
<追伸>
『エディブル・リバー』で登場するざざむしふりかけ「ザザテイン」。
上映会場で販売されました。私も買い求め、朝ごはんにふりかけて食べました。とてもおいしかったです。次は、ざざむしの佃煮も食べたいです。
<文責:土屋トカチ>
2020年冬、コロナ禍で舞台や映画の仕事すべてが飛んでしまったという太田監督。ひとまず、故郷である長野県に戻った太田監督は、毎日車で県内をドライブしたそうだ。ウェブサイト幻冬舎plusへ寄稿したり、テレビ番組の制作している中で、今回の短編の取材対象者と出会っていったという。どの作品も20分ほどでコンパクトにまとめられているが、映像作品としての奥行が深く、長編制作も可能なほどの取材の厚さが垣間見える。また、小型アクションカメラやドローン撮影を駆使し、躍動感のある映像表現も心地よいものだった。
『エディブル・リバー』
テーマは、ざざむし。長野県伊那谷では、伝統食の珍味として地域に根付いている。海の幸が食べられない伊那谷では、貴重なたんぱく源として、昆虫食が広がっていたという。50年近く愛着をもってざざむし漁を続けてきた漁師・菅沼重真さん。そして、地域に根付く、ざざむしの文化を未来へ繋いでいこうと「ざざむし」の新商品化に向けて活動する高校生たちを見つめた作品だ。
長野県千曲市出身の太田監督。子どもの頃、いなごなどを捕まえて食してもいたが、ざざむしを食したことはなかったという。取材を通して、ざざむしを食べ「イクラみたいにぷちぷちとし磯の香りが広がる。こんな珍味があるのか」と感動したそうだ。
『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』
自作のキッチンカーにて焼きたての焼き鳥丼を販売したり、ボランティアで炊き出しを振る舞い、自転車発電でライブも行う主人公・かのうさちあ(本名:加納知之)さん。彼は、1988年の北海道・泊原発への抗議行動や反原発運動への挫折を背負って生きている。しかし、前向きな彼は世界初(!)のソーラーキッチンカーを仲間と自作。福島に住んでいる、かつての反原発運動仲間をたずねていく。
ソーラーパネルのキッチンカーは、長距離は走れない。充電したエネルギーが限界に近づくと「亀さんマーク」が運転席のパネルに表示され、止まってしまう。高速道路上では、とても危険だ。ソーラーパネルをお日様に当てたり、高速のサービスエリアで充電しながら進む福島までの道中は、ハラハラした。主人公のかのうさちあさんとは、テレビ番組『フードトラッカ−峯岸みなみ』を制作している中で出会ったという。
『門戸開放 〜Open the Gate〜』
タイで活躍していた日本人俳優、ペロン・ヤスさん。タイ人の妻とも別れたばかり。実家で子供とともに自宅に篭る日々。俳優の仕事も激減し、将来への不安を抱えていた。次第に心は荒み、うつ状態に…。そんな彼に、長年うつで苦しんできた友人が「肛門日光浴」を勧める。「肛門日光浴」とは字面の通り、肛門を直射日光に直接当てる健康法だという。犬や猫も、肛門丸出しで日々を生きているではないか。美しい。なんとも清々しい健康法だ。(しかし、日本では路上で丸出しにすることは法的に許されないのだった…)
彼は「肛門日光浴」のルーツを探すため、インドのヨガの聖地・リシケシを訪ねることを決意。そして、インドでロケまで決行してしまう。ペロン・ヤスさんと太田監督の行動力に驚く。
本作でのフィクションの様な撮影方法は、主人公が俳優だから故だという。普通にカメラをまわすと「過剰に演技」をしてしまったから。ただし物語は、現実に起こった出来事に沿って進行していく。この辺りも、太田監督のセンスの良さを感じさせた。
太田監督の作品をビデオアクト上映会で行うのは、今回が2回目になる。前回は2010年11月、第52回ビデオアクト上映会〜若者の「リアリティ」〜 上映作品は『卒業』だった。
大学の卒業制作作品として作られた『卒業』は、フィクションとドキュメンタリーの境界を行き来する、おとなの観客を煙に巻くような挑発的な作品だった。この上映会の際、先輩で友人のミュージシャン・増田壮太さんを主人公にした新作「錠剤はいらない(仮題)」を撮影中とのことで、素材をまとめた短編映像が上映された。増田さんはうつを患っており、「この先、本作をどうしようか。どうしたら面白くできるかと悩んでいる」といった報告があった。上映会から2か月後、増田さんが自死で亡くなってしまう。「映画を完成させてね」とメッセージを残して。
のちに本作は『わたしたちに許された特別な時間の終わり(以下、『わたゆる』と表記)』として発表された。『わたゆる』は太田監督の劇場デビュー作となり、2014年に公開された。プロデューサーは、ビデオアクト主宰の土屋豊さんだ。『わたゆる』を試写で観た私は、映写が終わっても立ち上がれないほどの衝撃を受けた。私も2012年に大学時代からの友人を亡くし、闇の中を歩いている日々だった。『わたゆる』から大きな力を私はもらった。拙作『アリ地獄天国』は『わたゆる』へのアンサーソングのつもりで制作した。
今回上映した3作の短編に共通して感じるのは、生きる喜びだ。『卒業』『わたゆる』や次作『解放区』では、生きていくことのしんどさを、まるで爆弾のように抱え、観客の心にズンズンと迫ってくるような作品群だった。
コロナ禍の生活を経て、太田監督は次のフェーズへと移行したようだ。明るい光を感じる、生命力に満ちた映像に、私は心から嬉しくなった。現在制作中という『秘境駅清掃人』も楽しみだ。
<追伸>
『エディブル・リバー』で登場するざざむしふりかけ「ザザテイン」。
上映会場で販売されました。私も買い求め、朝ごはんにふりかけて食べました。とてもおいしかったです。次は、ざざむしの佃煮も食べたいです。
<文責:土屋トカチ>
2023年05月09日
第117回 VIDEO ACT! 上映会 〜太田信吾監督短編特集〜 上映作品『エディブル・リバー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』
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■ 第117回 VIDEO ACT! 上映会 〜太田信吾監督短編特集〜
上映作品『エディブル・リバー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』
(2022年/各作品20分・計60分/監督:太田信吾)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
===========================================================
■2023年5月9日(火)19時より
映画監督、そして俳優。
日本とフランスを拠点に
フィクションとノンフィクションを自在に行き来しながら
制作活動を続ける太田信吾監督。
2022年に発表されたドキュメンタリー短編映画3本を
特集上映する。
■上映作品『エディブル・リバー』(2022年/20分)
■作品解説
長野県の伊那谷では毎年12月から翌2月にかけて伝統的なざざむし漁が行われている。
だが護岸工事による水質の変化や気候変動、漁師の高齢化などざざむし漁には多くの
壁が立ちはだかっていた。 本作は50年近く愛着をもってざざむし漁を続けてきた漁師
が引退するまでの2年間と、地域に根付いたざざむしの文化を未来へ繋いでいこうと
動く高校生たちの交流・活動の軌跡を追いかけたドキュメンタリー。
<監督> 太田信吾
<出演> 菅沼重真/大槻海伶/中村昭彦/平沢正信/澤口章一/有賀晶子/三橋亮太
菅沼家のみなさま/長野県上伊那農業高等学校のみなさま/長野県 駒ヶ根市・伊那市のみなさま
■上映作品『門戸開放 〜Open the Gate〜』(2022年/20分)
■作品解説
コロナ禍、長年、家族と共に暮らしていたタイから帰国を余儀なくされた俳優、ペロン・ヤス。
長年寄り添ったタイ人の妻とも別れたばかり。実家で子供とともに自宅に篭る日々のなかで、
将来への不安を抱えていた。 俳優の仕事も激減し、気づけば次第に心は荒み鬱状態となっていた。
自由奔放に過ごしていたタイでの暮らしはどこへ…? そんな彼に長年鬱で苦しんできた友人が
「肛門日光浴」というアクションを勧める。彼は肛門日光浴のルーツを探すため、インドのヨガ
の聖地・リシケシを訪ねることを決意する…
世界で話題沸騰の健康アクション<肛門日光浴>のルーツを巡るロードムービー。
<監督>太田信吾
<出演>ペロンヤス/宮内泰和/アイコ/KOHEI/本山大/キャファールさとう
Fakuna Dash/Radhika Guruji/Pradeep Kumar Pandey/リシケシのみなさま/プリーのみなさま
■上映作品『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』(2022年/20分)
■作品解説
現在、北海道には運転を停止しているものの再稼働に向けて審査が続いている原発がある。
北海道電力が保有する泊発電所がそれだ。 1988年、稼働を翌年に控え、泊発電所で試運転を
止めようと原発の敷地に花を植えて抗議活動を行う学生たちの姿があった。
本作の主人公であるかのうさちあ(本名:加納知之)もその一人だ。熱量は虚しく、
学生の数名は逮捕され原発も翌年稼働を開始した…
あれから33年の月日を経た今、運動の失敗を今も胸に抱えながら、
自分なりの仕方で環境への取り組みを
試行錯誤しながら実践する主人公の取り組みを見つめた。
<監督>太田信吾
<出演> かのうさちあ/内田ボブ/徳井和美/岡崎慎一/中江 敏幸/前田 渉
すずき産地/1988年北海道泊原発の運転に抗議した若者のみなさま ほか
■日時
2023年5月9日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の太田信吾さんを迎え、
トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
以上です。
■ 第117回 VIDEO ACT! 上映会 〜太田信吾監督短編特集〜
上映作品『エディブル・リバー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』
(2022年/各作品20分・計60分/監督:太田信吾)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年5月9日(火)19時より
映画監督、そして俳優。
日本とフランスを拠点に
フィクションとノンフィクションを自在に行き来しながら
制作活動を続ける太田信吾監督。
2022年に発表されたドキュメンタリー短編映画3本を
特集上映する。
■上映作品『エディブル・リバー』(2022年/20分)
■作品解説
長野県の伊那谷では毎年12月から翌2月にかけて伝統的なざざむし漁が行われている。
だが護岸工事による水質の変化や気候変動、漁師の高齢化などざざむし漁には多くの
壁が立ちはだかっていた。 本作は50年近く愛着をもってざざむし漁を続けてきた漁師
が引退するまでの2年間と、地域に根付いたざざむしの文化を未来へ繋いでいこうと
動く高校生たちの交流・活動の軌跡を追いかけたドキュメンタリー。
<監督> 太田信吾
<出演> 菅沼重真/大槻海伶/中村昭彦/平沢正信/澤口章一/有賀晶子/三橋亮太
菅沼家のみなさま/長野県上伊那農業高等学校のみなさま/長野県 駒ヶ根市・伊那市のみなさま
■上映作品『門戸開放 〜Open the Gate〜』(2022年/20分)
■作品解説
コロナ禍、長年、家族と共に暮らしていたタイから帰国を余儀なくされた俳優、ペロン・ヤス。
長年寄り添ったタイ人の妻とも別れたばかり。実家で子供とともに自宅に篭る日々のなかで、
将来への不安を抱えていた。 俳優の仕事も激減し、気づけば次第に心は荒み鬱状態となっていた。
自由奔放に過ごしていたタイでの暮らしはどこへ…? そんな彼に長年鬱で苦しんできた友人が
「肛門日光浴」というアクションを勧める。彼は肛門日光浴のルーツを探すため、インドのヨガ
の聖地・リシケシを訪ねることを決意する…
世界で話題沸騰の健康アクション<肛門日光浴>のルーツを巡るロードムービー。
<監督>太田信吾
<出演>ペロンヤス/宮内泰和/アイコ/KOHEI/本山大/キャファールさとう
Fakuna Dash/Radhika Guruji/Pradeep Kumar Pandey/リシケシのみなさま/プリーのみなさま
■上映作品『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』(2022年/20分)
■作品解説
現在、北海道には運転を停止しているものの再稼働に向けて審査が続いている原発がある。
北海道電力が保有する泊発電所がそれだ。 1988年、稼働を翌年に控え、泊発電所で試運転を
止めようと原発の敷地に花を植えて抗議活動を行う学生たちの姿があった。
本作の主人公であるかのうさちあ(本名:加納知之)もその一人だ。熱量は虚しく、
学生の数名は逮捕され原発も翌年稼働を開始した…
あれから33年の月日を経た今、運動の失敗を今も胸に抱えながら、
自分なりの仕方で環境への取り組みを
試行錯誤しながら実践する主人公の取り組みを見つめた。
<監督>太田信吾
<出演> かのうさちあ/内田ボブ/徳井和美/岡崎慎一/中江 敏幸/前田 渉
すずき産地/1988年北海道泊原発の運転に抗議した若者のみなさま ほか
■日時
2023年5月9日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の太田信吾さんを迎え、
トーク&ディスカッション有。
■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分
■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)
■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
以上です。