2023年12月01日

ビデオアクト設立25周年記念・オムニバス映像企画『ニッポン・戦争・私2023』上映会 報告文

2023年は、ビデオアクト設立25年目の年。四半世紀もの間、継続してきた記念に、ビデオアクトの名物企画である3分間ビデオのオムニバス企画を行うことにしました。お題は『ニッポン・戦争・私2023』。この企画は過去に1999年、2002年、2003年、2015年と同じお題で4回募集したことがあります。1999年は盗聴法改悪や国旗及び国歌に関する法律が制定。2002年は9.11直後、そしてアフガニスタンへの侵攻。2003年はイラク戦争。2015年は「戦争法案」成立。…そして2023年は、ロシアがウクライナに侵攻し、パレスチナではイスラエル軍による空爆。日本でも軍拡に突き進んでいます。この機会にもう一度、本企画を実施してみようということになり、作品募集を7月より開始しました。

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応募開始当初は作品が集まらず、企画倒れになるのではと心配しました。最終的には、15作品が集まりました。
上映はいつも使っている、東京ボランティア・市民活動センターを離れ、キノ・キュッヘで行いました。
制作者も含め、20名ほどの来場者がありました。

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11月23日の『ニッポン・戦争・私2023』上映会では、『ニッポン・戦争・私1999』も併映しました。この作品は1999年に開催された山形国際ドキュメンタリー映画祭に向けて公募され、集まった作品を無審査で上映したものです。これまでDVDなどのソフト化がなく、上映された機会も1999年以降はほとんどありませんでした。24年前(1999年)の日本社会と2023年現在の映像を並べて観ることは、面白い試みだったと思います。

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まずは『ニッポン・戦争・私1999』(73分/23作品)を上映しました。
上映された作品は、上映順に以下の通りです。

Devolution 99/小林アツシ
LOVE&PIZZA/遠藤大輔
天皇と戦争/井谷早里
what do you want?/池原由起子
EXPRESSION/本間 拓
元軍国少年Aの果てしなき戦い/木村愛二
霧社事件と「日の丸・君が代」/佐々木健
(untitled)/丹羽順子
都市(破壊)計画における死体情報化の可能性/行友太郎
(untitled)/中原憲明
(untitled)/松原 明
ね・が・い/田村 周
最後の光景/本田孝義
徒然なるままに/神保知彦
(untitled)/佐々木有美
NO! を発する村より/玄番隆行
(untitled)/下之坊修子
不敬映画論映像編/平沢 剛
恐怖劇場/畠山宗明
(untitled)/正木俊行
花物語バビロン短縮版『花バビ』/相澤虎之助
日本からの難民/大田垣有美
戦争という名の子猫/野村瑞枝


制作当時は、奇抜でエフェクト効果が施されたと思われる映像でも、数十年後に観ると、どうしてもチープに感じられます。この感覚はミュージックビデオやCMなどを見た時によく起こりますよね。そうではなく、シンプルな表現の方が、古くならずに鑑賞できるのは世の常。これは制作者として心に留めておきたいことです。『untitled(丹羽順子さん)』や『戦争という名の子猫』は、今日の視点で観ても傑作でした。

残念ですが、いまは故人となられた制作者もおられました。
映像に登場された方でも最近亡くなられたPANTAさん(頭脳警察)や宮崎学さんの姿にグッときました。

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休憩をはさんで、『ニッポン・戦争・私2023』(48分/15作品)を上映しました。
上映された作品は、上映順に以下の通りです。

河川敷の来訪者/村上浩康
安倍・「国葬」 献花に向かう人たち/湯本雅典
2022.12.14 Motobu, Okinawa/ニシノマドカ
4月 核燃サイクルの村で/堀切さとみ
43−23/shimizu4310
懸命に反戦歌!/鈴木敏明
Imagine/本田孝義
私には武器がある I HAVE WEAPONS./霞翔太
午前7時のスケッチ/柚木公奈
久保ちゃん/松原明
27年前/土屋豊
在日-反乱する肖像 天皇最後の勅令と恩赦/金成日
花岡悲歌より 朝露館/佐々木健
座間味島/土屋トカチ
死んで来い/義雄


『ニッポン・戦争・私2023』では、今日的テーマであるはずのロシア、ウクライナ等を描いた作品は『河川敷の来訪者』(村上浩康監督)をのぞき、ありませんでした。距離的な問題なのかもしれません。一方、軍拡に進む日本社会や、過去の戦争責任、原発問題、貧困問題などから『ニッポン・戦争・私』が見えてくる作品が多く集まりました。

オムニバス3分ビデオの面白いところは、同じテーマで、個々の作者の視点も全く異なるところにあります。さらに今回は『1999』と『2023』では、制作時期も異なります。2つの作品を続けて観てみると、24年の隔たりはあまり感じられず、重層的に「ニッポン」の姿を浮かび上がらせていました。

とはいえ、2つのオムニバス作品で合計38本も観るとドッと疲れました…。

会場であるキノ・キュッヘは上映施設が完備されたお店。開店31年目の居酒屋さんです。
上映終了後は、レイウアウトを変更し、そのまま懇親会へと突入です。

ビデオアクト主宰の土屋豊さんのによる司会で懇親会はスタート。乾杯のあと、来場された各制作者からのコメントをいただきました。続いて、『ニッポン・戦争・私2023』の観客賞を選定しました。会場内での議論の結果、一人何票でも「良かった」と思えた作品に挙手をし、数が多かった作品に観客賞を贈るルールを決めました。

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観客賞は村上浩康さんの『河川敷の来訪者』に決定。
副賞として『ニッポン・戦争・私1999』のDVD(非売品)が贈呈
されました。

今回上映した『ニッポン・戦争・私2023』の内で、DVD収録を許可している作品をまとめて、DVDとして頒布します。また、配信を許可している作品は配信も行う予定です。お楽しみに!

なお『ニッポン・戦争・私1999』のDVDは、販売の予定はありません。

文責:土屋トカチ

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↑(写真:左)観客賞・副賞のDVD『ニッポン・戦争・私1999』。



<参考>
『ニッポン・戦争・私』シリーズ

DVD『ニッポン・戦争・私』シリーズ

<参考/告知記事>
時代と戦争、映像で考える オムニバス作品上映 国立で23日/東京(毎日新聞)
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 17:58| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月23日

オムニバス映像『ニッポン・戦争・私 2023』上映会

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■ オムニバス映像『ニッポン・戦争・私 2023』上映会
上映作品『ニッポン・戦争・私 2023』(48分/2023年)
併映『ニッポン・戦争・私 1999』(73分/1999年)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年11月23日(木・祝)16時より

■上映作品
『ニッポン・戦争・私 2023』(48分/2023年)

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■作品解説
ロシアがウクライナに侵攻し、パレスチナでは空爆が続き、
日本では軍拡に突き進もうとしています。
そんな「現在」だからこそ、もう一度「戦争」について考えてみたいと思います。
VIDEO ACT!では、誰もが映像で発信が出来ることを目指して、
1999年に「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集し、上映しました。
本年2023年はVIDEO ACT!創立25年という節目の年でもあり、
再び「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集しました。
応募された作品を無審査で全作品上映いたします。

25周年記念に、第1回目のオムニバス映像企画
『ニッポン・戦争・私 1999』(73分/1999年)も併映します。
過去に一度もソフト化されていない、貴重な上映となります。

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■『ニッポン・戦争・私 2023』作品出品者(敬称略・順不同)
霞翔太/金成日/鈴木敏明/佐々木健
土屋トカチ/土屋豊/ニシノマドカ/堀切さとみ
本田孝義/松原明/村上浩康/柚木公奈
湯本雅典/義雄/shimizu4310

■日時
2023年11月23日(木・祝)
<タイムスケジュール>
●15:30 開場
●16:00 『ニッポン・戦争・私 1999』(73分)上映開始
 (休憩15分)
●17:30 『ニッポン・戦争・私 2023』(48分)上映開始
 (懇親会準備30分)
●18:45頃 懇親会開始
●21:00 終了

■上映会場
キノ・キュッヘ(木乃久兵衛)
〒186-0005 東京都国立市 西2丁目11−32  電話 042-577-5971
国立駅南口出る/西友と神戸屋の間の富士見通りを直進/徒歩15分

■参加費
500円(作品出品者・介助者は無料)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 22:59| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月30日

締切日延期10/31まで。ビデオアクト オムニバス映像『ニッポン・戦争・私 2023』募集開始

ロシアがウクライナに侵攻し、日本では軍拡に突き進もうとしています。
そんな時代だからこそ、もう一度、「戦争」について考えてみたいと思います。
VIDEO ACT!では、誰もが映像で発信が出来ることを目指して、
1999年に「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集し、上映しました。
本年2023年はVIDEO ACT!創立25年という節目の年でもあるので、
再び「ニッポン・戦争・私」というテーマで3分間の映像を募集します。
応募された作品は無審査で上映いたします。

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募集要項
●テーマは「ニッポン・戦争・私」について。
●時間は3分以内。(時間をオーバーしている作品は、頭から3分でカットする場合があります。)
●制作者の国籍、職業などは問いません。
●制作は個人でもグループでもかまいません。
●1個人(または1グループ)1作品でお願いします。
●応募は無料です。
●作品を応募していただいた方には無料で上映会にご招待します。また、応募作を収録した頒布用DVDを進呈いたします。
●募集する映像のフォーマットは、mov、mp4、avi、wmvとさせていただきます。
●映像はギガファイル便などのファイル転送サービスでお送りください。また、アップロードアドレスを必ず、下記応募先メールアドレスまでご連絡ください。ファイル転送サービスが使えない方はご相談ください。
●場面写真(静止画)1点をご提供ください。
●既存の映像、音楽を使用する場合は、制作者の責任で著作権の処理をお願いいたします。また、肖像権等につきましても、制作者の責任でお願いいたします。
●応募作品は、YouTubeでの配信、DVD頒布も予定しています。DVD頒布は実費で行いますので制作者への金銭的還元はできません。
また、上映会での上映のために作品を出品するが、他での公開はしないなどの選択もできます。
●上映会は11月23日(木・祝)に、キノ・キュッヘ(東京都国立市)で行います。

締め切り 
2023年9月30日(土) 10月31日(火)必着

応募・問い合わせ先

E-mail jyouei@videoact.jp  TEL 03-6451-0098 
URL http://videoact.jp/
VIDEO ACT!「ニッポン・戦争・私」担当

以下の項目をご記入の上、メールにてお送りください。
また、場面写真(静止画)1点を添付ファイルにてお送りください。

・アップロード先のアドレス
・作品名
・制作者名
・郵便番号
・住所
・Tel.
・E-Mail
・画面の縦横比(16対9/4対3/その他)
・YouTubeでの公開(どちらかをお選びください):公開可/公開不可
・頒布用DVDへの収録(どちらかをお選びください):収録可/収録不可
・作品コメント(100字程度)上映時・ネット公開等で紹介します。

以上です。

チラシPDF ニッポン・戦争・私2023募集チラシ.pdf
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2023年09月26日

【報告文】第119回 VIDEO ACT! 上映会 〜半自給自足、半映画作りの日々〜

上映作品:『めんどくさいことを手放さない暮らし』(監督:下之坊修子)

 去る9月21日に、第119回 VIDEO ACT! 上映会を開催しました。参加者は20名ほどでした。上映作品『めんどくさいことを手放さない暮らし』の監督・下之坊修子さんとは、長年、私たちVIDEO ACT!と繋がりがあり、これまでも何作も上映させて戴いている。本作は、8年前(製作時は7年前)に下之坊さんが大阪府河内長野市滝畑に移住してからの記録だ。
 滝畑は交通の便もあまりよくない、大阪南部の山村だ。下之坊さんは近くで生まれ育ったので、故郷でもある。縁があって、ここの古い平屋を買ったのだ。しばらく人が住んでいなかったこともあって、家の改修を始める。その改修も、誰かにお任せではなく、様々な人が駆けつけてきて、楽しそうに改修している。下之坊さんの人柄もあるのだろう。同時に、山間部での一人暮らしは、簡単ではないという現実を忠告してくれる方もいる。
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 この一軒家で、下之坊さんは、様々なプロジェクトや講座を始める。野菜作り、映画史講座、上映会、ミニコンサート、お金を語る会、女たちの食事会、エンディング講座、女たちの夏休み、などなど。どの催しも楽しそうだ。こうした催しは、困ったときに「助けて」と言える人間関係を作っていくことが根底にある。タイトルにある「めんどくさいこと」とは、家を改修したり、野菜を作ったりといった、自分に必要なことは出来るだけ自分でする、という実践のことだと思いますが、私は下之坊さんの活動を見ながら、人間関係のことでもあるな、と思いました。人と関わっていくことはめんどくさい。でも、生きていくためには人との関りも大切だ。だから、手放さない、と。私は下之坊さんのようには出来ないけれど、いろんな人にとって多くのヒントがあると思います。
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 上映後の滝畑からのzoomトークで下之坊さんも言っていましたが、当初は、市内の同級生達やこれまで関わってきた方たちが集まってくることが多かったが、徐々に地域の方との関係も深まり、地域の行事に参加する様子も描かれています。
 トークでは司会者から、滝畑に移住して後悔はないか、という率直な質問がありましたが、下之坊さんがきっぱりと「全然、後悔はない」と言っていたのが印象的でした。また、自分自身が変化しただけではなく、周りも変化しているとも。参加者からは、医療のこと、福祉のことなど具体的な質問もありました。「いなか暮らしは面白い」という、下之坊さんの言葉に表れているように、参加者も刺激を受けた、そんな上映会だったと思います。
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(本田孝義)

『めんどくさいことを手放さない暮らし』上映情報
http://terere.jugem.jp/?cid=46
posted by VIDEO ACT! スタッフ at 09:56| VIDEO ACT! 主催 上映会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月21日

第119回 VIDEO ACT! 上映会 〜半自給自足、半映画作りの日々〜 上映作品『めんどくさいことを手放さない暮らし』

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■ 第119回 VIDEO ACT! 上映会 〜半自給自足、半映画作りの日々〜
上映作品『めんどくさいことを手放さない暮らし』
(2023年/62分/監督:下之坊修子)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年9月21日(木)19時より

■上映作品
『めんどくさいことを手放さない暮らし』(2023年/62分)

■作品解説
大阪府河内長野市滝畑。
大阪南部の山村に移住して7年。そこは信号も店もない。
効率のためのスピードやお金に振り回される生活に疑問を感じ、
今は半自給自足、半映画作りの日々。
忘れさられていく暮らしの凄さ、野菜や鳥や動物から多くを学ぶ。
スマホより的確に教えてくれ、少しずつ感覚を取り戻す。
かつて祖母達はお互いに助け合いながら自然に抗わずに暮らしていた。
色々な人と繋がることのダイナミックさ面白さを大切に、
楽しくワクワクする暮らしを作って行きたい。

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・監督:下之坊修子
・撮影:井上啓、岡田和真、楠瀬かおり、黒瀬政男、下之坊修子
・編集:下之坊修子
・音楽:別所エビオス誠洋「星まつりの歌」、田中 達

■予告編


■日時
2023年9月21日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の下之坊修子さんとオンラインでつなぎ、
トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2023年07月16日

【報告文】第118回ビデオアクト上映会〜琉球弧で進行する新基地建設〜

上映作品
『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』 監督:湯本雅典


 去る7月13日、第118回目のビデオアクト上映会が開催された。上映会のタイトルは「琉球弧で進行する新基地建設」で、上映作品は出来上がったばかりの『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』。監督は、ビデオアクト上映会で何度も作品を上映させて頂いている湯本雅典さんだ。

 上映スタートは19時だったが、18時過ぎあたりから続々と来場者が集まり、最終的には約50名の方々にご参加頂いた。そして、上映前から熱気が凄い。会場では、当日の上映作品をDVDで販売していたのだが、上映前からかなりの勢いで売れていた。「これから観る作品のDVDを観る前に買う」というちょっと不可思議な現象だが、これこそビデオアクトの上映会らしい光景とも言える。みんな作品をただ「鑑賞」しに来たのではなく、現状を知り、みんなで話し合って共有し、各々の日常に持ち帰るためにやって来たのだ。

 上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』は、今年3月の陸上自衛隊石垣駐屯地開設の過程を追ったドキュメンタリーだ。本来は、来年1月完成予定の『この島には戦争という言葉はない(仮題)』の素材の一部だったが、ミサイル基地開設の報道が本土であまりにも少ない現状を見て、急遽、一旦完成させてDVDパッケージ化したという。

 確かに私自身、この事実を大手メディアの報道で知った記憶はない。多くの観光客を乗せた観光バスと、いかつい軍用車両がすれ違う光景など見たことがない。この作品は、そういう緊迫したシーンをしっかりと見せてくれる。そして、島の人々の抗議行動や悲痛な声を丁寧に伝えてくれる。大手メディアやネットニュースを漠然と見ているだけでは知ることができない事実を教えてくれるのだ。

 そして、この日は、その「現実」をより深く掘り下げてくれる映像が追加で上映された。来年1月完成予定の作品の素材となるであろう4名の方のインタビュー映像だ。私が特に印象に残ったのは、21歳の女性Aさんのお話。「沖縄戦体験者である“おばあ”は、戦争の話をしたがらない。自衛隊のニュースが始まったらテレビを消す」、「自分たちの世代は、敵基地攻撃能力云々よりも彼氏の話の方が…」。とてもリアルで素直な言葉。それは、私自身の中にもある正直な気持ちとも言える。「でも、その彼氏の上に爆弾が落ちたとしたら?」、「“おばあ”の恋人が戦争で亡くなっていたとしたら?」…全ては対話から始まるし、始めるしかない。

 …ということで、約40分の上映時間より長い上映後の約80分の対話、ディスカッションは大いに盛り上がった。湯本さんへの質問、作品を観た感想、ご自身の意見などがあとを絶たない。中には「沖縄と本土では意識がかけ離れている。どうすれば、沖縄の現状を“自分事化”できるか?」という根本的な質問もあった。湯本さんの答えは「そのために映画をつくっています」。まさに、その通りだろう。そして、戦前生まれの女性は、「今日知ったことを持ち帰って、自分の足元で広める。DVDを買って上映会をやって、アメーバのように広げる!」と大声で気を吐いた。そのおかげで、ディスカッション終了後に、再びDVDが売れまくった。ちなみに、この作品のDVDは、1,000円で上映権付き。購入すれば、どこで上映会をやっても構わない。皆さん、是非広めて、対話を始めましょう!
(土屋 豊)

※本作をはじめとする湯本雅典監督のDVDは、下記サイトでご購入頂けます。
https://yumo.thebase.in/
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2023年07月13日

第118回 VIDEO ACT! 上映会 〜琉球弧で進行する新基地建設〜 上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』

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■ 第118回 VIDEO ACT! 上映会 〜琉球弧で進行する新基地建設〜
上映作品『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』
(2023年/20分/監督:湯本雅典)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年7月13日(木)19時より

■上映作品
『ドキュメント石垣島 2023年3月陸自ミサイル基地開設の瞬間』(2023年/20分)

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■作品解説
2023年3月、コロナが一時あけたことを受け沖縄県石垣島には
多くの観光客が戻り始めていた。石垣島から他の島への旅を
楽しむ観光客であふれていた離島ターミナル(民間港)の真横には、
3メートルの壁に仕切られた中に陸揚げされたばかりの150台以上の軍事車両が並んでいた。
3月16日、陸上自衛隊石垣駐屯地が開設した。
正面ゲートには、自動小銃を携行した自衛隊員が警備に立つ。
市街地にある自衛隊宿舎からは迷彩服の自衛官が出勤する。
3月18日、石垣港新港地区の旅客船ターミナルに自衛艦おおすみが接岸した。
ここは通常大型クルーズ船が接岸する場所だ。おおすみからは、ミサイルの弾薬が石垣島に陸揚げされた。
78年間戦争の道具が存在しなかった石垣島に、ミサイル基地が開設した。
「この島には、戦争という言葉がないんだよ」と島の人が話してくれた。

・企画・撮影・編集・監督:湯本雅典
・ナレーター:名川伸子
・挿入曲「とぅばらーま」「よーよーよー」唄:山里節子

その他、湯本雅典さんによる
追加映像を用いた報告を予定。



■日時
2023年7月13日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の湯本雅典さんを迎え、
トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2023年05月10日

第117回ビデオアクト上映会〜太田信吾監督短編特集〜 報告文

2022年5月9日、大型連休明けの平日火曜日。第117回ビデオアクト上映会〜太田信吾監督短編特集を行った。上映作品は『エディブル・リバー』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』の3本。有料来場者は26名だった。

2020年冬、コロナ禍で舞台や映画の仕事すべてが飛んでしまったという太田監督。ひとまず、故郷である長野県に戻った太田監督は、毎日車で県内をドライブしたそうだ。ウェブサイト幻冬舎plusへ寄稿したり、テレビ番組の制作している中で、今回の短編の取材対象者と出会っていったという。どの作品も20分ほどでコンパクトにまとめられているが、映像作品としての奥行が深く、長編制作も可能なほどの取材の厚さが垣間見える。また、小型アクションカメラやドローン撮影を駆使し、躍動感のある映像表現も心地よいものだった。

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『エディブル・リバー』
テーマは、ざざむし。長野県伊那谷では、伝統食の珍味として地域に根付いている。海の幸が食べられない伊那谷では、貴重なたんぱく源として、昆虫食が広がっていたという。50年近く愛着をもってざざむし漁を続けてきた漁師・菅沼重真さん。そして、地域に根付く、ざざむしの文化を未来へ繋いでいこうと「ざざむし」の新商品化に向けて活動する高校生たちを見つめた作品だ。

長野県千曲市出身の太田監督。子どもの頃、いなごなどを捕まえて食してもいたが、ざざむしを食したことはなかったという。取材を通して、ざざむしを食べ「イクラみたいにぷちぷちとし磯の香りが広がる。こんな珍味があるのか」と感動したそうだ。

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『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』
自作のキッチンカーにて焼きたての焼き鳥丼を販売したり、ボランティアで炊き出しを振る舞い、自転車発電でライブも行う主人公・かのうさちあ(本名:加納知之)さん。彼は、1988年の北海道・泊原発への抗議行動や反原発運動への挫折を背負って生きている。しかし、前向きな彼は世界初(!)のソーラーキッチンカーを仲間と自作。福島に住んでいる、かつての反原発運動仲間をたずねていく。

ソーラーパネルのキッチンカーは、長距離は走れない。充電したエネルギーが限界に近づくと「亀さんマーク」が運転席のパネルに表示され、止まってしまう。高速道路上では、とても危険だ。ソーラーパネルをお日様に当てたり、高速のサービスエリアで充電しながら進む福島までの道中は、ハラハラした。主人公のかのうさちあさんとは、テレビ番組『フードトラッカ−峯岸みなみ』を制作している中で出会ったという。

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『門戸開放 〜Open the Gate〜』
タイで活躍していた日本人俳優、ペロン・ヤスさん。タイ人の妻とも別れたばかり。実家で子供とともに自宅に篭る日々。俳優の仕事も激減し、将来への不安を抱えていた。次第に心は荒み、うつ状態に…。そんな彼に、長年うつで苦しんできた友人が「肛門日光浴」を勧める。「肛門日光浴」とは字面の通り、肛門を直射日光に直接当てる健康法だという。犬や猫も、肛門丸出しで日々を生きているではないか。美しい。なんとも清々しい健康法だ。(しかし、日本では路上で丸出しにすることは法的に許されないのだった…)
彼は「肛門日光浴」のルーツを探すため、インドのヨガの聖地・リシケシを訪ねることを決意。そして、インドでロケまで決行してしまう。ペロン・ヤスさんと太田監督の行動力に驚く。

本作でのフィクションの様な撮影方法は、主人公が俳優だから故だという。普通にカメラをまわすと「過剰に演技」をしてしまったから。ただし物語は、現実に起こった出来事に沿って進行していく。この辺りも、太田監督のセンスの良さを感じさせた。

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太田監督の作品をビデオアクト上映会で行うのは、今回が2回目になる。前回は2010年11月、第52回ビデオアクト上映会〜若者の「リアリティ」〜 上映作品は『卒業』だった。
大学の卒業制作作品として作られた『卒業』は、フィクションとドキュメンタリーの境界を行き来する、おとなの観客を煙に巻くような挑発的な作品だった。この上映会の際、先輩で友人のミュージシャン・増田壮太さんを主人公にした新作「錠剤はいらない(仮題)」を撮影中とのことで、素材をまとめた短編映像が上映された。増田さんはうつを患っており、「この先、本作をどうしようか。どうしたら面白くできるかと悩んでいる」といった報告があった。上映会から2か月後、増田さんが自死で亡くなってしまう。「映画を完成させてね」とメッセージを残して。

のちに本作は『わたしたちに許された特別な時間の終わり(以下、『わたゆる』と表記)』として発表された。『わたゆる』は太田監督の劇場デビュー作となり、2014年に公開された。プロデューサーは、ビデオアクト主宰の土屋豊さんだ。『わたゆる』を試写で観た私は、映写が終わっても立ち上がれないほどの衝撃を受けた。私も2012年に大学時代からの友人を亡くし、闇の中を歩いている日々だった。『わたゆる』から大きな力を私はもらった。拙作『アリ地獄天国』は『わたゆる』へのアンサーソングのつもりで制作した。

今回上映した3作の短編に共通して感じるのは、生きる喜びだ。『卒業』『わたゆる』や次作『解放区』では、生きていくことのしんどさを、まるで爆弾のように抱え、観客の心にズンズンと迫ってくるような作品群だった。
コロナ禍の生活を経て、太田監督は次のフェーズへと移行したようだ。明るい光を感じる、生命力に満ちた映像に、私は心から嬉しくなった。現在制作中という『秘境駅清掃人』も楽しみだ。

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<追伸>
『エディブル・リバー』で登場するざざむしふりかけ「ザザテイン」。
上映会場で販売されました。私も買い求め、朝ごはんにふりかけて食べました。とてもおいしかったです。次は、ざざむしの佃煮も食べたいです。

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<文責:土屋トカチ>
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2023年05月09日

第117回 VIDEO ACT! 上映会 〜太田信吾監督短編特集〜 上映作品『エディブル・リバー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』

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■ 第117回 VIDEO ACT! 上映会 〜太田信吾監督短編特集〜
上映作品『エディブル・リバー』『門戸開放 〜Open the Gate〜』『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』
(2022年/各作品20分・計60分/監督:太田信吾)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年5月9日(火)19時より

映画監督、そして俳優。
日本とフランスを拠点に
フィクションとノンフィクションを自在に行き来しながら
制作活動を続ける太田信吾監督。
2022年に発表されたドキュメンタリー短編映画3本を
特集上映する。

■上映作品『エディブル・リバー』(2022年/20分)

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■作品解説
長野県の伊那谷では毎年12月から翌2月にかけて伝統的なざざむし漁が行われている。
だが護岸工事による水質の変化や気候変動、漁師の高齢化などざざむし漁には多くの
壁が立ちはだかっていた。 本作は50年近く愛着をもってざざむし漁を続けてきた漁師
が引退するまでの2年間と、地域に根付いたざざむしの文化を未来へ繋いでいこうと
動く高校生たちの交流・活動の軌跡を追いかけたドキュメンタリー。

<監督> 太田信吾
<出演> 菅沼重真/大槻海伶/中村昭彦/平沢正信/澤口章一/有賀晶子/三橋亮太
菅沼家のみなさま/長野県上伊那農業高等学校のみなさま/長野県 駒ヶ根市・伊那市のみなさま

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■上映作品『門戸開放 〜Open the Gate〜』(2022年/20分)

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■作品解説
コロナ禍、長年、家族と共に暮らしていたタイから帰国を余儀なくされた俳優、ペロン・ヤス。
長年寄り添ったタイ人の妻とも別れたばかり。実家で子供とともに自宅に篭る日々のなかで、
将来への不安を抱えていた。 俳優の仕事も激減し、気づけば次第に心は荒み鬱状態となっていた。
自由奔放に過ごしていたタイでの暮らしはどこへ…? そんな彼に長年鬱で苦しんできた友人が
「肛門日光浴」というアクションを勧める。彼は肛門日光浴のルーツを探すため、インドのヨガ
の聖地・リシケシを訪ねることを決意する…
世界で話題沸騰の健康アクション<肛門日光浴>のルーツを巡るロードムービー。

<監督>太田信吾
<出演>ペロンヤス/宮内泰和/アイコ/KOHEI/本山大/キャファールさとう
Fakuna Dash/Radhika Guruji/Pradeep Kumar Pandey/リシケシのみなさま/プリーのみなさま

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■上映作品『ドライブ・マイ・ソーラーキッチンカー』(2022年/20分)

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■作品解説
現在、北海道には運転を停止しているものの再稼働に向けて審査が続いている原発がある。
北海道電力が保有する泊発電所がそれだ。 1988年、稼働を翌年に控え、泊発電所で試運転を
止めようと原発の敷地に花を植えて抗議活動を行う学生たちの姿があった。
本作の主人公であるかのうさちあ(本名:加納知之)もその一人だ。熱量は虚しく、
学生の数名は逮捕され原発も翌年稼働を開始した…
あれから33年の月日を経た今、運動の失敗を今も胸に抱えながら、
自分なりの仕方で環境への取り組みを
試行錯誤しながら実践する主人公の取り組みを見つめた。

<監督>太田信吾
<出演> かのうさちあ/内田ボブ/徳井和美/岡崎慎一/中江 敏幸/前田 渉
すずき産地/1988年北海道泊原発の運転に抗議した若者のみなさま ほか

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■日時
2023年5月9日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の太田信吾さんを迎え、
トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

以上です。
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2023年03月17日

第116回 VIDEO ACT! 上映会 〜震災後を見つめる映像作家たち〜 報告文

上映作品
『10年後のまなざし』(監督:村上浩康/山田徹/我妻和樹/海子揮一)


3月16日に『10年後のまなざし』を上映しました。本作は、宮城県周辺で活動する映像作家と市民が交流しながらネットワークを広めていくプロジェクト「みやぎシネマクラドル」が製作しました。2021年に東日本大震災から10年が経ったということで、4人の監督(村上浩康、山田徹、我妻和樹、海子揮一)が、各々20分の短編を作り、その4本を繋げたオムニバス映画です。
オムニバス映画が面白いのは、各々の監督の個性が違うので、その個性が如実に作品に表れてくることです。『10年後のまなざし』もそんな作品でした。
『冬歩き』(監督:村上浩康)は、村上監督が岩手県大槌町で暮らす、義理の父を撮った作品です。タイトル通り、冬の道を歩きながら父が震災の時、大槌町がどうだったか、この10年がどうだったかをぽつぽつと語っていく。その足取りとこの10年の歩みが重なっていく。監督と父の親密なコミュニケーション。ラスト、防潮堤から拝む初日の出に、複雑なものを感じました。
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『あいまいな喪失』(監督:山田徹)は、短い中に大胆な構成が見事な作品でした。冒頭、放射能の汚染残土を入れたシリコンパックの前で、自宅に入れない武政さんがいる。ここは福島県浪江町だ。避難生活では、母が認知症となり、家族間の軋轢が生まれていた。その微妙な関係をカメラは見つめていきます。そして、映像は再び浪江町の自宅前を映し出す。とても痛切なラストショットでした。
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『微力は無力ではない〜ある災害ボランティアの記録〜』(監督:我妻和樹)
東日本大震災では、全国から大勢のボランティアが被災地に入りましたが、奈良県から宮城県南三陸町に通う木下さんもそうした方の一人。ボランティアに何ができるのかという葛藤を抱えながら、木下さんは「自分が住む街に帰ってから、この被災地のことを語り続けることが大切」と語ります。そして、本作のタイトル「微力は無力ではない」は、木下さんの言葉でした。2014年に急逝した木下さんを、2018年、南三陸町の海に散骨するシーンに、胸が詰まります。
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『海と石灰〜仮設カフェをつくる〜』(監督:海子揮一)
震災から1年後、宮城県女川町で仮設カフェを作る人たちの話。特に面白いのが、「灯台しっくい」と呼ばれる塗料を使って、壁を塗る塗装職人。彼のお父さんも「灯台しっくい」を使う塗装職人でした。監督の海子さんは、本職は建築家だそうで、「人が作ることを信じている」と、上映後、語られていました。被災地の人たちが「震災時間」と語るような、復旧・復興という掛け声で押し流されていく時間の中で、ふと立ち止まる時間が必要だった、という言葉が印象的でした。
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上映後のトークでは、村上監督は、被災地でのマスコミ取材のことを話していました。山田監督は、2018年頃、原発災害の避難区域で、人々が帰還すると同時に、壊される家も出てきた時に、この作品の渡辺家の方に出会った、と言っていました。我妻監督は、「被災者だから」と一括りにせず、背景が違う人たちが出会うことが大切、と語っていました。
トークで面白かったのは、4作品をどういう順番で繋げたのか、という話。村上監督は、撮影前から、自分がトップバッターに、と言っていたそう。なぜなら、父に震災が起きた「過去」を語ってもらうからだ、と。また、海子監督は、人の創造性の話だから、一番最後がいい、と言っていた、と。撮影した時期で並べるのではなく、内容で並んだ4本だったようです。
(本田孝義)
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「みやぎシネマクラドル」facebookのページ
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