2024年09月03日

第124回 VIDEO ACT! 上映会 〜精神障害当事者と演劇〜 上映作品『わたしを演じる私たち』

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■ 第124回 VIDEO ACT! 上映会 〜精神障害当事者と演劇〜
上映作品『わたしを演じる私たち』
(2024年/89分/監督:飯田基晴)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年9月3日(火)18時30分より
神奈川県横浜市にあるOUTBACKアクターズスクール。
ここでは、精神障害当事者が自らの実体験を盛り込んだ脚本による
演劇活動が続けられている。演じる俳優陣も当事者たち。
それぞれの人生は、演劇へと結実する。そこから、日本社会が見えてくる。

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■上映作品
『わたしを演じる私たち』(2024年/89分)

■作品解説
2021年に横浜で始まったOUTBACKアクターズスクール。精神疾患を持つ人たちが、自らの実体験を盛り込んだ演劇公演に挑む、その過程に密着した。メンバーの豊かな個性がそのまま劇中のキャラクターとなり、それぞれの困難な人生が、ユーモアに反転されて物語へと紡がれる。公演が近づくにつれ、緊張から体調を崩すメンバーも現れる。舞台というフィクショナルな空間に各々の人生が凝縮され、演劇はドキュメンタリーへ変容する。

■スタッフ
撮影:飯田基晴 常田高志 土屋トカチ
編集:飯田基晴
監督:飯田基晴
製作:映像グループ ローポジション
助成:横浜市地域文化サポート事業・ヨコハマアートサイト2022

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■OUTBACKアクターズスクールとは
コミュニケーションに苦手意識を持つことの多い精神障害当事者にとって、演劇は他者と関わる練習になります。失敗をしてもやり直せるし、失敗から気づきを得たり、面白い場面が生まれることもあります。スクール生たちの中には、病を経ることで、例えようもないほどの苦しみや葛藤を抱えてきた人も少なくありません。ですが、その経験故に得た生き抜く強さ、知恵、豊かな人間性があると思っています。そうした個性を演劇という装置で解き放った時、魅力的な姿とともに、多くの人の心に響く表現が誕生すると考えています。
text by 中村マミコ(OUTBACKアクターズスクール校長)

■日時
2024年9月3日(火)
18時15分/開場 18時30分/開始
上映後、監督の飯田基晴さんと中村マミコさん(OUTBACKアクターズスクール校長)を交えた、トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2024年07月15日

【報告文】第123回ビデオアクト上映会〜子どもたちの目から見た戦争〜

上映作品
『ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―』 監督:古居みずえ

 グーグルに“今日のガザ”と入れてみる。7月14日「ガザの学校空爆、17人死亡」、7月9日「イスラエルが学校攻撃、29人死亡」。昨年10月の戦闘開始以来、ガザでは3万5千人を超える人たちが亡くなったという。その内、子どもは1万3千人以上。その数は、今でも毎日増え続けている。信じ難いほどの、許されない数字だと思う。しかし、その数字の向こうの一人ひとりの、そしてその家族たちの苦しみを思う想像力を、私たちは麻痺させていないだろうか?

 去る7月11日、123回目のビデオアクト上映会が開催された。上映作品は、古居みずえ監督の『ぼくたちは見た―ガザ・サムニ家の子どもたち―』。イスラエル軍によるガザ攻撃は、勿論、昨年10月から始まったことではない。この作品は、今から15年前、2008年から2009年にかけての攻撃によって、一族29人が殺されたサムニ家の子どもたちを描いている。

 テレビニュースのように激しい空爆シーンが続くわけではない。その代わり、目の前で家族を殺された子どもたちの日常やインタビューの様子が淡々と描かれる。そして、その静かで率直な語り口が、私たちの胸に突き刺さる。父親が銃撃されるのを目の前で見た12歳の少年は、飛び散った父の血がこびりついた石を集める。母親のバラバラになった死体を見つけた場所に毎日通う13歳の少女は、「ここに住みたいくらい」だと話す。両親の頭から脳が飛び出していたのを見た12歳の少女、3歳の男の子が見た姉の目から飛び出した目玉…「信仰と教育でイスラエルに抵抗する。それは武器より強い」、「支援物資を望んでいるわけではない。ここでどんな酷いことがあったかを知ってほしい」、「イスラエルは、どうして私たちから全てを奪ったの?」。映画のラストの少女たちの言葉だ。

 サムニ家一族110人は、一軒の家に集められた。そこにイスラエル軍が3発のミサイルを撃ち込んだ。「今、同じことがあちこちで行われている」と、上映後のトークで古居監督は話す。昨年10月の戦闘開始直後、古居監督はこの作品の上映会を開始した。理由は、2023年10月7日がスタートではないことを多くの人に知ってほしかったからだ。「ナレーションによる説明がないからこそ、”体験”できた」。約25名の参加者の内の一人は、そう感想を述べた。また、初めてビデオアクト上映会に参加したという人は、この問題に詳しくないからと前置きしつつ、「どうしてホロコーストを経験した人たちが、同じことができるのか?この悲劇を終わらせるにはどうしたらいいのか?」と率直な意見を語ってくれた。

 私たちにできることは何か?まずは、何が起こっているのか、起こってきたのかを知り、本気で想像することだろう。上映会後の打ち上げで、古居監督に聞いてみた。どうして子どもを撮ることに決めたんですか?と。その答えは、「映画の冒頭に映る、瓦礫の山の前で呆然と立ち尽くす少女と出会ったから」。私たちは、古居監督が捉えたその少女の瞳をスクリーンを通して本気で見つめなければならないだろう。
(土屋 豊)
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※本作品のDVDはこちらで販売しはています。
https://support-miz.thyme.jp/DVD.html
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2024年07月11日

第123回 VIDEO ACT! 上映会 〜子どもたちの目から見た戦争〜 上映作品『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』

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■ 第123回 VIDEO ACT! 上映会 〜子どもたちの目から見た戦争〜
上映作品『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』
(2011年/86分/監督:古居みずえ)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年7月11日(木)18時40分より
2023年10月に戦闘が始まってからパレスチナ自治区ガザ。
死者3万4千人以上を超えた今もイスラエル軍の空爆は続く。
うち、子どもの死者は1万3千人以上といわれています。(2024年5月8日現在)

今回上映する『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』は
2011年に発表された作品です。
現在の状況は、2023年10月から急にはじまったわけではありません。
日本にいる私たちに、何ができるのかを考える機会になることを願い、
本作を上映します。

■上映作品
『ぼくたちは見た ーガザ・サムニ家の子どもたちー』(2011年/86分)

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■作品解説
1400人という多くの犠牲を出した、2008年から09年にかけてのイスラエル軍
によるパレスチナ・ガザ地区への攻撃。
本作の監督であるジャーナリスト・古居みずえは、攻撃直後に現地に入り、
300人以上の子どもたちが犠牲になっていたことに大きなショックを受け取材を始める。
ガザ南部の農業地帯ゼイトゥーンに住むサムニ家の子どもたちは、一族が一度に29人も殺されるという、
過酷な事件を経験していた。古居みずえのカメラは、家族を失いながらも、懸命に生きる子どもたちの
生活を静かに見守り、彼らの心の傷と変化を写し出す。20年以上パレスチナに通い続けてきた古居みずえ
だからこそ描きだせた、事件の後の“真実”。それに触れることは、瞬間的に消費される情報が飛び交う中で、
「世界を理解するために知るべきことは何か?」を示してくれるだろう。

■映画『ぼくたちは見た』公式サイト
https://whatwesaw.jp/

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■スタッフ
監督・撮影:古居みずえ『ガーダ ーパレスチナの詩ー』『飯舘村 べこやの母ちゃん』
プロデューサー:野中章弘、竹藤佳世
編集:辻井 潔  音響設計:菊池信之 音楽:ヤスミン植月千春
協力:横浜YMCA対人地雷をなくす会、古居みずえドキュメンタリー映画支援の会
製作・配給:アジアプレス・インターナショナル
2011年/日本/カラー/86分/DVCAM/ステレオ 

■予告篇


■日時
2024年7月11日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2024年05月16日

【報告文】第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜

上映作品『風に立つ愛子さん』 

 2024年5月9日、第122回 VIDEO ACT!上映会を行いました。上映作品は、『風に立つ愛子さん』(監督:藤川佳三/2022年/75分)。約20名の参加がありました。今年2024年の元旦に「令和6年能登半島地震」が発生。5カ月が経過しました。震災復興後、どの地でも起こりえる問題が描かれている本作を選考し、上映しました。

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 2012年、監督の藤川佳三さんは『石巻市立湊小学校避難所』を発表されます。本作は、その続編にあたります。2011年3月11日に起こった、東日本大震災。津波で被災した宮城県石巻市在住の村上愛子さん(当時69歳・通称:愛子さん)と藤川監督は、湊小学校避難所で出会います。その後も愛子さんを取材し続け、亡くなられる2018年までの8年間が綴られた作品です。

 前作『石巻市立湊小学校避難所』の舞台となった避難所は、当時1千名くらいの人々が避難されていました。石巻市内で最大級の避難所だったそうです。石巻市とは縁もゆかりもなかった藤川監督。知人の映画作家の紹介で、初めて避難所を訪れます。2011年4月21日のことでした。それから避難所が閉鎖する10月11日までの約半年間、避難所に滞在しながら撮影を続けたといいます。

 『石巻市立湊小学校避難所』では、愛子さんと小学生のゆきなちゃん(当時10歳)の関係性を軸とし、主に7名の被災者の姿が描かれていました。10月に避難所が閉鎖されるまでが前作で描かれていました。その後、仮設住宅、復興住宅と住居が変わっても藤川監督が絶えず交流をし続けたのは、愛子さんのみ。その理由は、愛子さん自身が身内と交流を一切絶っており、高齢で独り暮らしを続ける愛子さんのことが、藤川さんは心配だったからです。

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  『風に立つ愛子さん』の主な舞台は仮設住宅です。独り暮らしの愛子さんは、藤川さんのカメラの前でたえずおしゃべりをしています。生活のすべてを奪ったはずの津波に「様」と敬称をつけたり、「あの津波は、私にとって幸せ運んできたの」と語るのです。
 率直なところ、津波に「様」を付ける表現に、私は強い違和感を覚えました。しかし、愛子さんの表情は真剣です。おしゃべりは、高校に進学せず、結婚を選ばず、長い間家族の介護や援助をしてきたこと。そんな紆余曲折の半生が思い出話で語られます。映画が進むにつれて、愛子さんが、津波に「様」を表した意図が、少しずつですが感じられるようになります。

 「この長屋住まいで、心豊かになれた。裸一貫の清々しさがあった。何もないのが良かった。あの頃には戻れない」と避難所での生活を振り返る愛ちゃん。仮設住宅ではご近隣との交流はあるのですが、部屋の中での一人語りは異なります。愛子さんと藤川監督との関係性が映像を通して伝わってきます。魂の交流、または恋愛関係に似た感触を私は感じました。
 2017年、76歳になった愛子さんは復興住宅へ転居します。仮設住宅とは異なり、外壁の防音もしっかりしています。隣近所とのお付き合いが乏しくなったことも要因かもしれません。悲しいことに、転居から半年後、愛子さんは亡くなりました。
 上映後 「愛子さんが生きていれば、この映画は生まれていない」と言い切った藤川さん。取材中に愛子さんが語ったという、印象深い言葉を紹介してくれました。

 「私のことを見つけてくれてありがとう」

 これは、 藤川監督だけでなく、私たち観客へのメッセージでもありますね。

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『風に立つ愛子さん』をスクリーンで拝見するのが、実は2回目の私。2023年9月に渋谷・光塾で開催された試写会が初見でした。その際、私には内容が良くくみ取れませんでした。
 その理由として思い当たることが3つあります。1つめは、愛子さんのハイトーンな声に、正直なところ中盤から疲れてしまったこと。2つめは、プライベートな内容の作品に沿った、監督による主観ナレーションなのに、朗読を他者に委任していることで生じる違和感。3つめは、本作にあまり自信を持っていないオーラを藤川監督に感じたことです。

 今回、ビデオアクト上映会で再見したことで、試写で感じたことは軽減しました。それは上映会後の藤川監督が、活き活きと本音で話されていたからだです。
 「実のところ、本作は編集し直したいと考えている。現行ヴァージョンには、僕が逃げていた要素がある」と語った藤川監督。その言葉が、私にはゾクゾクするくらい嬉しかった。藤川監督が本作にモヤモヤ感じていた部分を編集でスッキリさせれば、もっと沢山の観客に「愛子さん」と出会ってもらえると確信します。再編集版の完成を期待しています。 (文責:土屋トカチ)

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2024年05月07日

第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜 上映作品『風に立つ愛子さん』

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■ 第122回 VIDEO ACT! 上映会 〜仮設住宅で見つめる自己〜
上映作品『風に立つ愛子さん』
(2023年/75分/監督:藤川佳三)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年5月9日(木)18時40分より
東日本大震災で被災した石巻市の女性。
避難当時69歳だった愛子さんは、避難所で「愛ちゃん」の呼び名で慕われた。
明るいキャラクターで周りを笑顔にした愛子さんは
仮設住宅での1人暮らしになった時、自分の思い出を語り始めた。

■上映作品
『風に立つ愛子さん』(2023年/75分)

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■作品解説
津波に遭っても、私は私自身でありたい。

2011年東日本大震災の時、石巻市の避難所で出会った
村上愛子さんと監督との8年間の記録。
当時69歳、明るいキャラクターで慕われた愛子さんだが、
やがて仮設住宅で一人暮らしとなった時、自身の思い出を語り始める。
高校に進学せず、結婚も選ばず、紆余曲折の人生を送った
彼女が残したメッセージとは?
北上川の風景をみながら綴っていく追憶のポエトリー。

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■スタッフ
監督・撮影:藤川佳三
出演:村上愛子
編集:大重裕二
実景撮影: 田中創
整音: 黄永昌
音楽:植田智道
ナレーション:片山享
製作:I N &O U T

■予告篇


■日時
2024年5月9日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始
上映後、監督の藤川佳三さんを迎え、トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2024年03月25日

【報告文】第121回 VIDEO ACT! 上映会 〜『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』完成記念上映会〜

上映作品『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(監督:湯本雅典)

 2024年3月21日、第121回 VIDEO ACT!上映会を行いました。上映作品は、『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(監督:湯本雅典)で、完成記念上映会となりました。約70人の参加者があり、会場は満席となりました。
 本作を見ながら、湯本雅典監督の集大成かもしれない、との思いを強くしました。近年、湯本監督は、沖縄諸島への自衛隊基地配備の問題を描いてきましたが、その前には、選挙での市民共闘を描いていました。本作は、確かに沖縄県石垣島でのミサイル基地配備の問題を描いているのですが、民主主義とは何かを鋭く問いかける作品になっているからです。
 石垣市には、自治基本条例があり、住民投票についても定められていました。そのため、石垣島に自衛隊基地が作られるかもしれない、ということが分かってから、金城龍太郎さん、宮良麻奈美さんらは「石垣市住民投票を求める会」を作り、署名活動を始めました。彼らは決して「基地反対」を掲げたわけではなく、何も言えないまま基地が作られるのは良くない、と考えたからです。署名は有権者の1/3以上を集め、住民投票の条件を満たしたはずでした。しかしながら、石垣市議会は、住民投票条例制定を否決。以来、住民投票は行われていません。金城さんらは、署名をしてくれた人達への責任を感じ、訴訟を起こします。しかしながら、裁判では敗訴が続きます。その判決理由は滑稽極まりないものですが、詳細は省きます。さらに驚くことに、その間に、石垣市議会は自治基本条例から住民投票条項を削除してしまうのでした。意思表示をしたい、といういたってシンプルな思いは、こうして封じられていくのでした。
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 次に本作では、石垣市市長選挙が描かれます。ここでいわゆる保守派だった砥板芳行さんが、現職の市長と袂を分かって、立候補します。彼は、住民投票条例を否決した議員の一人です。ですから、基地建設に反対してきた花谷史郎さん(石垣市議会議員)は、当初、にわかには彼のことを信用出来ませんでした。しかしながら、様々な困難を乗り越え、砥板芳行さんは野党統一候補になるものの、現職市長には勝てませんでした。
 こうして、2023年3月、石垣島に陸上自衛隊駐屯地が開設。この日のことは、本土でも断片的にニュースとして報道されましたが、先に述べたような経緯があったことは、おそらくほとんどの人が知らないでしょう。
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 本作を見て感じるのは、自分が住んでいる地域で何か問題が起きた時、意思表示出来るのか、意思表示をする機会はあるのか、ということでした。ですから、冒頭、本作は民主主義とは何かを問いかける、と書いたのです。沖縄の基地問題に関心がある人だけではなく、学校の社会科の授業などでも見せてほしいと思いました。
 上映後、活発な意見交換がありました。
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 本作は、下記にて購入できます。上映権付なので、ぜひ、上映が広がってほしいと思います。
https://yumo.thebase.in/items/84420095

(報告文:本田孝義)
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2024年03月24日

ウェブショップ新規登録作品のご案内

【VIDEO ACT WebSHOP】に新しい作品が登録されました!
是非、チェックしてみて下さい。


『ニッポン・戦争・私―2023―』
42分/2023年制作

ロシアがウクライナに侵攻し、パレスチナ自治区ガザではイスラエル軍による空爆が続き、日本は軍拡に突き進もうとしています。そんな「現在」だからこそ、もう一度「戦争」について考えてみたいと思います。VIDEO ACT!では、誰もが映像で発信が出来ることを目指して、1999年に「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集し、上映しました。2023年はVIDEO ACT!創立25年という節目の年でもあり、再び「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集しました。

★収録作品
河川敷の来訪者/村上浩康
安倍・「国葬」 献花に向かう人たち/湯本雅典
2022.12.14 Motobu, Okinawa/ニシノマドカ
4月 核燃サイクルの村で/堀切さとみ
43−23/shimizu4310
懸命に反戦歌!/鈴木敏明
Imagine/本田孝義
私には武器がある I HAVE WEAPONS./霞翔太
午前7時のスケッチ/柚木公奈
久保ちゃん/松原明
27年前/土屋豊
在日-反乱する肖像 天皇最後の勅令と恩赦/金成日
死んで来い/義雄

http://www.videoact-shop.com/2024/910

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2024年03月21日

第121回 VIDEO ACT! 上映会 〜『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』完成記念上映会〜 上映作品『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』

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■ 第121回 VIDEO ACT! 上映会 〜『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』完成記念上映会〜
上映作品『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』
(2024年/80分(予定)/監督:湯本雅典)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年3月21日(木)18時40分より
2023年3月、沖縄県石垣島では、陸上自衛隊ミサイル基地が開設した。
住民投票を求める石垣市内の有権者による
自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例制定請求署名は
有権者の3分の1以上にあたる14,263筆が集まった。
しかし、石垣市は未だに住民投票を実施していない。
住民投票を求める若者たち、農民兼市議会議員、漁師など
基地に対する人々の想いを丹念につむぐ。

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■上映作品
『ミサイル基地がやってきた 島で生きる』(2024年/80分(予定))

■作品解説
「署名した人たちに応えたい。責任をはたしたい」
2023年3月、沖縄県石垣島では、陸上自衛隊ミサイル基地が開設した。
石垣市には、自治基本条例という独自の条例がある。
そこには「有権者の4分の1の署名が集まれば、市長は所定の手続きを経て、
住民投票を実施しなければならない」とあった。
2018年「石垣市住民投票を求める会」は平得大俣(ひらえおおまた)地域への
自衛隊配備の賛否を問う住民投票条例制定請求署名を1か月で集めきった。
その数、14,263筆。
これは、石垣市内の有権者の3分の1以上にあたるが、
石垣市は未だに住民投票を実施していない。
「石垣市住民投票を求める会」は、裁判でたたかい続けている。
署名をしてくれた人たちに応えるために。

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「市議会と市民をつなぐ」
農業を営む花谷史郎さんは、もともとは自衛隊基地建設に反対ではなかった。
しかし、市や防衛省の説明に納得がいかず、基地建設予定地周辺の住民に推され、
市議会議員になった。駐屯地建設は、どんどんすすんでゆく。
彼は、農民の目線で市議会と市民をつなぐ。

「戦前がはじまる」
2023年3月、200台近くの軍用車両が民間の石垣港から自衛隊基地に搬入された。
その後、ミサイルの弾薬も運ばれた。3月16日部隊開設。
ゲートには自動小銃を構えた自衛隊員が警備し、
駐屯地外には「北朝鮮」の弾道ミサイル対策のPAC3が配備された。

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■スタッフ
企画・撮影・編集・監督:湯本雅典
ナレーター:名川伸子
音楽:Yoshitoo!/山里節子/大月ひろ美/山本ちひろ/ハルサーズ

■予告篇


■日時
2024年3月21日(木)
18時15分/開場 18時40分/開始
上映後、監督の湯本雅典さんを迎え、トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

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■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2024年01月14日

【報告文】第120回ビデオアクト上映会〜複合差別に向き合う女性たち〜

上映作品
『もっと真ん中で』 監督:オ・ソヨン


 2024年最初のビデオアクト上映会が1月11日に開催された。上映会のタイトルは「複合差別に向き合う女性たち」で、上映作品は、オ・ソヨン監督の『もっと真ん中で』だった。上映後には、ソウルのソヨン監督とリモートで繋いでトークを行うことになっていたので、少し動員を心配していたが、どんどん人が集まってきて、約40名の参加となった。

 『もっと真ん中で』は、大阪で生まれ育った李信恵(リ・シネ)さんが、2014年から約4年かけて闘い勝訴した「反ヘイトスピーチ裁判」についての物語だ。フリーライターであるシネさんは、当時激しくなっていたヘイトスピーチに対する批判的な記事を書いたことで、ネット上でネトウヨたちの標的とされ、卑劣な誹謗中傷を受けてしまう。シネさんは、「私のうしろには黙らされて泣いている人がいる」と、国内で初めて、ヘイトスピーチに対して個人で損害賠償を求めて提訴する。在日、女性の複合差別に対して立ち上がったのだ。

 …と言っても、映画は闘いのシーンをメインに置かない。主な舞台は、多くの在日コリアンの人々が暮らす大阪の鶴橋だ。特に印象深かったのは、旨そうなホルモンの店、「茂利屋(もりや)」。シネさんが、ここ茂利屋に通うようになったきっかけは、鶴橋でのヘイトスピーチに対峙していた時にたまたま一緒にいた店主のキム・ヤンヒさんに「あんたしんどいやろ、店に飲みにおいで」と誘われたことだった。以来、茂利屋には数多くのシネさんの支援者が集まるようになる。店主のヤンヒさんも女性なら、映画に描かれる支援者もすべて女性。彼女らを絶妙な距離感で撮るソヨン監督自身も女性だ。シネさんのユーモア溢れる大らかな人柄も相俟って、店内はいつも楽しそうだ。

 しかし、闘いの先頭に立ったシネさんは笑顔の裏で苦しんでいた。裁判のためには具体的なヘイトスピーチのひとつひとつを直視しなければならない。記録ビデオを見なければならない。「良い韓国人も悪い韓国人も、どちらも殺せ」。ここに書くだけでも暗澹たる気持ちになる言葉と向き合わなければならなかったのだ。――勝訴した夜、シネさんは泣く。いつものようにみんなで飲んだ後、子どものように泣きじゃくる。支援者の女性に抱かれながら。

 上映後、司会のビデオアクトスタッフである本田さんは、「シスターフッドの映画だと思った」と言った。私もまったく同感、まさに女性同士の連帯の物語だった。そう言えば、上映会の参加者も女性が多かった。ソウルのソヨン監督とリモートで繋いだ質疑応答も、質問者は全て女性だった。「私は東京で生まれ育った在日朝鮮人だが、大阪には在日コリアンが密に繋がっている素敵な地域があることを、この映画を通じて多くの人に知ってほしい」、「韓国の女性たちは、熱くて、強くて、逞しい。男性は何をやっているのか?」等々、次から次へと質問が続いた。「映画のタイトルの由来は?」との質問に、ソヨン監督は「最初は、『茂利屋での夜』にしようと思ったが、シネさんに猛反対された」と答え、会場はどっと笑いに包まれた。ソヨン監督は、相当、茂利屋が気に入ったらしい。

 新しい年、最初のビデオアクト上映会は、とても有意義な会となった。私にとっても、「日本人・男性・おっさん」として、何と向き合うべきかを考えさせられる機会となり、やってよかったと思いました。
(土屋 豊)
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2024年01月11日

第120回 VIDEO ACT! 上映会 〜複合差別に向き合う女性たち〜 上映作品『もっと真ん中で』

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■ 第120回 VIDEO ACT! 上映会 〜複合差別に向き合う女性たち〜
上映作品『もっと真ん中で』
(2022年/83分/監督:オ・ソヨン)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2024年1月11日(木)18時30分より

■上映作品
『もっと真ん中で( 더 한 복 판 으 로 The Hanbok on the Court)』(2022年/83分)

メイン写真.jpg

■作品解説
大阪で生まれ育ったフリーライターの李信恵(リ・シネ)さんは、
ヘイトスピーチに対する批判的な記事を書いたことをきっかけに
自身もインターネット上で激しい誹謗中傷を受けてしまう。
「自分のような思いを誰にもして欲しくない」と『反ヘイトスピーチ裁判』を始め、仲間と共に3年余りの裁判を闘い勝訴した。
2014年、オ・ソヨン監督は偶然大阪市役所前でヘイトスピーチに遭遇。
李信恵さんと反ヘイトスピーチ裁判について知り、撮影を開始。
裁判を支援する朝鮮舞踊のカン・フィソン先生や、民族学級で教鞭をとるヤン・チョナジャさんら

在日コリアン女性たちと共に、約3年間併走した。

写真B.jpg

■スタッフ&出演
・監督:オ・ソヨン
・出演:リ・シネ、カン・フィソン、ヤン・チョナジャ

■上映歴
2021年 仁川人権映画祭上映
2022年 済州助成映画祭オープニング作品招待上映
2022年 あいち国際女性映画祭コンペティション部門招待上映

■予告編
映画『もっと真ん中で』日本版予告01
https://www.youtube.com/watch?v=-XS-y2lKe10

■日時
2024年1月11日(木)
18時15分/開場 18時30分/開始
上映後、監督のオ・ソヨンさんとオンラインでつなぎ、
トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

写真A.jpg
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