2023年03月16日

第116回 VIDEO ACT! 上映会 〜震災後を見つめる映像作家たち〜 上映作品『10年後のまなざし』

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■ 第116回 VIDEO ACT! 上映会 〜震災後を見つめる映像作家たち〜
上映作品『10年後のまなざし』(2021年/80分/監督:村上浩康/山田徹/我妻和樹/海子揮一)
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2023年3月16日(木)18時30分より

宮城県周辺で活動する映像作家と市民が交流しながら
ネットワークを広めていくプロジェクト「みやぎシネマクラドル」は、
2015年に結成されました。
映像作品を観ながら議論する「映像サロン」や、
制作中の作品を観て意見を交わす「意見交換会」などを開催しています。

「みやぎシネマクラドル」に参加する4名の映像作家が
「震災10年という時間について考える機会を作りたい」と、約20分の短編を各々で制作。
この4作品を集めたオムニバス映画『10年後のまなざし』(2021年)を上映します。

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■上映作品
『10年後のまなざし』(2021年/80分/監督:村上浩康/山田徹/我妻和樹/海子揮一)

■作品解説
『冬歩き』(20分) 監督:村上浩康
岩手県大槌町の災害公営住宅に独り暮らす佐々木信巳さん(79歳)。
彼は本作の監督・村上浩康の義理の父である。2020年の大晦日、信巳さんの
日課である朝の散歩に同行し、被災から現在までの道のりを聞く。
同時に変わりゆく町の様相を捉え、震災がもたらした様々な事象をデータとして提示し、
大槌町の10年間を振り返る。個人の記憶と町の記録が冬の散歩の中に交錯する。

『あいまいな喪失』(20分) 監督:山田徹
家族で印刷業を営んできた武政は、原発事故で帰れなくなった浪江町の自宅と
避難生活で次第に老いていく認知症の母テツに深い喪失感を抱いていた。
いっぽう武政一家に嫁いだ茂子は、原発事故やテツの老いと正面から
向き合うことで自分の新しい人生を模索していた。現実を受け入れながら前に
進もうとする茂子と、震災前の時間に引き戻される武政。
家の解体とテツの介護を通じて、二人の家族像や原発事故の向き合い方の違いが顕になっていく。

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『微力は無力ではない〜ある災害ボランティアの記録〜』(20分) 監督:我妻和樹
2014年11月、ある災害ボランティアの男性が亡くなった。
東日本大震災時、居ても立っても居られない思いから南三陸町に入り、
人生の最後の3年半を東北の復興のお手伝いに捧げた彼は、
死後ゆかりの人びとの手によって南三陸の海に散骨された。
本作では、「微力は無力ではない」と自問自答しながら活動していた
彼の2012年時の映像、2018年の散骨時の映像、そして現在の南三陸町の風景を
つなぎ合わせることで、どのような人と人の交わりが町の復興を支えてきたのかを
改めて振り返り、被災地のために心を尽くしたたくさんの人の思いについて考えてみたい。

『海と石灰〜仮設カフェをつくる〜』(20分) 監督:海子揮一
震災から1年を迎えようとする2012年2月の女川。
人びとが集うための仮設カフェを改装する現場で、
海水を使った特別な塗料「灯台しっくい」を
みんなで壁に塗るワークショップが開かれた。
震災前の女川でもカフェの内装に施した塗装職人がその復元に駆けつけた。
彼とコーディネーター役の美術家を中心に生きる術としてのモノづくりを語り合い、
未来を拓くための場作りに参加した「生き残った人びと」との交流と声の記録である。
いまは仮設カフェはすでにない。しかし人は創造という手触りを頼りに未来を拓いてきた。
ゆえにこの映像は過ぎ去った記憶としてだけでなく、またいつかくる未来の光景かもしれない。

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■日時
2023年3月16日(木)
18時15分/開場 18時30分/開始
上映後、監督の村上浩康さん、我妻和樹さん
(山田徹さん、海子揮一さんはオンライン参加)を迎え、
トーク&ディスカッション。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要/先着80名迄)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2023年01月13日

第115回 VIDEO ACT!上映会 〜旧統一教会と家族〜 報告文

上映作品
『belief』 監督:土居哲真


ビデオアクトの上映会では、さまざまなテーマの映像作品を上映してきた。
今回の上映作品『belief』のテーマは、「旧統一教会と家族」。「belief」という言葉は「信念」「信仰」「信条」を示す言葉だ。

今回、あらためて「旧統一教会と家族」というテーマの作品の上映会の報告文を書かせていただくにあたって、まずは、この文章を書いている私が、どんな人間かという事を書かせていただこうと思う。

私は、高校生の時に安部公房や大江健三郎の本を読んでた事もあって「実存主義」に感化されていて、「宗教」に関する関心は、ほとんどゼロで、むしろ「宗教は敵だ」と思っているぐらいの「無宗教主義」を貫いて生きてきたし、「宗教を信じてる人はバカだ」と言ってしまうぐらいに、宗教を否定して生きてきた。

あらためて、今回上映した、土居哲真監督の『belief』を観させてせていただいて、「統一教会」のような、いわゆるカルト宗教」に、はめられてしまう人たちの事が、理解できるようになった。

人は、誰でも、
「自分の(または家族の)この部分を、なんとか改善したい。」
「自分は、もっと、こう生きたい。」
という葛藤を抱えながら生きている。

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「旧統一教会」のような「カルト宗教」は、ほとんどの人が思っていると思われる、上記のような、ピュアで前向きな気持ちを利用して、宗教にはまらせようとして、はまってしまった人に、さらに他の人をはめるように、仕掛けていく。

今回上映した『belief』をつくった土居哲真監督は、実は、鬱(うつ)病を患っていた。
そして彼は「もしかしたら自分が鬱病になってしまったのを、母が『なんとかしたい』と思って、カルト宗教に、はまってしまったのではないかと思い始める。
カルト宗教は、ターゲットにした相手の「不安」や「心の病」に踏み込み、『助けてあげましょう』というような言葉で、ワナにはめる。

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勧誘の仕方は巧妙にできている。最初はソフトタッチで「友人」になり、「訪問販売で高い物を買わされてしまった」などの弱みや悩みを、うまく聴きだし、人間関係をつくっておく。
そして、ある程度の人間関係ができたら、「ビデオセンター」で動画を見せて、感想を書かせる。
ターゲットとされた人は、相手が「宗教に勧誘しようとしている」とは知らされずに、「悩みを聴いてくれた」「親切にしてくれた」という恩があるので、つい「この人の話を聴かないと悪い」と思うようになる。

そうして、少しずつ「洗脳」して、抜け出す事ができないようにされ、巨額の献金をせざる負えなくなる、という仕組みが見事(?)に、つくられている。

この映画の監督の土居哲真さんは、母がカルト宗教・旧統一教会のワナにはまりきる前に、洗脳されつつある母にビデオカメラを向け、「ビデオセンターには、行かないでほしい」と訴えた。
幸いな事に、「ビデオセンター通い」は、まだ8ヶ月だったので「洗脳されきった」状態ではなく、息子である哲真さんからの「ビデオセンターに行かないでほしい」という願いを聞き入れる事ができた。
もし、洗脳されきった状態だったら、財産をほとんど奪われ、たいへんな事になっていただろう。
そんな被害者を、少しでも減らすためにも、今回の上映作品『belief』は、より多くの人にご覧いただきたいと思う。

小林充志

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『belief』はビデオアクトのウェブサイトで好評販売中です。こちら 
2023年1月14日(土)から20日(金)まで横浜シネマリンでも1週間限定で公開されます。こちら
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2023年01月12日

第115回 VIDEO ACT! 上映会 〜旧統一教会と家族〜 上映作品『belief』

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■ 第115回 VIDEO ACT! 上映会 〜旧統一教会と家族〜
上映作品『belief』(監督:土居哲真)
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■2023年1月12日(木)19時より

ある朝、母が宗教に入っていることを知る。
ぼくはただ、対話をするしかなかった。

母が宗教に通っていることを知って
ぼくはカメラを回し始めた。
様々な人と対話をする。
母の気持ちを理解するために。
次第にぼくは当事者としてこの一件に巻き込まれていく。
そしてぼくは、見つめることだけをする。

安倍元首相銃撃事件を機に
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に改めて注目が集まる中、
入信した母との対話からはじまるドキュメンタリー映画『belief』を
14年ぶりに再上映する。

■上映作品
『belief』(2007年/62分)
出演:土居幸子、土居健一、土居りえ子、土居恭史郎、土居明日架、
   浅見定雄(聖書学者)、山口広(弁護士)、
   パスカル・ズィウ゛ィ(カウンセラー)、西田公昭(心理学者)
監督:土居哲真
製作:麻田弦 伊東美穂
音楽:福島諭
整音:横山純
意匠:桝尾あき
題字:並河久美子
配給:「belief」製作委員会

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■作品解説
ある朝、母がカルト視される宗教に入ったことを知った息子。
その現実に直面して、彼は母にカメラを向けた。
次の日、印鑑などの購入の他に、多額の献金をしていることが判明する。
どうしてこんなことになってしまったのか?
母は特別信仰心に篤い人ではない。
3年前に父が亡くなったことが原因かもしれない。
あるいは、仕事を辞めて毎日一人で家にいるのが悪かったのかもしれない。
繰り返される様々な対話。淡々と続いていく母の日常。
やがて疑問の矛先は彼自身に向けられる。
彼はうつ病を患っていた。苦しむ息子を思いやる母。
母はもしかしたら自分のためにカルトに入ったのではないか?
彼は事実を知ろうと思う。
カルトとは何か?そして、家族とは何か?

この映画は、監督自ら全編撮影し、
母親をはじめとする家族、宗教信者、宗教識者、心理学者、弁護士らとの
対話によって制作されました。
しかし本作を「カルト問題についてのドキュメンタリー」とだけ見ることは
適切ではありません。
これは、監督自身の母親への愛の告白であり、
同時に母親の息子への愛の告白であり、
そして家族というものがいかに成り立っているかということの記録でもあります。
自分の母親と話がしたくなる、そんな映画です。

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■日時
2023年1月12日(木)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の土居哲真さんを迎え、トーク&ディスカッション。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■予告篇


■参加費
500円(介助者は無料/予約不要/先着80名迄)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2022年11月23日

【報告文】第114回 VIDEO ACT! 上映会〜東京五輪と野宿生活者の強制排除〜

上映作品
『竪川に生きる』 監督:山本容子


 10年前の2012年、江東区の竪川河川敷公園で生活する野宿者たちを強制排除する行政代執行が企てられたことをご存知だろうか? 野宿生活者たちはフェンスで囲まれた公園の10メートル程外側、行政代執行対象区域とは認められない場所で、新たな生活を始めた。今回上映した『竪川に生きる』は、その生活を活き活きと、そして丹念に描き出す。

 現在パリ在住の山本容子監督は、当時、公園の近所に住んでいたという。そして、山谷の日雇い労働者を描いた映画『山谷─やられたらやりかえせ』を観たことをきっかけにして、竪川と出会う。日本での生きづらさを感じていた山本監督は、竪川に魅かれる。その目に映ったのは、「自分たちの手で、自分たちの生きる場所をつくる姿」だった。

 『竪川に生きる』を観る私もまた、山本監督のカメラを通して、そこで生きる人たちの姿に心を動かされた。そこには、「人が人を思いやる」というシンプルで力強い人間らしさがあったからだ。アルミ缶収集で出会った近隣住民とのやりとり、区役所の職員を説き伏せる老練な言葉遣い、回収箱を設置して集まった毛布を仲間に配って共に助け合う姿、通勤客が行き交う道の雪をかき、近所の商店の人から差し入れられる温かい食べ物、テント村に共同で設置した郵便ポストに届く年賀状…まるで、映画『男はつらいよ』の寅さんとその周りの人たちが、そこにいるようだった。

 上映後、山本監督がいるパリと約35名が集まった上映会場の飯田橋をリモートで繋いだ。そして、ご参加頂いた映画の主人公の郡司さんとまっちゃんが、モニターを通じて山本監督と再会した。感動的だった。寅さん、ではなく、郡司さんが言う。「俺、涙出ちゃったよ! こうやって記録に残すことは大事。あったことは、あったこと。みんなに観てもらっただけで嬉しい」。

 観た私たちには、何ができる? 野宿生活者の強制排除は、竪川だけでなく、これまで何度もあちこちで行われてきた。上映後のディスカッションでは、現在、まさに排除が行われようとしている渋谷区美竹公園の現状を支援者に報告して頂いた。美竹公園には、2017年に封鎖された宮下公園から移り住んだ方もおられるという。

 再開発の加速によって、「人が人を思いやる」人間らしさが失われ、生きづらい社会が広がっていく。しかし、その暴挙をはね返すのもまた、「人が人を思いやる」人間の底力なのだ。
(土屋 豊)

※渋谷区美竹公園の現状については、下記「ねる会議」のHPをご覧下さい。
http://minnanokouenn.blogspot.com/

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2022年11月17日

第114回 VIDEO ACT! 上映会 〜東京五輪と野宿生活者の強制排除〜 上映作品『竪川に生きる』

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■ 第114回 VIDEO ACT! 上映会 〜東京五輪と野宿生活者の強制排除〜
上映作品『竪川に生きる』
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■2022年11月17日(木) 18時30分より

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時は2012年10月。
2020年夏季開催予定のオリンピック、東京招致が決定する1年前。
東京都江東区竪川河川敷公園では、野宿生活者への強制排除が行われた。
東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件が次々と明るみになる中、
野宿生活者の視点から、東京の街を見つめてみませんか。

■上映作品
『竪川に生きる』(2021年/100分)
監督・編集・撮影:山本容子

■作品解説
2020年夏季オリンピックの東京招致が決定する1年前の 2012 年10月、
東京都江東区竪川河川敷公園では、 区役所による野宿生活者への強制排除が行われていた。
都内のある映画館で東京・山谷を舞台にした日雇い労働者の
ドキュメンタリー作品を見に行った私(山本容子監督)は、
竪川河川敷公園で生活する男性と出会った。
「生活保護はとらないのですか」と質問すると、
男性は「アルミ缶収集で生活をしています。
よかったら私が住んで いる場所を見に来てください」と言った。
翌日、私は公園を訪れた。
そして2012年12月5日、江東区が公園での行政代執行を試みた日から、
私は彼らの生活を記録に残すために映像を撮り始めた。

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■日時
2022年11月17日(木)
18時15分/開場 18時30分/開始
<ご注意>通常より、上映開始時間が早まります!
上映後、監督の山本容子さんをオンラインで迎え、トーク&ディスカッション有。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約不要/先着80名迄)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2022年09月21日

報告文 第113回 VIDEO ACT! 上映会 〜自給自足で半農半介護〜  上映作品『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』

9月20日、『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』を上映しました。
参加者は約20名でした。上映会タイトルは「自給自足で半農半介護」。
監督の下之坊修子さんに「上映作品のキャッチコピーを考えてください」とお願いし、
挙げていただいたコピーを、そのまま上映会タイトルに使用させていただきました。
タイトルだけでは難解な本作を、的確に伝えている言葉だと思います。

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「ひろんた村」の「ひろんた」とは「広ノ谷」のこと。
長崎県五島列島北部の中通島(新上五島町)のほぼ中央に位置する、内陸の集落です。
戦後の開拓村で、最盛期には20を超える家族が暮らしておられたそうです。
その「ひろんた」を再生させようと、NPO法人「村づくり会議」を2016年11月に設立。
その中心となる「有料老人ホーム ひろんた村 母屋」が、2018年初冬に開設されます。
映画の舞台は、この「有料老人ホーム ひろんた村 母屋」なのです。

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食事は自給自足。
米、小麦、大豆、野菜を農薬や化学肥料を使わずに育て、
しょうゆ、みそも手作り。豚や鶏も飼育されています。
漁師さんから、魚のお裾分けがあるようで、これらはホームでの食事として提供されています。
パーキンソン病を患っておられた入所者さんも、ここの食事と暮らしでどんどん元気なられているとか。
2019年制作のDVDですが、入所者さん全員が今もお元気だと伺い、うれしくなりました。
いい環境と、おいしい食べ物。長生きのために重要ですね。

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映画では、入所者さんが一緒にみそづくりに参加する様も紹介されます。
入所者の女性は、スタッフにあてがわれた計量カップを手に、蒸した大豆へこうじ菌をまかれます。
すると「昔は手でやってた」と、こうじ菌を素手でバッサバッサとまきはじめるのです。
感覚は手が覚えているのですね。とても印象に残るシーンでした。

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理事長一家の歌野敬さんと歌野啓子さんは、関西在住の会社員時代に農薬問題から家庭菜園をスタート。
和歌山県で自給自足していくための技術を習得し、1986年に「ひろんた」へ移住されます。
その後、高齢で単身になられたご親戚を引き取ることになります。
高齢である自分たちのことや、自給自足の技術継承と地域の未来について考る中、
有料老人ホームの設立を思いつかれたそうです。
結局、ご親戚は入所前に亡くなられますが、遺産は施設建設費用に充てられたそうです。

ビデオアクト上映会では恒例の、上映後のトーク&ディスカッション。
監督の下之坊修子さんは大阪府河内長野市在住。
滝畑という約80世帯・無医村にお住まいということもあり、
ZOOMを使いオンラインでトークしていただきました。

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お母さまを看取った後「次は自分の番だ」と思い、7年前に故郷への移住を決めたという下之坊さん。
生まれ育った土地はダムに沈んでしまったとのことで、近隣の古民家に住まわれています。
移住して介護やグループホームについての勉強会をしている中、
知人に「ひろんた村」のことを紹介されたことが、撮影のきっかけになったとのこと。

下之坊さんは、ご自宅の古民家を使った上映会や映像制作のほか、裏の畑で農作業もされているとか。
「季節の野菜を食べているだけで元気になる。お金に振りまわされない生活ができている」
と語る下之坊さんは、終始キラキラされていました。
現在、この滝畑での生活をまとめた映画も制作中とのことです。
新作の完成が楽しみです。 (文責:土屋トカチ)

●上映作品『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』
ビデオアクトのウェブページでDVDが発売中です。こちら

●ひろんた村母屋のウェブページはこちら
ハムやベーコンなどの加工品が購入可能とのこと。おいしそうです。




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2022年09月20日

第113回 VIDEO ACT! 上映会 〜自給自足で半農半介護〜 上映作品『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』

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■ 第113回 VIDEO ACT! 上映会 〜自給自足で半農半介護〜
上映作品『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』
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■2022年9月20日(火)19時より

肉も野菜も味噌も醤油も、必要なものは自分たちで作って暮らす。
長崎県新上五島町にある有料老人ホーム「ひろんた村」では、
自給自足生活を目指している。
自分の思い通りに、最後まで暮らしてゆく場所が、ここにある。

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■上映作品
『ちょっと変わった有料老人ホーム ひろんた村母屋』(2019年/40分)
監督・編集:下之坊修子
撮影:岡田和真/下之坊修子
制作:映像発信てれれ

■作品解説
歌野さん夫妻は長崎県五島列島に移住して30年。
消費文化、使い捨て文化の違和感から、自給自足の生活を決意。
2018年、半農半介護をめざして老人ホームを開設した。
肉も野菜も米も豆も、味噌も醤油も、必要なものは、できるだけ自分たちでつくる。
スタッフはシングルマザーや引きこもっていた人や障害を持っている人など様々。
自給の技術を若いスタッフに伝えていきながら、自然とともにある暮らし。
「最後までその人らしく」に寄り添う介護。
自分の思い通りに最後まで暮らす、人間の死んで行く姿をちゃんと見せていく。そんな場を目指す。

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■予告編
『ちょっと変わった老人ホーム ひろんた村母屋』


■日時
2022年9月20日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の下之坊修子さんをオンラインで迎え、トーク&ディスカッション。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の9月19日(月)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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2022年07月11日

ウェブショップ新規登録作品のご案内

【VIDEO ACT WebSHOP】に新しい作品が登録されました!
是非、チェックしてみて下さい。


『I’m here 親へのカミングアウト』
監督:トレイシー・チョイ/43分/2012年制作

この作品はレズビアンとしてカミングアウトした監督のことばで綴られている。友人ふたりの会話、親子の会話、親同士の会話など、長年の知り合いだからこそ言える本音をテンポよくていねいに積み重ね、わかりやすい構成となっている。特にレズビアンの親たちと子どもたちがオープンに話し合う場面は鮮烈である。「娘がレズビアンとはわざわざ言わない、本当はレズビアンなんだろうけどね」「本人が幸せになるために全力で応援する」など。観た人は当事者、家族に共感し、この問題に向き合う勇気と強さを得るに違いないだろう。
★2012年マカオ国際映画祭「メイド・イン・マカオ」部門審査員グランプリ受賞
http://www.videoact-shop.com/2022/886
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『出稼ぎの女たち』
監督:セシリア・ホー/72分/2009年制作

インドネシアからマカオに出稼ぎに来て家事労働をする女性たち。エージェンシーにパスポートをとりあげられ、取り返そうとしたら暴力を振るわれたり、試用期間中に賃金が出なかったり、クビになったりと働く環境は大変厳しい。カメラは彼女たちを追いかけ、声を撮っていく。
日本で外国からの家事労働者を受け入れようとしている。この作品が「働く者の権利を守るということはどういうことか」を考えるヒントになるだろう。
★マカオ国際映画祭最優秀ドキュメンタリー映画賞
 2009年マカオ文化センター映画祭 審査員グランプリ・観客賞受賞

http://www.videoact-shop.com/2022/894
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2022年07月06日

報告文 第112回 VIDEO ACT! 上映会 〜AIが上司?フードデリバリーの現状〜

 去る7月5日、上記表題で『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』(2022年/35分、監督:土屋トカチ)の上映を行いました。会場は定員満席となり、関心の高さがうかがえました。
 “プラットフォームビジネス”とは、あまり馴染みがないかもしれませんが、ITを介して行われるビジネスです。本作では、フードデリバリー、特にウーバーイーツが取り上げられています。
 この間の新型コロナ禍で、街中でウーバーイーツの配達員を見かけることが急増しました。しかし、彼らがどのような働き方をしているのかは、ほとんど取り上げられません。配達員は個人事業主とされ、ウーバーイーツから直接雇用される形にはなっていません。そのため、バッグを自腹で買い、自転車やオートバイは自分で用意しなくてはいけません。すきま時間で働ける、自由な働き方と言われる反面、労働者としての権利は保障されていません。
 そうしたことを知るために、監督の土屋トカチさんは自らウーバーイーツに登録して、横浜でデリバリーを始めます。実際の労働時間と対価を数字で示してリアルです。
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 配達を頼む人と店の人、そして配達員を結ぶのはPCやスマホのアプリ。このアプリはAIで運営されています。そのため、配達員の上司はAIなのです。ウーバーイーツはこのアプリを提供しているだけ、という立場です。ですから、突然報酬が改定されても、理由などを配達員が知ることが出来ないブラックボックスになっています。また、配達中の事故についても配達員の自己責任。ウーバーイーツは雇用主ではないという言い訳で、労災の保障もありません。本作では、実際に事故を経験した方も証言しています。
 こうした労働環境を改善するため、2019年にウーバーイーツ・ユニオンが結成されました。しかしながら、ウーバーイーツは団体交渉を拒否し続けています。
 配達員を人間として扱わないウーバーイーツに対して、世界中でユニオンが結成され大規模なデモも起きています。韓国ではユニオンとの協約を結ぶ成果もありました。しかしながら、現状、日本政府は何もしていません。
 上映後の質疑応答も活発でした。ウーバーイーツの仕組みが分かりにくいため、具体的な質問もありました。また、飲食店経営者の方からの質問もありました。加えて、会場にはユニオンの組合員の方も来ていただいていたので、具体的なユニオンの活動や今後の目標などもお話いただきました。
2022.7.5上映会
 本作は教材として見てもらえるように、35分という短さです。監督の土屋トカチさんは、ウーバーイーツだけではなく、今後、様々な職種でこうした働き方、労働者が労働者として扱われないことが増えていくことを危惧しています。ですから、本作を授業や集会、勉強会などで活用してほしいと思いました。
(本田孝義)

※上映作品『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』はアジア太平洋資料センターのウェブページでDVDとオンライン配信でご覧いただけます。
http://www.parc-jp.org/video/sakuhin/platform.html

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2022年07月05日

第112回 VIDEO ACT! 上映会 〜AIが上司?フードデリバリーの現状〜 上映作品『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』

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■ 第112回 VIDEO ACT! 上映会 〜AIが上司?フードデリバリーの現状〜
上映作品『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』
http://www.videoact.jp
http://videoact.seesaa.net/
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■2022年7月5日(火)19時より

GAFAはじめグローバル企業が提供する「プラットフォームビジネス」は、
コロナ禍でますます成長し、私たちの消費スタイルや働き方も変わりました。
「ウーバーイーツ」に代表されるフードデリバリー・サービスでは、
配達員はスマホひとつで「好きな時間に、自由に働ける」とされています。
しかし、そこでの働き方は本当に自由で公正なのでしょうか?

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■上映作品
『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』(2022年/35分)
監修:川上資人
監督:土屋トカチ
企画・プロデュース:内田聖子
出演:水谷章(仮名)/土屋俊明/富岡金悟/川上資人/Diogenes Carrasco/土屋トカチ
ナレーター:鶴見ゆき
イラスト:ますだたいじ
撮影・編集・選曲:土屋トカチ
撮影:常田高志/山口勝則
整音:常田高志
主題歌:「心百景」BLUE STRAGHT (MUNAJIRO RECORDS)
英語翻訳:Unfiltered(松元ちえ・Kimberly Hughes)
記事提供:中日新聞社
取材協力:ウーバーイーツユニオン/国際運輸労連(ITF)/交通の安全と労働を考える市民会議/韓国・ライダーズユニオン/パルシック
助成:オープン・ソサエティ財団(OSF)
制作:アジア太平洋資料センター(PARC)

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■作品解説
インターネットでの買い物や決済、SNSでのコミュニケーションが当たり前となった私たちの暮らし。
新型コロナウイルスの感染拡大は、テレワークや遠隔授業の必要性を高め、IT技術の利用を一層加速させました。

そんな中、ウーバーイーツに代表されるフードデリバリー・サービスも拡大しています。
「プラットフォーム企業」が運営するこの新たなビジネスでは、アプリ一つで飲食店と顧客、
配達員をマッチングさせ、「誰でも、好きな時間に、自由に働ける」とされています。
日本での配達員は約10万人と言われますが、配達員はウーバーと「アプリ使用」契約を交わすだけで、
「個人事業主」として配達を請け負います。そのため、事故に遭っても会社負担の労災保険はなく、
また配達依頼や報酬の基準、さらには飲食店や顧客からの「評価」の内容などを配達員は十分に知ることも、
会社と協議することもできません。

欧州を中心とする海外ではこれら配達員の「労働者性」が裁判でも認められ、
事故の際の社会保障や労働組合と企業の団体交渉などが認められるようになってきました。

日本でも、配達員たちがウーバーイーツユニオンを結成し、会社側へ報酬や評価に関する情報の透明性や、
団体交渉を求める動きが始まっています。作品では、ウーバーイーツの配達員やユニオンの取材を通して、
「自由な働き方」がはらむ問題点を提起します。

■予告編
『プラットフォームビジネス 「自由な働き方」の罠』


■日時
2022年7月5日(火)
18時30分/開場 19時/開始
上映後、監督の土屋トカチさんを交えたトーク&ディスカッションを予定。

■上映会場
東京ボランティア・市民活動センター(03-3235-1171)
東京・飯田橋セントラルプラザ10階
東京都新宿区神楽河岸1-1
JR中央線・地下鉄飯田橋駅下車 徒歩1分

■参加費
500円(介助者は無料/予約必須)

■予約方法
参加希望の方は、上映会前日の7月4日(月)19時までに
下記へ「お名前」「参加人数」「連絡先」をお伝えください。
→Eメール:jyouei@videoact.jp
→電話:045-228-7996(ローポジション気付)

■問合せ:ビデオアクト上映プロジェクト
Eメール:jyouei@videoact.jp

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