2023年07月16日

【報告文】第118回ビデオアクト上映会〜琉球弧で進行する新基地建設〜

上映作品
『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』 監督:湯本雅典


 去る7月13日、第118回目のビデオアクト上映会が開催された。上映会のタイトルは「琉球弧で進行する新基地建設」で、上映作品は出来上がったばかりの『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』。監督は、ビデオアクト上映会で何度も作品を上映させて頂いている湯本雅典さんだ。

 上映スタートは19時だったが、18時過ぎあたりから続々と来場者が集まり、最終的には約50名の方々にご参加頂いた。そして、上映前から熱気が凄い。会場では、当日の上映作品をDVDで販売していたのだが、上映前からかなりの勢いで売れていた。「これから観る作品のDVDを観る前に買う」というちょっと不可思議な現象だが、これこそビデオアクトの上映会らしい光景とも言える。みんな作品をただ「鑑賞」しに来たのではなく、現状を知り、みんなで話し合って共有し、各々の日常に持ち帰るためにやって来たのだ。

 上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』は、今年3月の陸上自衛隊石垣駐屯地開設の過程を追ったドキュメンタリーだ。本来は、来年1月完成予定の『この島には戦争という言葉はない(仮題)』の素材の一部だったが、ミサイル基地開設の報道が本土であまりにも少ない現状を見て、急遽、一旦完成させてDVDパッケージ化したという。

 確かに私自身、この事実を大手メディアの報道で知った記憶はない。多くの観光客を乗せた観光バスと、いかつい軍用車両がすれ違う光景など見たことがない。この作品は、そういう緊迫したシーンをしっかりと見せてくれる。そして、島の人々の抗議行動や悲痛な声を丁寧に伝えてくれる。大手メディアやネットニュースを漠然と見ているだけでは知ることができない事実を教えてくれるのだ。

 そして、この日は、その「現実」をより深く掘り下げてくれる映像が追加で上映された。来年1月完成予定の作品の素材となるであろう4名の方のインタビュー映像だ。私が特に印象に残ったのは、21歳の女性Aさんのお話。「沖縄戦体験者である“おばあ”は、戦争の話をしたがらない。自衛隊のニュースが始まったらテレビを消す」、「自分たちの世代は、敵基地攻撃能力云々よりも彼氏の話の方が…」。とてもリアルで素直な言葉。それは、私自身の中にもある正直な気持ちとも言える。「でも、その彼氏の上に爆弾が落ちたとしたら?」、「“おばあ”の恋人が戦争で亡くなっていたとしたら?」…全ては対話から始まるし、始めるしかない。

 …ということで、約40分の上映時間より長い上映後の約80分の対話、ディスカッションは大いに盛り上がった。湯本さんへの質問、作品を観た感想、ご自身の意見などがあとを絶たない。中には「沖縄と本土では意識がかけ離れている。どうすれば、沖縄の現状を“自分事化”できるか?」という根本的な質問もあった。湯本さんの答えは「そのために映画をつくっています」。まさに、その通りだろう。そして、戦前生まれの女性は、「今日知ったことを持ち帰って、自分の足元で広める。DVDを買って上映会をやって、アメーバのように広げる!」と大声で気を吐いた。そのおかげで、ディスカッション終了後に、再びDVDが売れまくった。ちなみに、この作品のDVDは、1,000円で上映権付き。購入すれば、どこで上映会をやっても構わない。皆さん、是非広めて、対話を始めましょう!
(土屋 豊)

※本作をはじめとする湯本雅典監督のDVDは、下記サイトでご購入頂けます。
https://yumo.thebase.in/
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2023年07月13日

第118回 VIDEO ACT! 上映会 〜琉球弧で進行する新基地建設〜 上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』

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■ 第118回 VIDEO ACT! 上映会 〜琉球弧で進行する新基地建設〜
上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』
(2023年/20分/監督:湯本雅典)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年7月13日(木)19時より

■上映作品
『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』(2023年/20分)

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■作品解説
2023年3月、コロナが一時あけたことを受け沖縄県石垣島には
多くの観光客が戻り始めていた。石垣島から他の島への旅を
楽しむ観光客であふれていた離島ターミナル(民間港)の真横には、
3メートルの壁に仕切られた中に陸揚げされたばかりの150台以上の軍事車両が並んでいた。
3月16日、陸上自衛隊石垣駐屯地が開設した。
正面ゲートには、自動小銃を携行した自衛隊員が警備に立つ。
市街地にある自衛隊宿舎からは迷彩服の自衛官が出勤する。
3月18日、石垣港新港地区の旅客船ターミナルに自衛艦おおすみが接岸した。
ここは通常大型クルーズ船が接岸する場所だ。おおすみからは、ミサイルの弾薬が石垣島に陸揚げされた。
78年間戦争の道具が存在しなかった石垣島に、ミサイル基地が開設した。
「この島には、戦争という言葉がないんだよ」と島の人が話してくれた。

・企画・撮影・編集・監督:湯本雅典
・ナレーター:名川伸子
・挿入曲「とぅばらーま」「よーよーよー」唄:山里節子

その他、湯本雅典さんによる
追加映像を用いた報告を予定。



■日時
2023年7月13日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の湯本雅典さんを迎え、
トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2023年05月10日

第117回ビデオアクト上映会〜太田信吾監督短編特集〜 報告文

2022年5月9日、大型連休明けの平日火曜日。第117回ビデオアクト上映会〜太田信吾監督短編特集を行った。上映作品は『エディブル・リバー』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』の3本。有料来場者は26名だった。

2020年冬、コロナ禍で舞台や映画の仕事すべてが飛んでしまったという太田監督。ひとまず、故郷である長野県に戻った太田監督は、毎日車で県内をドライブしたそうだ。ウェブサイト幻冬舎plusへ寄稿したり、テレビ番組の制作している中で、今回の短編の取材対象者と出会っていったという。どの作品も20分ほどでコンパクトにまとめられているが、映像作品としての奥行が深く、長編制作も可能なほどの取材の厚さが垣間見える。また、小型アクションカメラやドローン撮影を駆使し、躍動感のある映像表現も心地よいものだった。

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『エディブル・リバー』
テーマは、ざざむし。長野県伊那谷では、伝統食の珍味として地域に根付いている。海の幸が食べられない伊那谷では、貴重なたんぱく源として、昆虫食が広がっていたという。50年近く愛着をもってざざむし漁を続けてきた漁師・菅沼重真さん。そして、地域に根付く、ざざむしの文化を未来へ繋いでいこうと「ざざむし」の新商品化に向けて活動する高校生たちを見つめた作品だ。

長野県千曲市出身の太田監督。子どもの頃、いなごなどを捕まえて食してもいたが、ざざむしを食したことはなかったという。取材を通して、ざざむしを食べ「イクラみたいにぷちぷちとし磯の香りが広がる。こんな珍味があるのか」と感動したそうだ。

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『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』
自作のキッチンカーにて焼きたての焼き鳥丼を販売したり、ボランティアで炊き出しを振る舞い、自転車発電でライブも行う主人公・かのうさちあ(本名:加納知之)さん。彼は、1988年の北海道・泊原発への抗議行動や反原発運動への挫折を背負って生きている。しかし、前向きな彼は世界初(!)のソーラーキッチンカーを仲間と自作。福島に住んでいる、かつての反原発運動仲間をたずねていく。

ソーラーパネルのキッチンカーは、長距離は走れない。充電したエネルギーが限界に近づくと「亀さんマーク」が運転席のパネルに表示され、止まってしまう。高速道路上では、とても危険だ。ソーラーパネルをお日様に当てたり、高速のサービスエリアで充電しながら進む福島までの道中は、ハラハラした。主人公のかのうさちあさんとは、テレビ番組『フードトラッカ−峯岸みなみ』を制作している中で出会ったという。

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『門戸開放 〜Open the Gate〜』
タイで活躍していた日本人俳優、ペロン・ヤスさん。タイ人の妻とも別れたばかり。実家で子供とともに自宅に篭る日々。俳優の仕事も激減し、将来への不安を抱えていた。次第に心は荒み、うつ状態に…。そんな彼に、長年うつで苦しんできた友人が「肛門日光浴」を勧める。「肛門日光浴」とは字面の通り、肛門を直射日光に直接当てる健康法だという。犬や猫も、肛門丸出しで日々を生きているではないか。美しい。なんとも清々しい健康法だ。(しかし、日本では路上で丸出しにすることは法的に許されないのだった…)
彼は「肛門日光浴」のルーツを探すため、インドのヨガの聖地・リシケシを訪ねることを決意。そして、インドでロケまで決行してしまう。ペロン・ヤスさんと太田監督の行動力に驚く。

本作でのフィクションの様な撮影方法は、主人公が俳優だから故だという。普通にカメラをまわすと「過剰に演技」をしてしまったから。ただし物語は、現実に起こった出来事に沿って進行していく。この辺りも、太田監督のセンスの良さを感じさせた。

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太田監督の作品をビデオアクト上映会で行うのは、今回が2回目になる。前回は2010年11月、第52回ビデオアクト上映会〜若者の「リアリティ」〜 上映作品は『卒業』だった。
大学の卒業制作作品として作られた『卒業』は、フィクションとドキュメンタリーの境界を行き来する、おとなの観客を煙に巻くような挑発的な作品だった。この上映会の際、先輩で友人のミュージシャン・増田壮太さんを主人公にした新作「錠剤はいらない(仮題)」を撮影中とのことで、素材をまとめた短編映像が上映された。増田さんはうつを患っており、「この先、本作をどうしようか。どうしたら面白くできるかと悩んでいる」といった報告があった。上映会から2か月後、増田さんが自死で亡くなってしまう。「映画を完成させてね」とメッセージを残して。

のちに本作は『わたしたちに許された特別な時間の終わり(以下、『わたゆる』と表記)』として発表された。『わたゆる』は太田監督の劇場デビュー作となり、2014年に公開された。プロデューサーは、ビデオアクト主宰の土屋豊さんだ。『わたゆる』を試写で観た私は、映写が終わっても立ち上がれないほどの衝撃を受けた。私も2012年に大学時代からの友人を亡くし、闇の中を歩いている日々だった。『わたゆる』から大きな力を私はもらった。拙作『アリ地獄天国』は『わたゆる』へのアンサーソングのつもりで制作した。

今回上映した3作の短編に共通して感じるのは、生きる喜びだ。『卒業』『わたゆる』や次作『解放区』では、生きていくことのしんどさを、まるで爆弾のように抱え、観客の心にズンズンと迫ってくるような作品群だった。
コロナ禍の生活を経て、太田監督は次のフェーズへと移行したようだ。明るい光を感じる、生命力に満ちた映像に、私は心から嬉しくなった。現在制作中という『秘境駅清掃人』も楽しみだ。

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<追伸>
『エディブル・リバー』で登場するざざむしふりかけ「ザザテイン」。
上映会場で販売されました。私も買い求め、朝ごはんにふりかけて食べました。とてもおいしかったです。次は、ざざむしの佃煮も食べたいです。

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<文責:土屋トカチ>
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2023年05月09日

第117回 VIDEO ACT! 上映会 〜太田信吾監督短編特集〜 上映作品『エディブル・リバー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』

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■ 第117回 VIDEO ACT! 上映会 〜太田信吾監督短編特集〜
上映作品『エディブル・リバー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』
(2022年/各作品20分・計60分/監督:太田信吾)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年5月9日(火)19時より

映画監督、そして俳優。
日本とフランスを拠点に
フィクションとノンフィクションを自在に行き来しながら
制作活動を続ける太田信吾監督。
2022年に発表されたドキュメンタリー短編映画3本を
特集上映する。

■上映作品『エディブル・リバー』(2022年/20分)

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■作品解説
長野県の伊那谷では毎年12月から翌2月にかけて伝統的なざざむし漁が行われている。
だが護岸工事による水質の変化や気候変動、漁師の高齢化などざざむし漁には多くの
壁が立ちはだかっていた。 本作は50年近く愛着をもってざざむし漁を続けてきた漁師
が引退するまでの2年間と、地域に根付いたざざむしの文化を未来へ繋いでいこうと
動く高校生たちの交流・活動の軌跡を追いかけたドキュメンタリー。

<監督> 太田信吾
<出演> 菅沼重真/大槻海伶/中村昭彦/平沢正信/澤口章一/有賀晶子/三橋亮太
菅沼家のみなさま/長野県上伊那農業高等学校のみなさま/長野県 駒ヶ根市・伊那市のみなさま

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■上映作品『門戸開放 〜Open the Gate〜』(2022年/20分)

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■作品解説
コロナ禍、長年、家族と共に暮らしていたタイから帰国を余儀なくされた俳優、ペロン・ヤス。
長年寄り添ったタイ人の妻とも別れたばかり。実家で子供とともに自宅に篭る日々のなかで、
将来への不安を抱えていた。 俳優の仕事も激減し、気づけば次第に心は荒み鬱状態となっていた。
自由奔放に過ごしていたタイでの暮らしはどこへ…? そんな彼に長年鬱で苦しんできた友人が
「肛門日光浴」というアクションを勧める。彼は肛門日光浴のルーツを探すため、インドのヨガ
の聖地・リシケシを訪ねることを決意する…
世界で話題沸騰の健康アクション<肛門日光浴>のルーツを巡るロードムービー。

<監督>太田信吾
<出演>ペロンヤス/宮内泰和/アイコ/KOHEI/本山大/キャファールさとう
Fakuna Dash/Radhika Guruji/Pradeep Kumar Pandey/リシケシのみなさま/プリーのみなさま

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■上映作品『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』(2022年/20分)

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■作品解説
現在、北海道には運転を停止しているものの再稼働に向けて審査が続いている原発がある。
北海道電力が保有する泊発電所がそれだ。 1988年、稼働を翌年に控え、泊発電所で試運転を
止めようと原発の敷地に花を植えて抗議活動を行う学生たちの姿があった。
本作の主人公であるかのうさちあ(本名:加納知之)もその一人だ。熱量は虚しく、
学生の数名は逮捕され原発も翌年稼働を開始した…
あれから33年の月日を経た今、運動の失敗を今も胸に抱えながら、
自分なりの仕方で環境への取り組みを
試行錯誤しながら実践する主人公の取り組みを見つめた。

<監督>太田信吾
<出演> かのうさちあ/内田ボブ/徳井和美/岡崎慎一/中江 敏幸/前田 渉
すずき産地/1988年北海道泊原発の運転に抗議した若者のみなさま ほか

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■日時
2023年5月9日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の太田信吾さんを迎え、
トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

以上です。
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2023年03月17日

第116回 VIDEO ACT! 上映会 〜震災後を見つめる映像作家たち〜 報告文

上映作品
『10年後のまなざし』(監督:村上浩康/山田徹/我妻和樹/海子揮一)


3月16日に『10年後のまなざし』を上映しました。本作は、宮城県周辺で活動する映像作家と市民が交流しながらネットワークを広めていくプロジェクト「みやぎシネマクラドル」が製作しました。2021年に東日本大震災から10年が経ったということで、4人の監督(村上浩康、山田徹、我妻和樹、海子揮一)が、各々20分の短編を作り、その4本を繋げたオムニバス映画です。
オムニバス映画が面白いのは、各々の監督の個性が違うので、その個性が如実に作品に表れてくることです。『10年後のまなざし』もそんな作品でした。
『冬歩き』(監督:村上浩康)は、村上監督が岩手県大槌町で暮らす、義理の父を撮った作品です。タイトル通り、冬の道を歩きながら父が震災の時、大槌町がどうだったか、この10年がどうだったかをぽつぽつと語っていく。その足取りとこの10年の歩みが重なっていく。監督と父の親密なコミュニケーション。ラスト、防潮堤から拝む初日の出に、複雑なものを感じました。
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『あいまいな喪失』(監督:山田徹)は、短い中に大胆な構成が見事な作品でした。冒頭、放射能の汚染残土を入れたシリコンパックの前で、自宅に入れない武政さんがいる。ここは福島県浪江町だ。避難生活では、母が認知症となり、家族間の軋轢が生まれていた。その微妙な関係をカメラは見つめていきます。そして、映像は再び浪江町の自宅前を映し出す。とても痛切なラストショットでした。
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『微力は無力ではない〜ある災害ボランティアの記録〜』(監督:我妻和樹)
東日本大震災では、全国から大勢のボランティアが被災地に入りましたが、奈良県から宮城県南三陸町に通う木下さんもそうした方の一人。ボランティアに何ができるのかという葛藤を抱えながら、木下さんは「自分が住む街に帰ってから、この被災地のことを語り続けることが大切」と語ります。そして、本作のタイトル「微力は無力ではない」は、木下さんの言葉でした。2014年に急逝した木下さんを、2018年、南三陸町の海に散骨するシーンに、胸が詰まります。
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『海と石灰〜仮設カフェをつくる〜』(監督:海子揮一)
震災から1年後、宮城県女川町で仮設カフェを作る人たちの話。特に面白いのが、「灯台しっくい」と呼ばれる塗料を使って、壁を塗る塗装職人。彼のお父さんも「灯台しっくい」を使う塗装職人でした。監督の海子さんは、本職は建築家だそうで、「人が作ることを信じている」と、上映後、語られていました。被災地の人たちが「震災時間」と語るような、復旧・復興という掛け声で押し流されていく時間の中で、ふと立ち止まる時間が必要だった、という言葉が印象的でした。
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上映後のトークでは、村上監督は、被災地でのマスコミ取材のことを話していました。山田監督は、2018年頃、原発災害の避難区域で、人々が帰還すると同時に、壊される家も出てきた時に、この作品の渡辺家の方に出会った、と言っていました。我妻監督は、「被災者だから」と一括りにせず、背景が違う人たちが出会うことが大切、と語っていました。
トークで面白かったのは、4作品をどういう順番で繋げたのか、という話。村上監督は、撮影前から、自分がトップバッターに、と言っていたそう。なぜなら、父に震災が起きた「過去」を語ってもらうからだ、と。また、海子監督は、人の創造性の話だから、一番最後がいい、と言っていた、と。撮影した時期で並べるのではなく、内容で並んだ4本だったようです。
(本田孝義)
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「みやぎシネマクラドル」facebookのページ
https://www.facebook.com/miyagi.cinemacradle/?locale=ja_JP
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2023年03月16日

第116回 VIDEO ACT! 上映会 〜震災後を見つめる映像作家たち〜 上映作品『10年後のまなざし』

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■ 第116回 VIDEO ACT! 上映会 〜震災後を見つめる映像作家たち〜
上映作品『10年後のまなざし』(2021年/80分/監督:村上浩康/山田徹/我妻和樹/海子揮一)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年3月16日(木)18時30分より

宮城県周辺で活動する映像作家と市民が交流しながら
ネットワークを広めていくプロジェクト「みやぎシネマクラドル」は、
2015年に結成されました。
映像作品を観ながら議論する「映像サロン」や、
制作中の作品を観て意見を交わす「意見交換会」などを開催しています。

「みやぎシネマクラドル」に参加する4名の映像作家が
「震災10年という時間について考える機会を作りたい」と、約20分の短編を各々で制作。
この4作品を集めたオムニバス映画『10年後のまなざし』(2021年)を上映します。

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■上映作品
『10年後のまなざし』(2021年/80分/監督:村上浩康/山田徹/我妻和樹/海子揮一)

■作品解説
『冬歩き』(20分) 監督:村上浩康
岩手県大槌町の災害公営住宅に独り暮らす佐々木信巳さん(79歳)。
彼は本作の監督・村上浩康の義理の父である。2020年の大晦日、信巳さんの
日課である朝の散歩に同行し、被災から現在までの道のりを聞く。
同時に変わりゆく町の様相を捉え、震災がもたらした様々な事象をデータとして提示し、
大槌町の10年間を振り返る。個人の記憶と町の記録が冬の散歩の中に交錯する。

『あいまいな喪失』(20分) 監督:山田徹
家族で印刷業を営んできた武政は、原発事故で帰れなくなった浪江町の自宅と
避難生活で次第に老いていく認知症の母テツに深い喪失感を抱いていた。
いっぽう武政一家に嫁いだ茂子は、原発事故やテツの老いと正面から
向き合うことで自分の新しい人生を模索していた。現実を受け入れながら前に
進もうとする茂子と、震災前の時間に引き戻される武政。
家の解体とテツの介護を通じて、二人の家族像や原発事故の向き合い方の違いが顕になっていく。

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『微力は無力ではない〜ある災害ボランティアの記録〜』(20分) 監督:我妻和樹
2014年11月、ある災害ボランティアの男性が亡くなった。
東日本大震災時、居ても立っても居られない思いから南三陸町に入り、
人生の最後の3年半を東北の復興のお手伝いに捧げた彼は、
死後ゆかりの人びとの手によって南三陸の海に散骨された。
本作では、「微力は無力ではない」と自問自答しながら活動していた
彼の2012年時の映像、2018年の散骨時の映像、そして現在の南三陸町の風景を
つなぎ合わせることで、どのような人と人の交わりが町の復興を支えてきたのかを
改めて振り返り、被災地のために心を尽くしたたくさんの人の思いについて考えてみたい。

『海と石灰〜仮設カフェをつくる〜』(20分) 監督:海子揮一
震災から1年を迎えようとする2012年2月の女川。
人びとが集うための仮設カフェを改装する現場で、
海水を使った特別な塗料「灯台しっくい」を
みんなで壁に塗るワークショップが開かれた。
震災前の女川でもカフェの内装に施した塗装職人がその復元に駆けつけた。
彼とコーディネーター役の美術家を中心に生きる術としてのモノづくりを語り合い、
未来を拓くための場作りに参加した「生き残った人びと」との交流と声の記録である。
いまは仮設カフェはすでにない。しかし人は創造という手触りを頼りに未来を拓いてきた。
ゆえにこの映像は過ぎ去った記憶としてだけでなく、またいつかくる未来の光景かもしれない。

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■日時
2023年3月16日(木)
18時15分/開場 18時30分/開始
上映後、監督の村上浩康さん、我妻和樹さん
(山田徹さん、海子揮一さんはオンライン参加)を迎え、
トーク&ディスカッション。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要/先着80名迄)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2023年01月13日

第115回 VIDEO ACT!上映会 〜旧統一教会と家族〜 報告文

上映作品
『belief』 監督:土居哲真


ビデオアクトの上映会では、さまざまなテーマの映像作品を上映してきた。
今回の上映作品『belief』のテーマは、「旧統一教会と家族」。「belief」という言葉は「信念」「信仰」「信条」を示す言葉だ。

今回、あらためて「旧統一教会と家族」というテーマの作品の上映会の報告文を書かせていただくにあたって、まずは、この文章を書いている私が、どんな人間かという事を書かせていただこうと思う。

私は、高校生の時に安部公房や大江健三郎の本を読んでた事もあって「実存主義」に感化されていて、「宗教」に関する関心は、ほとんどゼロで、むしろ「宗教は敵だ」と思っているぐらいの「無宗教主義」を貫いて生きてきたし、「宗教を信じてる人はバカだ」と言ってしまうぐらいに、宗教を否定して生きてきた。

あらためて、今回上映した、土居哲真監督の『belief』を観させてせていただいて、「統一教会」のような、いわゆるカルト宗教」に、はめられてしまう人たちの事が、理解できるようになった。

人は、誰でも、
「自分の(または家族の)この部分を、なんとか改善したい。」
「自分は、もっと、こう生きたい。」
という葛藤を抱えながら生きている。

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「旧統一教会」のような「カルト宗教」は、ほとんどの人が思っていると思われる、上記のような、ピュアで前向きな気持ちを利用して、宗教にはまらせようとして、はまってしまった人に、さらに他の人をはめるように、仕掛けていく。

今回上映した『belief』をつくった土居哲真監督は、実は、鬱(うつ)病を患っていた。
そして彼は「もしかしたら自分が鬱病になってしまったのを、母が『なんとかしたい』と思って、カルト宗教に、はまってしまったのではないかと思い始める。
カルト宗教は、ターゲットにした相手の「不安」や「心の病」に踏み込み、『助けてあげましょう』というような言葉で、ワナにはめる。

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勧誘の仕方は巧妙にできている。最初はソフトタッチで「友人」になり、「訪問販売で高い物を買わされてしまった」などの弱みや悩みを、うまく聴きだし、人間関係をつくっておく。
そして、ある程度の人間関係ができたら、「ビデオセンター」で動画を見せて、感想を書かせる。
ターゲットとされた人は、相手が「宗教に勧誘しようとしている」とは知らされずに、「悩みを聴いてくれた」「親切にしてくれた」という恩があるので、つい「この人の話を聴かないと悪い」と思うようになる。

そうして、少しずつ「洗脳」して、抜け出す事ができないようにされ、巨額の献金をせざる負えなくなる、という仕組みが見事(?)に、つくられている。

この映画の監督の土居哲真さんは、母がカルト宗教・旧統一教会のワナにはまりきる前に、洗脳されつつある母にビデオカメラを向け、「ビデオセンターには、行かないでほしい」と訴えた。
幸いな事に、「ビデオセンター通い」は、まだ8ヶ月だったので「洗脳されきった」状態ではなく、息子である哲真さんからの「ビデオセンターに行かないでほしい」という願いを聞き入れる事ができた。
もし、洗脳されきった状態だったら、財産をほとんど奪われ、たいへんな事になっていただろう。
そんな被害者を、少しでも減らすためにも、今回の上映作品『belief』は、より多くの人にご覧いただきたいと思う。

小林充志

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『belief』はビデオアクトのウェブサイトで好評販売中です。こちら 
2023年1月14日(土)から20日(金)まで横浜シネマリンでも1週間限定で公開されます。こちら
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2023年01月12日

第115回 VIDEO ACT! 上映会 〜旧統一教会と家族〜 上映作品『belief』

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■ 第115回 VIDEO ACT! 上映会 〜旧統一教会と家族〜
上映作品『belief』(監督:土居哲真)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年1月12日(木)19時より

ある朝、母が宗教に入っていることを知る。
ぼくはただ、対話をするしかなかった。

母が宗教に通っていることを知って
ぼくはカメラを回し始めた。
様々な人と対話をする。
母の気持ちを理解するために。
次第にぼくは当事者としてこの一件に巻き込まれていく。
そしてぼくは、見つめることだけをする。

安倍元首相銃撃事件を機に
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に改めて注目が集まる中、
入信した母との対話からはじまるドキュメンタリー映画『belief』を
14年ぶりに再上映する。

■上映作品
『belief』(2007年/62分)
出演:土居幸子、土居健一、土居りえ子、土居恭史郎、土居明日架、
   浅見定雄(聖書学者)、山口広(弁護士)、
   パスカル・ズィウ゛ィ(カウンセラー)、西田公昭(心理学者)
監督:土居哲真
製作:麻田弦 伊東美穂
音楽:福島諭
整音:横山純
意匠:桝尾あき
題字:並河久美子
配給:「belief」製作委員会

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■作品解説
ある朝、母がカルト視される宗教に入ったことを知った息子。
その現実に直面して、彼は母にカメラを向けた。
次の日、印鑑などの購入の他に、多額の献金をしていることが判明する。
どうしてこんなことになってしまったのか?
母は特別信仰心に篤い人ではない。
3年前に父が亡くなったことが原因かもしれない。
あるいは、仕事を辞めて毎日一人で家にいるのが悪かったのかもしれない。
繰り返される様々な対話。淡々と続いていく母の日常。
やがて疑問の矛先は彼自身に向けられる。
彼はうつ病を患っていた。苦しむ息子を思いやる母。
母はもしかしたら自分のためにカルトに入ったのではないか?
彼は事実を知ろうと思う。
カルトとは何か?そして、家族とは何か?

この映画は、監督自ら全編撮影し、
母親をはじめとする家族、宗教信者、宗教識者、心理学者、弁護士らとの
対話によって制作されました。
しかし本作を「カルト問題についてのドキュメンタリー」とだけ見ることは
適切ではありません。
これは、監督自身の母親への愛の告白であり、
同時に母親の息子への愛の告白であり、
そして家族というものがいかに成り立っているかということの記録でもあります。
自分の母親と話がしたくなる、そんな映画です。

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■日時
2023年1月12日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の土居哲真さんを迎え、トーク&ディスカッション。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■予告篇


■参加費
500円(介助者は無料/予約不要/先着80名迄)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2022年11月23日

【報告文】第114回 VIDEO ACT! 上映会〜東京五輪と野宿生活者の強制排除〜

上映作品
『竪川に生きる』 監督:山本容子


 10年前の2012年、江東区の竪川河川敷公園で生活する野宿者たちを強制排除する行政代執行が企てられたことをご存知だろうか? 野宿生活者たちはフェンスで囲まれた公園の10メートル程外側、行政代執行対象区域とは認められない場所で、新たな生活を始めた。今回上映した『竪川に生きる』は、その生活を活き活きと、そして丹念に描き出す。

 現在パリ在住の山本容子監督は、当時、公園の近所に住んでいたという。そして、山谷の日雇い労働者を描いた映画『山谷─やられたらやりかえせ』を観たことをきっかけにして、竪川と出会う。日本での生きづらさを感じていた山本監督は、竪川に魅かれる。その目に映ったのは、「自分たちの手で、自分たちの生きる場所をつくる姿」だった。

 『竪川に生きる』を観る私もまた、山本監督のカメラを通して、そこで生きる人たちの姿に心を動かされた。そこには、「人が人を思いやる」というシンプルで力強い人間らしさがあったからだ。アルミ缶収集で出会った近隣住民とのやりとり、区役所の職員を説き伏せる老練な言葉遣い、回収箱を設置して集まった毛布を仲間に配って共に助け合う姿、通勤客が行き交う道の雪をかき、近所の商店の人から差し入れられる温かい食べ物、テント村に共同で設置した郵便ポストに届く年賀状…まるで、映画『男はつらいよ』の寅さんとその周りの人たちが、そこにいるようだった。

 上映後、山本監督がいるパリと約35名が集まった上映会場の飯田橋をリモートで繋いだ。そして、ご参加頂いた映画の主人公の郡司さんとまっちゃんが、モニターを通じて山本監督と再会した。感動的だった。寅さん、ではなく、郡司さんが言う。「俺、涙出ちゃったよ! こうやって記録に残すことは大事。あったことは、あったこと。みんなに観てもらっただけで嬉しい」。

 観た私たちには、何ができる? 野宿生活者の強制排除は、竪川だけでなく、これまで何度もあちこちで行われてきた。上映後のディスカッションでは、現在、まさに排除が行われようとしている渋谷区美竹公園の現状を支援者に報告して頂いた。美竹公園には、2017年に封鎖された宮下公園から移り住んだ方もおられるという。

 再開発の加速によって、「人が人を思いやる」人間らしさが失われ、生きづらい社会が広がっていく。しかし、その暴挙をはね返すのもまた、「人が人を思いやる」人間の底力なのだ。
(土屋 豊)

※渋谷区美竹公園の現状については、下記「ねる会議」のHPをご覧下さい。
http://minnanokouenn.blogspot.com/

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2022年11月17日

第114回 VIDEO ACT! 上映会 〜東京五輪と野宿生活者の強制排除〜 上映作品『竪川に生きる』

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■ 第114回 VIDEO ACT! 上映会 〜東京五輪と野宿生活者の強制排除〜
上映作品『竪川に生きる』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2022年11月17日(木) 18時30分より

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時は2012年10月。
2020年夏季開催予定のオリンピック、東京招致が決定する1年前。
東京都江東区竪川河川敷公園では、野宿生活者への強制排除が行われた。
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件が次々と明るみになる中、
野宿生活者の視点から、東京の街を見つめてみませんか。

■上映作品
『竪川に生きる』(2021年/100分)
監督・編集・撮影:山本容子

■作品解説
2020年夏季オリンピックの東京招致が決定する1年前の 2012 年10月、
東京都江東区竪川河川敷公園では、 区役所による野宿生活者への強制排除が行われていた。
都内のある映画館で東京・山谷を舞台にした日雇い労働者の
ドキュメンタリー作品を見に行った私(山本容子監督)は、
竪川河川敷公園で生活する男性と出会った。
「生活保護はとらないのですか」と質問すると、
男性は「アルミ缶収集で生活をしています。
よかったら私が住んで いる場所を見に来てください」と言った。
翌日、私は公園を訪れた。
そして2012年12月5日、江東区が公園での行政代執行を試みた日から、
私は彼らの生活を記録に残すために映像を撮り始めた。

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■日時
2022年11月17日(木)
18時15分/開場 18時30分/開始
<ご注意>通常より、上映開始時間が早まります!
上映後、監督の山本容子さんをオンラインで迎え、トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要/先着80名迄)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2022年09月21日

報告文 第113回 VIDEO ACT! 上映会 〜自給自足で半農半介護〜  上映作品『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』

9月20日、『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』を上映しました。
参加者は約20名でした。上映会タイトルは「自給自足で半農半介護」。
監督の下之坊修子さんに「上映作品のキャッチコピーを考えてください」とお願いし、
挙げていただいたコピーを、そのまま上映会タイトルに使用させていただきました。
タイトルだけでは難解な本作を、的確に伝えている言葉だと思います。

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「ひろんた村」の「ひろんた」とは「広ノ谷」のこと。
長崎県五島列島北部の中通島(新上五島町)のほぼ中央に位置する、内陸の集落です。
戦後の開拓村で、最盛期には20を超える家族が暮らしておられたそうです。
その「ひろんた」を再生させようと、NPO法人「村づくり会議」を2016年11月に設立。
その中心となる「有料老人ホーム ひろんた村 母屋」が、2018年初冬に開設されます。
映画の舞台は、この「有料老人ホーム ひろんた村 母屋」なのです。

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食事は自給自足。
米、小麦、大豆、野菜を農薬や化学肥料を使わずに育て、
しょうゆ、みそも手作り。豚や鶏も飼育されています。
漁師さんから、魚のお裾分けがあるようで、これらはホームでの食事として提供されています。
パーキンソン病を患っておられた入所者さんも、ここの食事と暮らしでどんどん元気なられているとか。
2019年制作のDVDですが、入所者さん全員が今もお元気だと伺い、うれしくなりました。
いい環境と、おいしい食べ物。長生きのために重要ですね。

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映画では、入所者さんが一緒にみそづくりに参加する様も紹介されます。
入所者の女性は、スタッフにあてがわれた計量カップを手に、蒸した大豆へこうじ菌をまかれます。
すると「昔は手でやってた」と、こうじ菌を素手でバッサバッサとまきはじめるのです。
感覚は手が覚えているのですね。とても印象に残るシーンでした。

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理事長一家の歌野敬さんと歌野啓子さんは、関西在住の会社員時代に農薬問題から家庭菜園をスタート。
和歌山県で自給自足していくための技術を習得し、1986年に「ひろんた」へ移住されます。
その後、高齢で単身になられたご親戚を引き取ることになります。
高齢である自分たちのことや、自給自足の技術継承と地域の未来について考る中、
有料老人ホームの設立を思いつかれたそうです。
結局、ご親戚は入所前に亡くなられますが、遺産は施設建設費用に充てられたそうです。

ビデオアクト上映会では恒例の、上映後のトーク&ディスカッション。
監督の下之坊修子さんは大阪府河内長野市在住。
滝畑という約80世帯・無医村にお住まいということもあり、
ZOOMを使いオンラインでトークしていただきました。

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お母さまを看取った後「次は自分の番だ」と思い、7年前に故郷への移住を決めたという下之坊さん。
生まれ育った土地はダムに沈んでしまったとのことで、近隣の古民家に住まわれています。
移住して介護やグループホームについての勉強会をしている中、
知人に「ひろんた村」のことを紹介されたことが、撮影のきっかけになったとのこと。

下之坊さんは、ご自宅の古民家を使った上映会や映像制作のほか、裏の畑で農作業もされているとか。
「季節の野菜を食べているだけで元気になる。お金に振りまわされない生活ができている」
と語る下之坊さんは、終始キラキラされていました。
現在、この滝畑での生活をまとめた映画も制作中とのことです。
新作の完成が楽しみです。 (文責:土屋トカチ)

●上映作品『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』
ビデオアクトのウェブページでDVDが発売中です。こちら

●ひろんた村母屋のウェブページはこちら
ハムやベーコンなどの加工品が購入可能とのこと。おいしそうです。




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2022年09月20日

第113回 VIDEO ACT! 上映会 〜自給自足で半農半介護〜 上映作品『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』

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■ 第113回 VIDEO ACT! 上映会 〜自給自足で半農半介護〜
上映作品『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2022年9月20日(火)19時より

肉も野菜も味噌も醤油も、必要なものは自分たちで作って暮らす。
長崎県新上五島町にある有料老人ホーム「ひろんた村」では、
自給自足生活を目指している。
自分の思い通りに、最後まで暮らしてゆく場所が、ここにある。

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■上映作品
『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』(2019年/40分)
監督・編集:下之坊修子
撮影:岡田和真/下之坊修子
制作:映像発信てれれ

■作品解説
歌野さん夫妻は長崎県五島列島に移住して30年。
消費文化、使い捨て文化の違和感から、自給自足の生活を決意。
2018年、半農半介護をめざして老人ホームを開設した。
肉も野菜も米も豆も、味噌も醤油も、必要なものは、できるだけ自分たちでつくる。
スタッフはシングルマザーや引きこもっていた人や障害を持っている人など様々。
自給の技術を若いスタッフに伝えていきながら、自然とともにある暮らし。
「最後までその人らしく」に寄り添う介護。
自分の思い通りに最後まで暮らす、人間の死んで行く姿をちゃんと見せていく。そんな場を目指す。

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■予告編
『ちょっと変わった老人ホーム ひろんた村母屋』


■日時
2022年9月20日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の下之坊修子さんをオンラインで迎え、トーク&ディスカッション。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の9月19日(月)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2022年07月06日

報告文 第112回 VIDEO ACT! 上映会 〜AIが上司?フードデリバリーの現状〜

 去る7月5日、上記表題で『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』(2022年/35分、監督:土屋トカチ)の上映を行いました。会場は定員満席となり、関心の高さがうかがえました。
 “プラットフォームビジネス”とは、あまり馴染みがないかもしれませんが、ITを介して行われるビジネスです。本作では、フードデリバリー、特にウーバーイーツが取り上げられています。
 この間の新型コロナ禍で、街中でウーバーイーツの配達員を見かけることが急増しました。しかし、彼らがどのような働き方をしているのかは、ほとんど取り上げられません。配達員は個人事業主とされ、ウーバーイーツから直接雇用される形にはなっていません。そのため、バッグを自腹で買い、自転車やオートバイは自分で用意しなくてはいけません。すきま時間で働ける、自由な働き方と言われる反面、労働者としての権利は保障されていません。
 そうしたことを知るために、監督の土屋トカチさんは自らウーバーイーツに登録して、横浜でデリバリーを始めます。実際の労働時間と対価を数字で示してリアルです。
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 配達を頼む人と店の人、そして配達員を結ぶのはPCやスマホのアプリ。このアプリはAIで運営されています。そのため、配達員の上司はAIなのです。ウーバーイーツはこのアプリを提供しているだけ、という立場です。ですから、突然報酬が改定されても、理由などを配達員が知ることが出来ないブラックボックスになっています。また、配達中の事故についても配達員の自己責任。ウーバーイーツは雇用主ではないという言い訳で、労災の保障もありません。本作では、実際に事故を経験した方も証言しています。
 こうした労働環境を改善するため、2019年にウーバーイーツ・ユニオンが結成されました。しかしながら、ウーバーイーツは団体交渉を拒否し続けています。
 配達員を人間として扱わないウーバーイーツに対して、世界中でユニオンが結成され大規模なデモも起きています。韓国ではユニオンとの協約を結ぶ成果もありました。しかしながら、現状、日本政府は何もしていません。
 上映後の質疑応答も活発でした。ウーバーイーツの仕組みが分かりにくいため、具体的な質問もありました。また、飲食店経営者の方からの質問もありました。加えて、会場にはユニオンの組合員の方も来ていただいていたので、具体的なユニオンの活動や今後の目標などもお話いただきました。
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 本作は教材として見てもらえるように、35分という短さです。監督の土屋トカチさんは、ウーバーイーツだけではなく、今後、様々な職種でこうした働き方、労働者が労働者として扱われないことが増えていくことを危惧しています。ですから、本作を授業や集会、勉強会などで活用してほしいと思いました。
(本田孝義)

※上映作品『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』はアジア太平洋資料センターのウェブページでDVDとオンライン配信でご覧いただけます。
http://www.parc-jp.org/video/sakuhin/platform.html

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2022年07月05日

第112回 VIDEO ACT! 上映会 〜AIが上司?フードデリバリーの現状〜 上映作品『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』

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■ 第112回 VIDEO ACT! 上映会 〜AIが上司?フードデリバリーの現状〜
上映作品『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2022年7月5日(火)19時より

GAFAはじめグローバル企業が提供する「プラットフォームビジネス」は、
コロナ禍でますます成長し、私たちの消費スタイルや働き方も変わりました。
「ウーバーイーツ」に代表されるフードデリバリー・サービスでは、
配達員はスマホひとつで「好きな時間に、自由に働ける」とされています。
しかし、そこでの働き方は本当に自由で公正なのでしょうか?

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■上映作品
『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』(2022年/35分)
監修:川上資人
監督:土屋トカチ
企画・プロデュース:内田聖子
出演:水谷章(仮名)/土屋俊明/富岡金悟/川上資人/Diogenes Carrasco/土屋トカチ
ナレーター:鶴見ゆき
イラスト:ますだたいじ
撮影・編集・選曲:土屋トカチ
撮影:常田高志/山口勝則
整音:常田高志
主題歌:「心百景」BLUE STRAGHT (MUNAJIRO RECORDS)
英語翻訳:Unfiltered(松元ちえ・Kimberly Hughes)
記事提供:中日新聞社
取材協力:ウーバーイーツユニオン/国際運輸労連(ITF)/交通の安全と労働を考える市民会議/韓国・ライダーズユニオン/パルシック
助成:オープン・ソサエティ財団(OSF)
制作:アジア太平洋資料センター(PARC)

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■作品解説
インターネットでの買い物や決済、SNSでのコミュニケーションが当たり前となった私たちの暮らし。
新型コロナウイルスの感染拡大は、テレワークや遠隔授業の必要性を高め、IT技術の利用を一層加速させました。

そんな中、ウーバーイーツに代表されるフードデリバリー・サービスも拡大しています。
「プラットフォーム企業」が運営するこの新たなビジネスでは、アプリ一つで飲食店と顧客、
配達員をマッチングさせ、「誰でも、好きな時間に、自由に働ける」とされています。
日本での配達員は約10万人と言われますが、配達員はウーバーと「アプリ使用」契約を交わすだけで、
「個人事業主」として配達を請け負います。そのため、事故に遭っても会社負担の労災保険はなく、
また配達依頼や報酬の基準、さらには飲食店や顧客からの「評価」の内容などを配達員は十分に知ることも、
会社と協議することもできません。

欧州を中心とする海外ではこれら配達員の「労働者性」が裁判でも認められ、
事故の際の社会保障や労働組合と企業の団体交渉などが認められるようになってきました。

日本でも、配達員たちがウーバーイーツユニオンを結成し、会社側へ報酬や評価に関する情報の透明性や、
団体交渉を求める動きが始まっています。作品では、ウーバーイーツの配達員やユニオンの取材を通して、
「自由な働き方」がはらむ問題点を提起します。

■予告編
『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』


■日時
2022年7月5日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の土屋トカチさんを交えたトーク&ディスカッションを予定。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の7月4日(月)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2022年05月17日

【報告文】第111回ビデオアクト上映会 〜施設コンフリクトは、なぜ起こる?〜

上映作品
『不安の正体〜精神障害者グループホームと地域』監督:飯田基晴

ビデオアクトの111回目の上映会は、5月10日、企画:池原毅和、企画協力:三橋良子、
監督・撮影・編集・ナレーション:飯田基晴の『不安の正体〜精神障害者グループホームと地域』を上映した。

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2016年に施行された「障害者差別解消法 付帯決議」では、「グループホームやケアホーム等を含む障害者関連施設の許可等に際して、
「周辺住民の同意を求めない事を徹底する。」
「住民の理解を得るための同意を求めないことを徹底する。」
と明記された。

障碍を持っている人達を差別しないための決議だと思うが、こうした決議がされても、残念ながら一般の人達の偏見や差別意識が完全に無くなったかというと、まだまだのようだ。

この作品では、障碍を持つ人達が入居する施設の建設に対して、地域住民が掲げる「運営反対」「住民の安全を守れ」などと書かれた、のぼり旗が登場する。
「障害者差別解消法 付帯決議」の精神とは、まったく反対の事が地域住民によって行なわれているのだ。

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なぜ、そんな事になってしまっているのか?
この作品のタイトル『不安の正体』が示すように、地域住民が反対しているのは、障碍をもった人達の施設ができると「なにをしでかすか、わからない」というという漠然とした不安があるのだろう。

実際には、精神障碍を持っていて犯罪を犯し検挙された人達の割合は、100人に1人よりも少ない割合だそうだ。
精神障碍を持っていない一般の人達のほうが、犯罪率は高い。

この作品では、障碍を持っているために施設で暮らしている人達が、ともに助け合ったりしながら、仲間と支え合って平穏に過ごしている様子が、丹念に描かれている。
けっして、暴れたり犯罪を犯したりする人達とは思えない、仲間思いの、やさしい人達だ。

この作品を多くの人に観ていただいて、障碍を持っている人達に対する偏見が少しでも減らす事ができればと思う。

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2022年05月10日

第111回 VIDEO ACT! 上映会 〜施設コンフリクトは、なぜ起こる?〜

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■ 第111回 VIDEO ACT! 上映会 〜施設コンフリクトは、なぜ起こる?〜
上映作品『不安の正体 〜精神障害者グループホームと地域〜』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2022年5月10日(火)19時より

予約者上限に達しましたので、予約を締め切りました。(4/23付)

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ホントに怖いのは何だろう?

近年、精神障害のある人たちのグループホームが各地にできている。
それに伴い、地域住民によるグループホーム開設反対の運動も生じている。
事業者が説明会を開催しても反対の声は収まらず、対立が深まるばかり。
「施設コンフリクト」と呼ばれる、このような反対運動はなぜ起きるのか?
その実像を見つめる。

■上映作品
『不安の正体 〜精神障害者グループホームと地域〜』(2021年/65分)
企画:池原毅和
企画協力:三橋良子
監督・撮影・編集・ナレーション:飯田基晴
協賛:社会福祉法人SKYかわさき/セレリアンス株式会社
助成:一般財団法人松翁会
製作:NPO法人自律支援センターさぽーと
制作・販売:映像グループ ローポジション

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■作品解説
近年、精神障害のある人たちのグループホームが各地にできています。
ですがそれに伴い、地域住民によるグループホーム開設反対の運動も生じています。
事業者が説明会を開催しても反対の声は収まらず、対立が深まるばかりです。
「施設コンフリクト」と呼ばれる、このような反対運動はなぜ起きるのでしょう?
そして、精神障害者のグループホームとは、実際にはどのようなものなのでしょうか?
反対住民の声と関係者の意見、グループホームに入居している方々の生活や
インタビューを通して、その実像を見つめます。

■コメント
「精神障害者グループホーム」は精神障害者の集まりだから、<こわい>人たちが
いっぱい居て、急に暴れたり、事件を起こすのではないか。だから、反対だ!
――という世間の声に、静かな論拠をもって語りかける楽しい映画である。
当事者の人生が語られ、それを受け止めるスタッフや市民がいる。
閉鎖的な精神病院の歴史や「差別解消法」の意味が語られる。
それを下敷きにしてみると、この映画でもっとも<こわい>のは
住民説明会で録音された「住民の怒鳴り声」である。
それらに挟まれながら、精神障害の人びとの日常が映され、
彼らの言葉や考え方がじんわりと広がると、住民の声もいつか普段通りの声に
なっていくのではないかという希望が見える。
今こそ、「障害者」の解放へ。それは、われわれ自身の解放へ導いてくれる。
秀作である。 
小林 茂(映画監督)

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■日時
2022年5月10日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の飯田基晴さんを交えたトーク&ディスカッションを予定。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の5月9日(月)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2022年03月26日

【報告文】第110回ビデオアクト上映会〜あれから11年 フクシマの今〜

上映作品
『原発故郷3650日』 監督:島田陽磨


 3月24日、ビデオアクトの110回目の上映会が開催された。上映作品は『原発故郷3650日』。あの福島第一原発事故から10年後の2021年につくられた作品だ。作品を観る前、「10年後だから、1年365日×10年=3650日か…」と軽く考えていた。しかしこの作品は、その“軽さ”こそを問う、重く、重要な作品だった。

 冒頭、これまで大きく取り上げられることが少なかった重い情報が示される。「福島県内の自殺率は震災4年後に急上昇」、「児童虐待などのDVの件数は10倍近く増加」、「2018年度の福島県の20歳以下の自殺率は全国1位」…確かに、あれから10年経った。しかし、原発事故によって故郷を奪われた人々の10年、3650日、87600時間は、区切りなどつけられない、出口の見えない苦しい時間の積み重ねだったのだ。

 避難中、中学生の長男を自死で失った男性は、「子どもを守れなかった、ばかな男です」と自責の念に苛まれ、アルコールに依存しながら、「消えたい…」と微かな声でつぶやく。帰還困難区域から家族で千葉に移住した男性は、家族間で故郷の話ができない。話せば、軋轢、分断が生まれるのが目に見えているからだ。その男性の20歳になる娘は、インタビューで故郷について問われ、「帰ってみたいです」と目を伏せる。避難指示が全面解除され、居住率が6割となって復興の“お手本”とされる町に住む年配の女性は、子どもたちが住めず、実際のところは一向に元に戻らない故郷を思い、途方に暮れる。

 “復興”とは、何だろう? 悲しさは“克服”できるのか? 上映終了後、そんなことを重い気持ちで考え込んでいたら、この日も取材で福島を訪れていて、トークの時間ギリギリに駆けつけて頂いた島田陽磨監督がこんなことを言った。「大切なのは、つらいことをつらいと言えること。弱音が吐けること」。そして、「このことは、被災地だけの話ではない。もっと広い、普遍的な問題ではないか」と。

 「頑張れ、克服しろ」と言われても、悲しさ、苦しみは消えてなくならない。共に生きていくしかないのだ。そのためには、苦しむ人を孤立させない周囲の人々の心の支えが必要だ。中学生の長男を自死で失った男性は、支援者の助けによってアルコール依存を治療するための入院が決まった。東京電力は何をやっている? 国は何を“復興”させている?

 この作品では、なぜ日本に、福島に原発が持ち込まれたか、その構造的な背景も描かれる。今も苦しみ続ける人々の実情を知ったあとではなおさら、その非情さ、無責任さに怒りが込み上げる。
(土屋 豊)

※『原発故郷3650日』のDVDは、ビデオアクトのWebSHOPでご購入頂けます。
http://www.videoact-shop.com/2021/847
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2022年03月24日

第110回 VIDEO ACT! 上映会 〜あれから11年 フクシマの今〜

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■ 第110回 VIDEO ACT! 上映会 〜あれから11年 フクシマの今〜
上映作品『原発故郷3650日』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2022年3月24日(木)19時より

原発事故から10年以上が経過。
「復興」のイメージが強調されるなか、被災地の人々の傷は年月を重ねるごとに、むしろ深くなっている。
なぜ、かれらは苦しみを背負わなければならなかったのか。被災地の今を追い、語られることのなかった歴史を掘り起こす。

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■上映作品
『原発故郷3650日』(2021年/70分)
【プロデューサー】立山勝憲
【撮影・監督】島田陽磨
【撮影・編集】鈴木響
【音響効果】田上ゆかり
【後援】原発をなくす全国連絡会
【企画・制作】日本電波ニュース社

■作品解説
福島第一原子力発電所の事故から10年以上が経過。
「復興」の掛け声が声高に叫ばれる中、事故の記憶は日に日に風化しつつある。
しかし、被災地の人々が心に負った傷は、年月を重ねるごとに、むしろ深くなっている。
避難中、息子が自死し自責の念に苛まれる男性。
復興の「お手本」とされる町で、変わり果てた故郷の実態に苦しみながら暮らす女性。
引き裂かれていくコミュニテイ、家族との溝に悩む男性。
本作品では、現在(いま)の福島の実相を伝えるとともに、なぜ福島に原発が設置されたのか、
埋もれていた文書を元にその構造的な背景に迫り、原発の再稼働や「核のゴミ」の最終処分場選定の動きも追う。

■予告篇
DVD「原発故郷3650日」


■日時
2022年3月24日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の島田陽磨さんを交えたトーク&ディスカッションを予定。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

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■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の3月23日(水)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2022年01月12日

【報告文】第109回 VIDEO ACT! 上映会 アート・プライベート・ドキュメンタリー

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1月11日に第109回上映会を“アート・プライベート・ドキュメンタリー”と題して行いました。上映作品は『Maelstrom(マエルストロム)』(監督/編集/ナレーション:山岡瑞子)でした。新型コロナ禍の第6波と言われる再拡大が起き、上映会が無事開催出来るのか、という不安もありましたが、開催出来ました。参加者は30名。会場の人数制限があり、この人数で満席でした。
『Maelstrom(マエルストロム)』とは、大混乱、という意味だそうです。本作は監督の山岡瑞子さんの個人史が綴られた作品です。
映画はまず、山岡さんの家族と家の古い写真から始まります。監督本人のナレーションで、家族との葛藤が語られます。家に窮屈さを感じていた山岡さんは、ニューヨークの語学学校へ留学した後、美術大学へ転入し、ファインアートを学ぶ中で自由に表現する世界を知ります。
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美大を無事卒業し、新たに住むアパートも決まった矢先に、山岡さんの人生を変える出来事が起きます。自転車で銀行に向かっている時、交差点で交通事故に遭い、目を覚ました時はICUのベッドの上でした。頸椎損傷により、自分の足では歩けなくなってしまったのです。
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アメリカの病院から神奈川県の病院へ転院し、さらにリハビリを続けながら、自立できるか不安だった、と山岡さんは語ります。
ここまで記してきましたが、『Maelstrom(マエルストロム)』という作品では、序章とも言えます。以後、山岡さんは、自立への道を模索し、様々な人との出会いと別れがあり、家族との関係も変化していきます。そうした中でも、山岡さんの中には、何かを表現したいという欲求が常にあったように思います。そのための手段として、山岡さんは日々の生活をビデオカメラで記録するようになっていきます。そうした日々を本人のナレーションによって、淡々と語っていきます。
映画は終幕で、山岡さんが再びアートの世界に帰還したことを告げます。私はこの帰還に深く感動しました。
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上映後、大きな拍手が起きました。
本作は、様々な視点から見ることが出来ると思います。両親との葛藤を抱えている人、生きづらさを抱えている人、身体に障害がある人、何かを表現している人。本作は山岡さんの個人史ではありますが、どこかに見た人の琴線に触れる部分があるのではないか、と思います。
上映後の質疑応答では、作品が出来だばかりということもあり、やっとまとめられた、と山岡さんが語っていたことが印象深かったです。
本作は、おそらく山岡さんにとって、第二の出発点になるのでしょう。『Maelstrom(マエルストロム)』がこれから羽ばたき、山岡さんも羽ばたいていくことを感じさせる上映会でした。
(報告文:本田孝義)
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2022年01月11日

第109回 VIDEO ACT! 上映会 アート・プライベート・ドキュメンタリー 上映作品『Maelstrom(マエルストロム)』

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■ 第109回 VIDEO ACT! 上映会 アート・プライベート・ドキュメンタリー
上映作品『Maelstrom(マエルストロム)』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2022年1月11日(火)19時より

20年前の2002年6月、ニューヨークの美大を
卒業したばかりの留学生だった“私”は、銀行に向かう途中、事故に遭った。
帰国を余儀なくし、それまでの日常を突然失った当事者になった”私”は
大混乱(マエルストロム)の中、日々の記録を始める。

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■上映作品
『Maelstrom(マエルストロム)』 2022年/カラー/HD/70分(予定)
【監督/編集/ナレーション】山岡瑞子
【撮影】山岡瑞子/本田広大/平野浩一
【音楽】オシダアヤ

■作品解説
2002年6月のはじめ、NYにある美大を卒業し、あと一年間、プラクティカル・トレーニングビザで滞在予定だった留学生が、アパートの契約金を下ろしに銀行に向かう途中、事故が起きた。こんな事故は日常に見聞きする、よくあること。殺人事件に巻き込まれなくて良かった。でも、その留学生は、その家族は帰国後、どうなったのだろうか。突然、それまでの日常を失い、それまでの時間が存在しない場に戻った時、何がその人らしさを繋ぎ止めるのか−−−。
事故の当事者になった“私”は、大混乱の中、変わってしまった日常の記録を始めた。事故前の自分と繋がり直し、探している場所に辿り着けることを祈りながら−−−。

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■日時
2022年1月11日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の山岡瑞子さんを交えたトーク&ディスカッションを予定。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
予約数上限に達しましたので、受付を締切ました。(1/7正午)
参加希望の方は、上映会前日の1月10日(月)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)


■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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